泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2015-01-01から1年間の記事一覧

失言ポロリ系LINEスタンプ『権力ちゃん』新発売

有無を言わせぬ顔圧と含みのある発言で、グイグイと一般市民をプレッシングしてくる権力者の肖像。これさえあれば、どんな願いも思いのまま!? だけど時々ちょっぴり乙女……。虚実空転レーベルのLINEスタンプ第2弾ができました。その名も『権力ちゃん』(「権…

未来予想図Ⅲ

先日、今年の漢字が「安」と発表された。となると来年は「岡」で再来年は「力」、その次はもちろん「也」ということになる。ちなみにその先は「帆」と来て「立」と続くことになっている。大変な世の中になる。なにしろ来年は「岡」である。何がどうなるとそ…

短篇小説「河童の一日 其ノ六〜河童 vs 家電量販店〜」

河童だって音楽が好きだ。文字どおり、音を楽しんでいる。といっても、川のせせらぎとか鈴虫の鳴き声とかじゃなくて、普通に人間の好む音楽を河童も聴く。エミネムとか。NO MUSIC,NO KAPPA LIFE.ただしイヤホンがすぐ駄目になるので困る。河童は年がら年中濡…

短篇小説「河童の一日 其ノ五」

今日は八百屋のおっさんにきゅうりで殴られた。売りもので殴るなんてどうかしてる。ちなみに二刀流だった。しかもきゅうりが僕の大好物だってことを、八百屋のおっさんはもちろん知っている。となると、「わざわざ相手の好物を用いて殴る」という行為は、果…

LINEスタンプ『いいねボーイ』新発売!

時は生き馬の目を抜くSNS戦国時代。再頻出単語「いいね!」を制する者はLINEを制すとか制さないとか。 善意のみでなく悪意や嘲笑までフルカバーする「いいね!」バリエーション全40種で、目指せニュアンス自在のいいね無双――。というわけで、LINEスタンプを…

「本日の1曲」はじめました

今週より公式HP『虚実空転島』【http://tmykinoue.wix.com/halftruth】のトップページに、「本日の1曲」というコーナーを新設しました。個人的におすすめの、というか単に自分の好きな楽曲の動画を日替わりで紹介していこうという枠ですが、せっかくならば堂…

新語流行語全部入り小説2015

秘技アゴクイと切れ目のない対応で結果にコミットする上級国民のプロ彼女と、風呂上がりに全裸で腰を屈めた五郎丸ポーズで「安心して下さい、穿いてますよ。」と言いつつ毎度穿いてない、というルーティンを繰り返す自称ミニマリストの下級老人との恋愛関係…

悪戯短篇小説「ウーピー対ゴールドバーグ」

賛成派の筆頭がウーピーで、反対派の筆頭がゴールドバーグだった。もはや何について賛成し反対しているのかは、誰にもわからなかった。とりあえずウーピーはコーヒーを、ゴールドバーグは野菜ジュースを飲んでいる。ゴールドバーグがストローを加えた隙に、…

悪戯短篇小説「恋は瀕死」

健壱は桜子のことが死ぬほど好きだったが桜子は健壱のことが死ぬほど嫌いだった。それは健壱が桜子に、「君のことが死ぬほど好きだ」と決死の覚悟で告白したからだ。その言葉を聴いた桜子は、本当に「死ぬほど好き」ならばいっそ死んでくれ、と声を殺して呟…

短篇小説「河童の一日 其ノ四」

「河童も恋をするの?」という質問を近ごろよく受ける。芸能人が立て続けに結婚を発表しているせいだろうか。YES,もちろん河童だって恋をする。カラオケに行けば、渡辺美里の「恋したっていいじゃない」も歌う。「MAJIでKOIする5秒前」は歌ったことがない。…

ラグビーの起源を捏造する

ラグビー日本代表が歴史的勝利を挙げたというので、時流に乗って普段観ないラグビーなど観てみると、どうやらボールを持っている人が大変な目に遭っている。四方八方から複数の人間に飛びかかられ、しがみつかれ、引きずり倒され、のしかかられるという惨状…

短篇小説「河童の一日 其ノ三」

僕ら河童は漢字で書くと「河」の「童」ということにいつの間にかなっているが、これも河童がこうむっている風評被害のひとつである。河童だからといって、もちろん「童=子供」ばかりなんてはずはなく、河童にもジジイやババアはいる。最近はむしろそっちの…

東京五輪エンブレム問題とクリエイターのゆくえ

東京五輪エンブレムに関する一連の騒動を見ていると、「クリエイターとは何か?」「オリジナルとは何か?」という根源的な問題に、毎度必ず行きつくことになる。これはデザイナーだけでなく、すべての制作者にあてはまる話だ。大前提として言えるのは、どの…

短篇小説「河童の一日 其ノ二」

今日は人間の友達の家へ遊びに行った。彼の家へ行くのは初めてだった。家にあがるやいなや、人間の女にすこぶる嫌な顔をされた。友達の母親らしかった。一瞬にして花柄のスリッパをビショビショにしてしまったからだと思う。河童なのだから当然だ。河童を家…

『若い読者のための世界史』(上・下)/エルンスト・H・ゴンブリッチ

世界史への入口として最適の書である。世界史アレルギーの人にこそお勧めしたい。大学受験で日本史を選択した僕も、その一人として読んだ。ちなみに若くはない。しかし門はここに開かれている。とはいえ世界史の知識が、完全に網羅されているわけではない。…

