2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧
徹頭徹尾、恥ずかしげもなくアメリカン・ドリームである。といっても開拓者的な夢ではなく、パツキン姉ちゃんと夜な夜なパーティー三昧のほうのアメリカである。ちなみにCDケースを開けると、棚ぼた的にプレイメイト系全裸写真の連なりがこぼれ落ちてくる。…
ジャケットはAVENGED SEVENFOLD(以下A7X)の名盤3rd「CITY OF EVIL」を連想させるが、その期待に違わぬ出色の出来。こちらはEPITAPHレーベルから出ているだけあって、根底にパンク/メロコアテイストが香る。それが明確な個性となり、メロディの充実度につな…
「80年代の有効利用法」を最高の形で提示した作品である。これは皮肉でもなんでもなく、紛れもない褒め言葉だ。70年代リバイバルというのは、ロックに限らず(ファッションなども含めて)あらゆるジャンルでもうすっかり定番化していて、70年代にルーツを持…
今日はいとうせいこう×奥泉光の「文芸漫談」に行った。今回のテーマ作品は後藤明生の「挟み撃ち」。これまで取り上げられた中で最もマイナーな作品だが、見事に満席でいとうせいこうも驚いていた。 今回はいつになくいとうせいこうが熱く語っていたのが新鮮…
北欧ハード・ポップの新星と聞いて、過剰な期待は禁物だ。全体的にすごく惜しい。たしかにメロディアスな部分は多々あるが、全体に思いのほかアメリカン。単調なギターリフと工夫のないリズム、声質はジョーイ・テンペストなのに力みすぎて結構ラフなヴォー…
そもそも完成度の高い様式美HMというジャンルを進化させようという試み自体に無理がある。だがその無理こそが力強さと美しさを生む。無理な出発点から生まれたアイデアは、その無理をくぐり抜けてきた分だけ純粋な力を手に入れる。せめぎあう岩の隙間を通り…
器用貧乏と器用貧乏の相性が良いというのはちょっと信じがたいが、事実そうなっている組み合わせの妙。どちらもドライに技術を駆使しているのに、そこからは温度感のある音楽が生まれているこの不思議。たとえばMR.BIGの場合、技術至上主義の演奏陣を、エリ…
妙な塩梅 (中公文庫)作者:えのきど いちろう中央公論社Amazonえのきどいちろうはどれくらい有名なのだろう? だいぶ前に買っておいたままになっていた、えのきどいちろうの『妙な塩梅』というエッセイ集を引っ張りだして読んでみたら、これがものすごく面白…
冒頭からいきなりカバー曲で来るとは、なんと度胸のある若武者かと思った。しかしイントロが終わり歌に入るとカバー曲でもなんでもなく、単なるパクりだと気づいて愕然。それもそのはず、リフがあまりにPRETTY MAIDSの“Future World”まんまで、キーボードと…
明らかに意識的なスピード・ダウンがはかられている。そこからは、パンク/エモのフィールドから卒業したいとの意志が見て取れる。だが彼らの生命線であるメロディは、やはり変わることなくエモ的なそれをキープしており、つまり根本的な魅力は失われてはい…
2枚目のジンクスというものがある。それはもちろんデビュー作が良かったアーティストにのみ当てはまる事柄であって、スタートでコケた者たちの前にそんな贅沢な壁は登場しない。デビュー作にしていきなり豪速球を正統派HMシーンのど真ん中に投げかけることに…
↓《ニュース記事》【芥川賞講評】宮本輝氏「作家として成長した」 http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090115/acd0901152154007-n1.htm近ごろどうも文学の良し悪しを決める選考基準が、「的確に今という時代を切り取っているか否か」に偏っているよ…
[確かにデスでありスラッシュであるが、これほどまでにメロディアスな音楽は全ジャンルを通じて他にないと断言したくなる泣きの名盤。 ARCH ENEMYのアモット弟ことクリストファー・アモットのギターが繰り出す哀愁のフレージング・センスは、全盛期のマイケ…
名前を無理矢理英語に変換して楽しむという方法がある。 たとえば伊集院光が提唱した「勝新太郎」→「ビクトリー・ニュー太郎」(略して「ビクニュー」)とか、昔『VOW』で一世を風靡した「若林豪」→「若林オーストラリア」(略して「もみあげ」あるいは「ず…
ジミ・ジェイミソン名義でありながら、実はジム・ピートリックをどう評価するかで好き嫌いが分かれる作品。 復帰後のSURVIVORとPRIDE OF LIONS、どちらに近いかと言えば、後者に近い。それはつまりジム・ピートリックが全権を握っていることを意味する。メン…
このジャンク寄せ集め短篇集を読むと、あらゆる物事に結末など必要ないような気になる。物語はもちろん、お笑いのオチも、様々な人生の節目も。「起承転結」とか誰が決めたんだよ、と言いたくなる。 そもそも世の中には、誰が決めたのだかわからないルールが…
完成度はすこぶる高い。楽曲は間違いなく過去最高の出来を誇り、全体として隙がない。だが隙のなさが面白味のなさと感じられるものも世の中にはたくさんあって、この作品もそれに当てはまるように思う。問題は「隙のなさ」自体ではないのかもしれない。むし…
過小評価されているが、実はLOUDNESS史上最も楽曲粒ぞろいの名作。Vo.のみ米国人のマイク・ヴェセーラ。 一聴してまず感じるのは、英語をネイティヴスピーカーが歌うことによる絶対的安心感と安定感。 前任の二井原の粘っこい発声が、いかにこのバンドの個性…
正直ここまでやってくれるとは思わなかった。 たしかに前作で明確に化けた手応えはあったが、それはあくまでもアルバムの頭数曲の印象であって、後半流している感じは否めなかった。しかし今作は尻尾まできっちりあんこが詰まっている。もはやメタルコアの先…
ジャケ写に垣間見えるメタボリックな腹のごとく、さすがの王者も決定的な弱点をいよいよ隠しきれなくなってきた感がある。普通はそういった弱点は積極的に隠したくなるものだが、そこらへん大胆というか鈍感というだけなのか、あえて隠そうとしないのがむし…