泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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ChatGPT歌詞「出汁を取らないで」(発注者による出汁のないライナーノーツ付き)

【※以下の歌詞は、題名以外すべてChatGPTに依頼して書いてもらったものである。】

(Verse 1)
雨降る夜 古びた扉が開く
ラーメン屋の奥 暖かな灯り
注文は不思議 出汁を抜いてくれ
甘くて苦い 未知なるフレーバー

(Pre-Chorus)
出汁のないラーメン 新たな冒険
舌を奮わせて 運命の一杯

(Chorus)
出汁を取らないで 味覚の扉を開けて
不思議な旅へと連れてって
香り高いスープ 心に溶け込んで
出汁のないラーメン 愛の味わい

(Verse 2)
客たちが見上げる 古びた店内
不思議な雰囲気 漂うエッセンス
誰もが驚き 口元緩む
出汁なしのラーメン 心を掴む

(Pre-Chorus)
出汁のないラーメン 新たな感動
舌を奮わせて 未知の味わい

(Chorus)
出汁を取らないで 味覚の扉を開けて
不思議な旅へと連れてって
香り高いスープ 心に溶け込んで
出汁のないラーメン 愛の味わい

(Bridge)
奇跡のような一杯 未知の世界へ
出汁なしの冒険 愛に包まれて

(Verse 3)
街の噂に広がる 不思議なラーメン
出汁を取らないで 心に響く
町の人々が足繁く通う
愛と冒険が詰まった 一杯の夢

(Pre-Chorus)
出汁のないラーメン 新たな可能性
舌を奮わせて 愛のフレーバー

(Chorus)
出汁を取らないで 味覚の扉を開けて
不思議な旅へと連れてって
香り高いスープ 心に溶け込んで
出汁のないラーメン 愛の味わい

(Outro)
出汁を取らないで 愛の味わいに酔いしれて
未知なるラーメン 心に響く このメロディ


[発注者によるライナーノーツ]
なんとなく頭に思い浮かんだフレーズを、投げつけるようにChatGPTに叩き込んで発注した歌詞である。題名の意図するとおり、中心にあるべき大事な何かが欠けた歌詞に仕上がっているように思う。

雰囲気だけの無難な導入は、ほとんど何も言っていないに等しい。だが続く《注文は不思議 出汁を抜いてくれ》の一行で、様相は一変する。

「出汁を取らないで」それはたしかに不思議な注文ではあるが、無茶振りにもほどがある。にもかからわず、そんな無理を言われた店主の側のリアクションがいっさい描かれていない。普通ならば、なにかしら言い返すほうが自然な場面である。

だがのちにそれがきっちり提供されることから、店主は文句ひとつ言わず出汁抜きのラーメンに取りかかったことになる。しかし店の中心にあるはずのその存在感は、この詞全体から完全に抹消されている。あるいは最初から店主など、存在しないのかもしれない。もしかすると本当の意味で幻の、幽霊ラーメン店ということなのか。

《注文は不思議 出汁を抜いてくれ》というその語順もなんだか意図的だ。前後を入れ替えるだけで詩的に響くとAIが考えたものと思われるが、たしかにその一定の効果は感じられる。

それにしても出汁を抜いたラーメンが、続く《甘くて苦い 未知なるフレーバー》であるとは、いったいどんな味なのか。ラーメンスープから出汁を抜いたところで、甘さと苦さが残るとは思えない。

ここは歌詞に頻出するコーヒーや紅茶の描写から、なんとなっく引っ張ってきたフレーズをAIが当てはめてきただけのように思われる。こういう横着は、いまのところAIにありがちな欠点ではある。おかげで急に学生街の喫茶店的な「青春感」が滲み出るという、意図せぬ効果を感じることもできるわけだが、それは好意的に受け取りすぎだろうか。

次に来る(Pre-Chorus)の部分では、単なるラーメン一杯、しかも核となる出汁を失ったそれを、「新たな冒険」「舌を奮わせて」「運命の一杯」と大袈裟な言葉で強引にスケールアップさせてくる。いかにも歌詞らしい手法だが、あきらかに言いすぎている。この調子だと、最後の晩餐にも出汁のないラーメンを注文しそうな勢いである。

満を持して来る(Chorus)の《出汁を取らないで 味覚の扉を開けて 不思議な旅へと連れてって》に関しても、この三要素のあいだにはファンタジックな飛躍がある。ラーメンに出汁が入っていなかったというだけで、不思議な旅に連れていってもらえると思うのは過度な期待というほかない。

ちなみに最終行に突如として「愛」という歌詞らしいフレーズが出てくるのは、まさに取ってつけたようである。ついでに《愛の味わい》と近場でとりあえず韻を踏んでいるのも、あわててつけ足した感が否めない。ここもAIの横着と見ていいだろう。

以降も、「奇跡のような一杯」「未知の世界へ」「出汁なしの冒険」などと拡大解釈的な表現が続き、最終的にその一杯の価値は《愛と冒険が詰まった 一杯の夢》という一行に集約される。気がつけば、いつのまにか少年漫画のような壮大なテーマに巻き込まれてしまっている。そうかこれは冒険ラーメン格闘漫画の主題歌であったのか。

それにしても最後の一行で、《未知なるラーメン 心に響く このメロディ》と、急にメタな視点からこの曲全体を俯瞰してくるのはちょっと怖い。これはしょせん歌の歌詞であるとわかったうえで、すべてをわかったうえで書いてみましたとばかりに、神の視点から最後の最後に見下ろしてくるようだ。

そういえば昔の歌には、《いま君に届けたい この歌を》的な、それまでの流れを最後に俯瞰視点から総括するタイプの閉じかたがそれなりにあったような気がしないでもない。きっとAIが、そのへんを「いかにも歌詞っぽい形式」と捉えて採用してきたということなのだろう。

いずれにしろ、歌詞を読んでも誰ひとり出汁抜きのラーメンを注文したいとは思わない、なんの影響力もない歌であることに間違いはない。まさにこの文字の並びこそが、私の注文どおりに出てきた「出汁のない歌詞」なのである。


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クレイII

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