短篇小説「河童の一日 其ノ一」

朝起きたらヘッドソーサーにうっすらカビが生えていて抜群に哀しかった。テレビのニュースであまりに熱中症熱中症言うものだから、警戒しすぎて寝る前に皿を経口補水液で濡らしすぎたせいだ。CMで所さんにまで言われたら濡らすしかない。あの人熱中症でいく…

羊たちのランボー 怒りのカジュアルフライデー…金

なんでもかんでもネガティブに傾きがちなこのご時世。しかし景気や株価が風評世評に少なからず左右されるように、ちょっとした噂や評判で世相が一変してしまうことも珍しくない。そしてそんな評判の中身を構成しているのは、もちろん「言葉」であるわけで、…

悪戯短篇小説「非売品未体験レポーター吹子」

いえいえほんと、飲むだけで痩せるなんて、これっぽっちも思ってなかったんです。だって普通思いませんよね、1日にたった30キロ走って、サウナで2時間まんじりともせず、この水(編集部註:『フレッシュスリムポイズンウォーター』)をくぴっと3リットル弱飲…

『族長の秋』/ガブリエル・ガルシア=マルケス

一文一文に含まれる情報量がすこぶる多く、脳に大きな負荷のかかる文体で描かれる大統領の一代記。ちなみに「情報量」とは役に立つという意味ではまったくない。一文で伝わってくる感覚、感情、イメージ量が圧倒的に多いということで、別に物語進行上必要不…

悪戯短篇小説「文字通り」

ここは県内きっての目抜き通り、その名も「文字通り」。文字通りというからには、その名の通り文字通りの店が並ぶ。看板に偽りなしとはまさにこのことである。 駅を出て、「文字通り」と書かれたアーチを抜けたすぐ右手にあるのは、「靴屋」という看板の掲げ…

厚伐りワシントン

アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントン幼少期の有名な逸話といえば、「桜の枝を折ってしまったが、素直に謝ったら許された」というものである。いつどこで習ったのだかわからないが、僕はどこかで聴いてなんとなくそう記憶していた。桜の木の枝を持…

ある日のアルフィー

ファン「金髪…グラサン…パンタロン…そしてロンドンブーツ……あっ、やっぱりそうだ! す、すいません! ひょっとして、ザ・アルフィーのザ・高見沢さんですよね?」 高見沢「え? あ、そうだけど。『ザ』じゃなくて『ジ』ね」 ファン「あ、すいません僕とした…

「ヘヴィ・メタル・アルバムのベスト・オープニング・ナンバー 10選」に乗っかってみる

こんな記事があったので乗っかって選んでみようと思う。記事内のものだと明らかにCHILDREN OF BODOMあたりは「絶対その曲じゃないだろ」感が強いが、アメリカでは初期の叙情性はむしろ邪魔なのかもしれない。【「ヘヴィ・メタル・アルバムのベスト・オープニ…

『人間小唄』/町田康

近年の町田康作品における突き抜けた傑作。バランスの取れたエンターテインメント性よりも、初期作品に通じる文学的な過剰性が随所で優先されているように見える。せっせと拵えた設定を自らの手により積極的破綻に追い込む狂気のテンション。

『靴の話/眼 小島信夫家族小説集』/小島信夫

小島信夫らしい因果律の狂いは一貫しているが、作風は案外バラエティに富んでいる。前半の数作はカフカ的あるいは安部公房的不条理文学。後半はやや私小説的な作品が並ぶ。「抱擁家族」はもちろん名作だが、それ以上にその原型である短篇「馬」のほうが個人…

「木の実ナナ」の対義語を考える

言葉には基本的に、反対の意味を持つ「対義語」というものが存在する。人の名前だって言葉である以上、そこにも対義語というものが常にあり得るのではないか。というわけで、人の名前の対義語を考えてみたい。なんの役にも立たないのは言うまでもない。名前…

何もかも、何かのせいにしてみよう

嫌なことがあったら、何かのせいにするのがいい。とはいえ身近な誰かのせいにすると、八つ当たりで嫌われる。だから何かのせいにするのなら、相手は「アバウトな事象」や「遠くの誰か」が望ましい。たとえば自分がモテない場合、それを何のせいにするのが良…

【歌詞】「火に少しと書くが強火で」

いつからだろう心から 気持ちが剥がれてしまったのは 炒めすぎたよ何年も 擦りすぎたよ何べんもOnly Lonely 気づいてみれば Heavily Oily キミはいないなぜだテフロン I Miss You 待てよテフロン I Need You 剥がれたキミは 今いずこ? まさか僕が この僕が …

悪戯短篇小説「あくまで死にたい小田島」

誰にも似てない田之倉が、高校時代からの友人である気持ちで負けない岡島との待ち合わせ場所であるいつもの喫茶店に到着すると、気持ちで負けない岡島の横に仏頂面の見知らぬ男が座っていた。気持ちで負けない岡島は、注文を取りに来た店員にお冷やを豪快に…

ひな祭りちらし革命

いくらなんでもちらしすぎである。そんなにまでして何をちらしたいのか誰にちらされたいのか。僕らが小さいころはむしろあの直角三角形の、噛むと歯にねちゃりと粘りつく思いのほか軽量なあいつと小粒のあられがメインだったような気がする。3月3日のスーパ…

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