泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2010-01-01から1年間の記事一覧

『M-1グランプリ2010』感想

今年はラストイヤーということもあって、歴史、状況、各方面の思惑、今後への展望など様々な切り口が考えられるが、僕はやはりネタ中心すなわち作品論でいきたいと思う。【カナリア】 序盤の立ち上がりが悪く、尻上がりに調子を上げていくも、最後は同じパタ…

ラッキーあるいはアンラッキー商法

良くも悪くも、世界は数字でできている。数字を制する者は、世界を制するのかもしれない。今日、それを思い知らされる出来事があった。スーパーからの帰り道、八百屋の前を通ると、おばちゃんが店主らしきオヤジから、何かを買おうとしているところだった。…

松田と田村と北条とジョン

店名というのは本当によくわからないもので、たいがいの店名は店主の個人的なこだわりによるものである場合が多く、たとえば釣り好きの店主が理容室を始めると「バーバーブルーギル」とか「疑似餌理容店」なんて名前の床屋が誕生しかねない(ない)。あるい…

『WE'VE ALL BEEN THERE』/ALEX BAND

まずジャケットを観て「すわ、ヴィジュアル系に転身か」と驚くが、裏ジャケには通常の立ち姿が平然と写っていて、音楽性も特にそっち方面というわけではない。さらに言うなれば、もひとつ紛らわしきはそのアーティスト名。「アレックス・バンド」と言われる…

天敵・試食おばば

やさしかった試食おばば…でもやさしかったけれど苦手だ。苦手なものは苦手なんだからしょうがない。人としてではなく、もう職種として苦手なのだ。試食おばばというジャンルが。無駄にデカい近隣のパースーで、じゃがを買おうかどうか迷っていた。それはじゃ…

【考察】赤井英和は、なぜあんなに大きくなったのか?

「アリという小さきものの象徴を社名に掲げながら、逆にとんでもなく大きな存在(と業績)になっている」といういわば逆説をさりげなく伝えたがっているように見える例の引越社のCM。しかし「逆に」がうまいことハマッている場合それは最も疑うべき事態であ…

『松本人志のコントMHK』

NHKで松本人志がコント番組をやると最初に聞いたとき、「これは予算を思いきり使えるNHKの力を利用する魂胆か」と思った(そしてそれは、芸人にとって正しい魂胆だ)が、それが必ずしも良い方向に働くかどうかは未知数だった。むしろ「予算を多く使える」と…

知らぬ存ぜぬ歩行費

解けない数式なんてものは、数学嫌いの人間にとってこの世にいくらでもあるが、それ以前にまだ生まれてない数式ってのもたくさんあって、きっと答えよりも、生活上必要な数式をリクエストすることのほうが大事なんじゃないかと思う。いま急に思う。というの…

『バクマン。』10/大場つぐみ・小畑健

アニメ化のタイミングに合わせて、一気に面白くなってきた。いや、一気に面白くしてきた、というほうが正しいかもしれない。その力の入れようは、主人公たちが描く作品、つまり漫画内漫画の充実度が物語る。これまでは単に方向性を示すためのみに提示されて…

青空のもと白けた面で赤い服を着て

人の好みはそれぞれ意外とハッキリしているものだから、気づいたらクローゼットに似たような服ばかり並んでいる、というようなことはよくある。これに対処する方法は、おそらくは今のところない。今日僕は赤×白のTシャツを着て青×白のスニーカーを買いに行く…

「たい」のか「たくない」のか「たくてもない」のか

本日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』11月号に、 ●Galileo Galilei『四ツ葉さがしの旅人』 ●DOES『ジャック・ナイフ』 ●小林太郎『DANCING SHIVA』 ●Droog『Violence』 のディスクレビューと、 ●山田ズーニー『「働きたくない」というあなたへ』 の書評を書きまし…

『キングオブコント2010』感想

全体の印象としては、「大阪的なベタでかぶせの多い笑いが不利で、設定に新鮮味のあるネタが強い」。それには審査員が現役の芸人であるということも大きく作用していて、つまりは芸人たちがいまネタ作りにおいて最も苦労を感じている部分が、中身のディテー…

いま、僕らが考えるべきこと

それは「キャメラ」のことである。アッコさんは、「テレビカメラ」のことを「テレビキャメラ」と発音する。それは、アッコさんがネイティヴだからだ。英語圏のとかそういうことではなく、「芸能界のネイティヴ」だからだ。同じく芸能界のネイティヴとしては…

一文日記

今日からチャンピオンズリーグが始まるので、HDDレコーダーにたまった録画物を観てスペースを確保しておかねばと強く思い、録画してあった週末のセリエAインテル−ウディネーゼ戦を観たところ、アナウンサーがしきりにフルネームで叫んでいる選手名が気になり…

ザッケローニ日本代表新監督を派手にする試み

『人は見た目が9割』という本がひとむかし前に売れたが、この人は10割なんじゃないかと不安になる。日本代表新監督ザッケローニの地味さがハンパない。見れば見るほど、「窓際族」という言葉しか思い浮かばない。しかしこれからの日本代表を背負って立つ人物…

