泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「中二病患者」から「中二病患者」へ贈る処方箋

明日3月1日に発売される『rockin'on』4月号の「rockin'on review」というページに、4000字ほどの文章が掲載されています。タイトルは「『中二病』のグローバル・スタンダード」。 内容はTRAVISに関するものです。ドイツ語で書いた時点では、白い巨塔的な現代…

『TEN』/ENUFF Z'NUFF  『10』/イナフ・ズナフ

ルーツにも、どうやら流行というものがあるらしい。おそらくファッションの世界とかだともっと明確であるように思うが、「いま'70年代が来てる」とか「いやむしろ'80年代が逆に新しい」とか。あるいはもっとピンポイントで「'70年代フランスのあの映画のあの…

『LOVE'S DYING WISH』/STARBREAKER 『ラヴズ・ダイイング・ウィッシュ』/スターブレイカー

場慣れすると本性を露わにする男、トニー・ハーネルが二作目にして支配権を獲得。TNT時代からその好みは実に明確で、彼が曲作りに深く関わりはじめるとテンポは落ち、旋律は過度に耽美的になる。 自らの関わり具合がこれほど作品に表れる歌い手は稀少で、そ…

完成度と自由度のあいだで〜『R-1ぐらんぷり2009』感想〜

先日放送された敗者復活戦が低調だったのと、昨年のレベルがあまりに低かったので期待していなかったのだが、全体的には予想外に楽しめて嬉しい誤算。 『M-1』や『キング・オブ・コント』に比べるとかなり何でもありなので、設定のバリエーションの豊富さに…

『EMBRACE THE GALAXY』/RICHARD ANDERSSON'S SPACE ODYSSEY 『エンブレイス・ザ・ギャラクシー』/リチャード・アンダーソンズ・スペース・オデッセイ

◆どうせかっこいいなら、おもしろいほうがいい本当にかっこいいものは、笑えるようにできている。これはジャンルを問わずあらゆる物事にあてはまる真理である。たとえばかっこよすぎる男は必ず笑える。もし笑えないとしたら、その男のかっこよさが中途半端で…

『LONELY ROAD』/THE RED JUMPSUIT APPARATUS 『ロンリー・ロード』/ザ・レッド・ジャンプスーツ・アパラタス

いかにも面倒なバンド名に相応しい、ひと筋縄ではゆかぬ2作目となった。アルバムに先駆けて公開されていた「らしくなさ」全開のL.A.メタル曲“You Better Pray”を冒頭に配する曲順は、明らかに聴き手の混乱を狙っていて意地が悪い。ここで「すわ、HINDER路線…

『LOW RIDER』/NO FUN AT ALL 『ロー・ライダー』/ノー・ファン・アット・オール

完全に期待通りの方向性で来た復帰作。まったくブレがなくメロコア一直線の潔さ。外枠は完璧だ。しかし肝心のメロディが弱い。どうにも扇情力が足りない。再結成前の作『STATE OF FLOW』におけるスピード・ダウンが、まさにバンド自体の失速を体現するかのご…

『SHOGUN』/TRIVIUM 『将軍』/トリヴィアム

彼らはメタルコアというジャンルから飛び出すのではなく、そのど真ん中に立つ責を負いつつ枠組みを拡げてゆくことを選んだようだ。 全体に長尺曲が多くなり、めまぐるしく展開する楽曲構成からは何もかもを取り込む貪欲な姿勢が見える。だがそこには、前作ま…

『WILD FRONTIER』/GARY MOORE 『ワイルド・フロンティア』/ゲイリー・ムーア

ミュージシャンにとって、ルーツとはどのような意味を持つのだろう?生まれた環境にしろ音楽的影響にしろ、それが個人のアイデンティティのかなり多くの部分を占めるのは間違いない。つまりその人の個性を最大限生かすには、ルーツに忠実にものをつくるのが…

『BLACK ROSES』/THE RASMUS 『ブラック・ローゼズ』/ザ・ラスマス

どキャッチーな前々作『DEAD LETTERS』で日本でも大ブレイクを果たしたものの、前作『HIDE FROM THE SUN』が詰め甘だったためか、イマイチ評判にならぬ本作ゆえ、しばし見て見ぬふり。HMVのウィッシュリストにウィッシュされっぱなしでの不遇の数ヶ月を過ぎ…

『FOR(N)EVER』/HOOBASTANK 『フォーネヴァー』/フーバスタンク

意識的なスピード・ダウンを試みた前作を経ての新作だけに、不安は大きかった。彼らを他の米国ヘヴィ・ロック勢と差別化してきた大きな「売り」は、主に「爽快感」「躍動感」「伸びやかな歌唱」の三つの長所であると思う。それをもっとも表現していたのが、“…

『EVERYDAY DEMONS』/THE ANSWER 『エヴリデイ・ディーモンズ』/ジ・アンサー

60〜70年代の、ブルーズを基盤に置いたブリティッシュ・ハード・ロックを正当に解釈した音楽は、まるで教科書のように、とりあえず全体像として非の打ち所がない。ファスト、ミドル、バラードとバランス良く配置された楽曲、力強くエモーショナルな歌唱、確…

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