泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

書評『声の網』/星 新一

これは物語のふりをした、世界一読みやすい予言の書であるかもしれない。予言の書は予言が現実化する前に読まねば意味がないように思われるが、いざ見事にすべてが現実化してしまったあとのいま読んでこそ、背筋の凍る答えあわせが楽しめるというメリットも…

短篇小説「耳毛をちぎらないで」

真夜中の路地裏。濡れた壁面に押しつけられ、片耳細コードイヤホンの北村が、大型ふかふかヘッドホンの西沢に左手で胸ぐらを掴まれている。大型ふかふかヘッドホンの西沢は、片耳細コードイヤホンの北村の胸元で自分を挑発するように揺れ動くコードを、右手…

短篇小説「ベバルの誤塔」

十年かけて、ついに私は金字塔を打ち立てた。いや実際には金字塔ではなく、隣の塔にそっくりな近似塔なのであった。 高さもデザインも内装もまったくそっくりな違法建築である。そもそも隣の塔が違法建築なのだから、それを真似したらそうなってしまうのは仕…

ディスクレビュー『MIDNIGHT EMPIRE』/ONE DESIRE

Midnight Empireアーティスト:One Desire発売日: 2020/05/22メディア: CDヨーロッパとアメリカの中間地点が、フィンランドにあったとは。正確に言えば「欧州ヘヴィ・メタル」と「アメリカン・ハード・ロック」の中間地点だが、そんな「欧米折衷」を理想に近…

レジ袋有料化後の世界

いま我々は、レジ袋有料化以後の世界に生きている。もうあと戻りはできない。いや、しようと思えばできるんだろうけど。レジ袋が完全有料化されたおかげで、あちこちで珍妙な光景を頻繁に見かけるようになった。弁当と缶コーヒーと漫画雑誌を両手いっぱい胸…

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