俺に似た奴と組むべきか、俺と正反対の奴と組むべきか

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号に、 9mm Parabellum Bullet『actⅡ+actⅢ』 スコット・マーフィー『GUILTY PLEASURES 4』 のディスクレビューと、 星野智幸『俺俺』 の書評を書きました。

ナイスミドル養成講座【8時間目】モバイルの巻

●携帯のアンテナを、歯で伸ばす。 しかし残念ながら今どきの携帯にはアンテナがついていないので、代わりに折り畳み式携帯を歯で開ける。 と思いきや、iPhoneの場合折り畳み式ではないので、ネクタイを締め直すなど、両手が塞がる際に、口でくわえる。 iPhon…

『尼僧とキューピッドの弓』/多和田葉子

何か特殊な設定を持つ作品を書くときに、作家は取材を必要とすることがある。だが取材はしすぎるとその調べた現実から飛躍しきれなくなり、逆にイマジネーションを限定するケースも少なくない。ドイツの修道院に住む尼僧たちの人間模様を描く本作を執筆する…

映画評『サマーウォーズ』

まずはじめに、TV版を観ての評であることをお断りしておく。いくらかカットされているらしいので。しかし全体の出来はどちらにしろ大差ないと考える。ちょっとやそっとのつけ足しで大きく変わるような作品でもない。期待が大きすぎたのかもしれない。●全体に…

現在進行祭

『ROCK IN JAPAN FES.2010』のパンフレットに、以下のアーティスト紹介文を書きました。フェスに行かれている方、行かれる方は是非。●andymori ●阿部真央 ●Northern19 ●小林太郎 ●cinema staff ●Prague ●[champagne] ●a flood of circle ●Jeepta

増すと倍

本日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号に、 ●東京事変『ドーパミント!』 ●DOES『SINGLES』 ●serial TV drama『マストバイ』 ●『残響祭 5th Anniversary DVD』 のディスクレビューと、 THE BAWDIESのライヴ評を書きました。

映画評『借りぐらしのアリエッティ』

とんでもなくプレーンな作品だ。無味無臭で、絵にも話にも台詞にもまったく癖がない。それを良しとするかどうか。個人的には物足りなさが半分、『ポニョ』のようなわけのわからなさ(いや、わけがわからなくても面白ければいいんだけど、『ポニョ』はそうで…

俳句、からの排句、そして灰句

一般に、なんとなくナイスフィーリングだがわかりにくいと思われがちな俳句。そんな俳句をわかりやすくする方法を、アイスの棒を粘りづよく小一時間ねぶる中で偶然発見したので、ここにいちいちご報告したい。ちなみに僕は、俳句にはゼロ家言持つ者であるこ…

遅ればせながら建壱

すっかり告知が遅くなってしまいましたが、現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』8月号に、 ●YUI『HOLIDAYS IN THE SUN』 ●your gold,my pink『pray』 ●Creature Creature『INFERNO』 ●TOY『A City's Guidebook』 のディスクレビューを書きました。

恐るべきオシムツイート

サッカーほど見ればすぐにわかるスポーツも、特別な見方が必要なスポーツも、あまりない。ルールや道具立てがシンプルという取っつきやすさがある一方で、刻々と動いてゆく状況把握の難しさがある。個と全体の両方に見どころがあるという意味では、「木を見…

早くもW杯フォトジェニック日本代表

《闘莉王、骨折ドログバに謝罪文送って》−デイリースポーツオンライン http://www.daily.co.jp/soccer/2010/06/10/0003075236.shtmlそれにしても写真。そしてキャプション。 あごと口で上手にボールを自陣のゴールに!? 次の1点はあごで!? 無闇に補欠っぽさ…

夢一夜 スーパージェッターせいじ

運動会当日、校庭には巨大なトレーラーが持ち込まれた。タイヤがいっぱいついている。この日を楽しみにしていたどころか、僕は普通の体育の授業だと思っていたらしく、校庭の周囲にぐるりと並べられた椅子で靴ひもをむすびながら、とにかく困惑していた。困…

消化不良の偽ハングリー

「あー、胃がもたれたなぁ」と思って胃薬を飲むと、徐々に事態が改善されて数時間後にはすっかり良くなりまたグーグーと腹が減るのだが、さてその「腹の減り」が果たして本物なのかどうか。といっても、「あくまでもその『腹の減り』は胃薬という非常手段に…

セスク・ファブレガスこそがアーセナルである

バルセロナからのセスク・ファブレガス獲得オファーに関して、アーセナルが公式声明を発表。アーセナル、バルセロナからのオファーを拒否 http://jp-arsenal.com/news/1698.htmlオファー成立ならともかく、不成立という本来ならば水面下に流されるべき状況を…

ナイスミドル養成講座番外編【ナイスミドル早口言葉】

先天的ナイスミドルに、言葉はいらない。しかし努力と研鑽でナイスミドルを目指すには、言葉が必要だ。 それも過剰な言葉が。宅間伸と辰巳琢郎が立ったまま揚げたての竜田揚げを食べたいと言うので。 宅間伸と辰巳琢郎が立ったまま揚げたての竜田揚げを食べ…

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