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EURO2024日記~7日目~

初戦はスムーズではないながらも勝ちきったイングランドが、デンマークと引き分け。内容的にはデンマークの試合だった。グループリーグ突破のための結果としては悪くがないが、これは悩ましい。

この日は明らかに、初戦の得点者であるベリンガムがブレーキになっていた。

英国メディアでは、初戦を受けてフォーデンの機能不全が指摘されており、その要因としてベリンガムと中央エリアでバッティングする問題が挙げられていたらしい。たしかにケインも下がってボールを受けるタイプなので、自然に動くとトップ下の位置で三者がバッティングすることになる。

この試合を観ていて特に気になったのは、こういったいまのプレミアリーグ上位陣が志しているような流動的なパスサッカーにおける、ベリンガムのトップ下適性のなさ。彼は得点力こそあるものの、どうやらトップ下の選手にしてはさほど気の利くタイプではない。

両サイドにサカ、フォーデン、さらにトップにケインを置いた現状のフォーメーションにおいてトップ下の選手に求められるのは、この3トップとのポジショニングの流動性であり。それぞれとの自在なパスの往還である。しかしこの三者とのリンクが、現状ではまったくといっていいほど機能していない。

たとえばアーセナルでは、サカの付近には必ずオーデガードが衛星のようについてまわっていて、この二人のワンツーによってエリア内に侵入してゆくシーンが頻繁に観られる。さらに言えばそこに右サイドバックのホワイトも絡むことによって、右サイドからの攻撃は相手にとってより予測不可能になる。

だがサカがボールを持った段階で、それを合図にベリンガムがそちらに寄っていくシーンはあまりにも少ない。それは逆サイドのフォーデンに関しても同じで、ベリンガムと両サイドのコンビネーション・プレーがほとんど観られないのである。

さらにトップ下の選手には、守備をする際に前戦からプレスのスイッチを入れる役割もあるが、彼に前から積極的にボールを追いまわす様子はない。これに関してはトップのケインに関してもそうで、以前の彼はかなり献身的にプレスに走る印象があったが、いまは年齢のせいかバイエルンでそれを求められていないせいか、その手の動きが少ないように見える。

そういった守備における献身性はドルトムントやスパーズでは求められていたが、レアルやバイエルンでは求められない役割なのだろうか。しかしいまのイングランド代表においては、必要不可欠な動きであるように感じる。守備に切り替わった際の彼らの動き出しが鈍いせいでプレッシングのスイッチがなかなか入らず、ボールを奪い返すことがなかなかできない。

それにしてもサウスゲートは初戦の連携の悪さを認識したうえで、なぜまったく同じスタメンでスタートさせたのか。右利きのトリッピアーは左サイドでまったく攻撃に絡めず、アレクサンダー=アーノルドのボランチ起用も圧力が足りず結局ギャラガーでエネルギーを補充する結果に。

わかりやすい応急処置としては、ベリンガムを一列下げてライスと並べ、トップ下にどうせ中に入ってくるフォーデンを、そして左ウイングには中に切れ込んで右足でシュートを打てる選手(本当はグリーリッシュかラッシュフォードだが、なぜか呼んでいないのでゴードンになるのか?)を入れるくらいだろうか。

そうなるとパーマーやボーウェンがもったいないことになるが、彼らはいずれも左利きなので、左サイド起用となるとフォーデンと同じ問題が起こるだろう。それにしてもこのチームには、本当に右サイドの優秀な選手が多すぎる!

というわけでイングランド代表には言いたいことがたくさんあるが、それもタレントの豊富さゆえ。贅沢な悩みのようでもあるが、こうなると監督の無策っぷりが露呈しやすくもある。

スペイン対イタリアの強豪対決は、いかにもこの2チームらしすぎる試合に。

しかしスペインはポゼッションするわりに、最後のクロスだけ結構アバウトに放り込んでいるのが気になった。アーセナルやシティでやると確実に怒られるやつ。

それにしても左ウイングのニコ・ウィリアムズの突破シーンが多く、彼はいかにもビッククラブに高く売れそう。バイエルンあたりにいるのが似合う気もするが、プレミアでも欲しがるクラブは多いだろう。

あとは引き続き好調のファビアン・ルイスと、止めすぎるどんなもんだいドンナルンマ。GKが彼でなければ、3-0ぐらいが妥当な試合内容だったのではないだろうか。

そして今夜の注目は当然オランダ対フランス。順当にいけばフランスだが、オランダは強豪相手にどれくらいボールを持てるのか、まだ良くわからない。初戦の功労者であるヴェグホルストを、先発で使ってくるのかどうか。

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