泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

     〈当ブログは一部アフィリエイト広告を利用しています〉

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

短篇小説「夢のまた夢のまた夢」

目が覚めると僕はプロ野球選手になっていた。これは僕が生まれてはじめて抱いた夢だ。寝て見る夢ではなく、起きて抱く夢だ。だからこれは夢の中の話ではなく、外の話ということになる。どちらが現実かなんて、取るに足らないことだろう。 しかしプロ野球選手…

短篇小説「過言禁止法」

SNSの流行により日本語は乱れに乱れた。どう乱れたかといえば端的に言って万事表現がオーバーになった。 短文の中で自己表現をするとなれば自然と過激な言葉に頼るようになる。さらには、ただ一方的に表現するだけでなく互いのリプライによる相乗効果も働く…

短篇小説「紙とペンともの言わぬ死体」

繁華街の路地裏で、紙とペンを持った男の死体が発見された。彼は死ぬ間際、いったい何をそこに書きつけようとしていたのか。 そこで真っ先に「遺書」と考えるのは、いかにも浅はかな素人推理である。なぜならば死体が着用していた上着のポケットからは、別に…

短篇小説「ALWAYS 二番目の銀次」

あまり知られていないが、あらゆるジャンルでコンスタントに二番手のポジションを獲得し続けてきた男がいる。男の名を銀次という。皮肉なことに、銀次はその出生からして二番目であった。だがそれは、いわゆる「次男」という意味ではなく。 山に、老夫婦が住…

短篇小説「フクロウこそすべて」

この世のすべてフクロウになったのは、いつからだったろうか。 ある日、意中の女性とデートしていた私は、一件目の盛りあがりを受けて、彼女を二件目に誘った。だがそこで彼女が発した言葉に、私は衝撃を隠せなかった。「ごめんなさい、今日はウチにフクロウ…

Copyright © 2008 泣きながら一気に書きました All Rights Reserved.