泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

短篇小説「壊れかけ包囲網」

崩彦の家では何もかもが壊れかけている。朝から洗濯機が妙な音を立てて。それでも槽はぎっこんばったん回り続け、やがてピーピー叫ぶので蓋を開けてみると、中はこんもり泡まみれ。逆に動作がすっかり止んでもまったくピーピーしない際にしびれを切らして蓋…

短篇小説「優しさはチャージのあとで」

本田優夫はすこぶる優しい男だから、ぶん殴った相手には絆創膏を多めに渡してやるのが常だ。リクエストさえあれば、そのうえで相手をひっしと抱きしめてやってもいいとすら思っているが、その場合はもう一発殴ることになる。もちろんその後に渡される絆創膏…

虚実空転日記「サバといつまでも」

騒音おばさんがじっくり煮込んだサバの味噌煮をご近所の玄関口にぶちまけたころ、著名なジャズマンは中学生ドラマーのドラムスティックを豪快に放擲していた。『ガリガリ君』のあたり棒の次に大切にしていたスティックを取り上げられた中学生は、素手による…

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