泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2014-01-01から1年間の記事一覧

悪戯短篇小説「故事らせ恋物語」

恋のはじまりは目薬だった。煎じて飲むための爪垢収集にしばし熱中していた故彦(ゆえひこ)は、その細かな作業のせいで七度転んだり八回転げたりするほどではない疲れをその目の奥にじんわりと感じたので、目薬を注すことにした。思いがけず降り続けること…

悪戯短篇小説「新語流行語全部入り小説2014」

もはや昼間っから暇を持てあましたタモロスのマイルドヤンキーと、地方議員のセクハラやじを書き続けてきたゴーストライターしか住んでいない消滅可能性都市の絶景をバックに、こじらせ女子を卒業した輝く女性がアイス・バケツ・チャレンジを行った。それは…

もうポイントカードなんて作らないなんて言わないよ絶対

我々は、ポイントカードを使うことでいったいどれだけの時間を無駄にしているのだろう?と言われてもピンと来ないと思うのでもう少し現実の行動に即して言うと、「ポイントカードを財布から取り出し、店員に渡して戻ってくるまでの時間」のことを主に言って…

雑誌及びWEB媒体掲載文章一覧

【ROCKIN'ON JAPAN】(※冒頭に《》表記のないものはすべてディスクレビュー)《お笑いDVD評》『ナイツ独演会 其の二』(ROCKIN'ON JAPAN2012年3月号) your gold,my pink『TEENAGE RIOT』(ROCKIN'ON JAPAN2012年3月号) LAST ALLIANCE『c.s.c 20022011』(R…

翳る尻を乾かす方法

サプリやお菓子を完全消費すると袋の中から残念賞のようにこぼれ落ちてくるあいつ。あるいはサプリの錠剤を2粒3粒と取り出すたび一緒に出てきては、「お前じゃねーよ!」と植木等扱いでお呼びでない罵声を毎度浴びせられるあいつ……。――奴の正体は泣く子も乾…

号泣会見という発明

それにしても号泣会見には度肝を抜かれた。少なくともこの一撃で生レバーが砂肝になるくらいには。佐村河内、小保方と続いた謝罪会見ブームに、さらなるクリエイティヴな一手が叩きつけられた。これまで誰も思いつかなかったのだからクリエイティヴと言うほ…

雨の日に水を

雨の日に植木に水をやっていると狂人だと思われるような気がしてならない。植木は雨のあたらない場所にあるから天気にかかわらず水をやる必要があるのだが、通りがかる人にいちいちその事情を説明して聴かせるわけにはいかない。それこそ狂人だと思われる。…

野暮天なぞなぞ考

なぞなぞは、正解がひとつでなければ面白くない。ところがどうだろう。多くのなぞなぞには、実のところ正解が複数存在する。これは由々しき問題である。たとえばこんなメジャーな設問。「パンはパンでも食べられないパンはな〜んだ?」正解はもちろん、「フ…

悪戯短篇小説「隣は何をする人ぞ」

学校の門前に文具屋があり、競馬場の向かいに消費者金融があり、飲食店にトイレがある。世のなか合理的にできている。男が倒れたのは美容院の前だった。男の頭髪は燃えていた。パーマネントに失敗したのだ。失敗の方法は色々ある。男はとりあえず、美容院の…

「知らんがな」の効能

どうでもいい言葉は、時に人の心を癒やす。その空っぽな言葉は、商店街にある靴修理屋の店頭に置かれた小さな黒板に、下手な字でしかし丁寧に書かれていた。以前からその黒板のことは、少し気になっていた。わざわざ店先に置いてあるのだから、やはりそこに…

電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』発売のお知らせリターンズ

AmazonのKindleストアにて発売中の電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』が、このたびiOS(iPhone、iPad、iPod Touch)対応になりました。もちろんKindleやAndroid携帯でも読めます。ただしスイカ割りなどの最中で目隠しをしていると読めないこと…

通販番組にあらわれたネクストレベルの注意書き

深夜の通販番組をなんとなく流していると、お爺さんが商品の魅力を語る画面の右上方に、謎の注意書きがフワッと出現した。※エキストラ派遣会社を通して応募何を言っているのであろうか。しかしまもなくそのテロップは消え、「※効果には個人差があります」「※…

YES,何も言わず抱きしめて…夏

夢の中の僕は、なぜかJ-WALKの「何も言えなくて…夏」というあの超有名曲の歌メロが、何かの明確なパクりであるように思いはじめる。もちろん、起きてみると特にそうは思わないし、そもそもそれについて考える必要をまったく感じない。だが夢の中の僕は、音楽…

偽報の時間です2

●テレフォンショッキングに登場した佐村河内氏に、「髪切った?」とタモリがいつもの感じで。●木下藤吉郎秀吉が織田信長に捧げる新曲「ゲレンデがとけるほど御意したい」。●「3歩進んで2歩下がる」と聞くと3度の成功と2度の失敗、つまり成功率3/5=60%と思…

電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』発売のお知らせ

当ブログに掲載していた悪戯な短篇小説らをこのたび一斉召集し、電子書籍化しました。プロの絵師にわざわざ発注した表紙画をはじめ、著者あとがき・解説(講談社文芸文庫並みの長文)・レーベル名(虚実空転文庫)・ロゴマーク(髭の奴)、挿絵(耳毛の奴)…

鬼と仲良くする方法

恵方巻きがどうにも流行りすぎていて怖い。節分の日、スーパーの寿司コーナーの9割方が恵方巻きで埋め尽くされている。しかし見た目的には、外皮部分にあたる海苔ばかりがひしめき合う様子を見下ろす形になるので、その一角は絶望的に真っ黒だ。平穏なスーパ…

デジタルな店員

あらゆる業種の店員がデジタル化している。デジタルというのはつまり中間領域のない0か1かの世界。どんなに数値を細かく刻んでいっても、結局のところその構成要素は0か1でありYESかNOだ。そこには「いい按配」というものが存在しない。柔軟性など望むべくも…

噂の新年

数年前からあけるあけるとは聞いていたが、正直ここまであけるとは思わなかった。これもまたどうせ「あけるあける詐欺」だとたかをくくっていた。何がといえば年が、である。みな年は勝手にあけると思っている節があるが、それは大きな間違いである。毎年の…

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