泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

圧倒的売り上げのみが作りだすことのできる渦、好き嫌いを越えて〜村上春樹『1Q84』を聴く〜

村上春樹『1Q84』に関して、すでに書評集のようなものも出ていますが、とりあえず無料でいろいろな意見を聴きたいという方は、以下の仲俣暁生氏のブログで紹介されている2つのポッドキャストを聴くと良いと思います。(いちおうここでもポッドキャストへのリ…

『SANCTUARY』/PRAYING MANTIS 『サンクチュアリ』/プレイング・マンティス

忘却の彼方から舞い降りた「哀愁の権化」6年ぶりの新作は、予想外の充実作となった。6th『NOWHERE TO HIDE』がその前の名作5th『FOREVER IN TIME』の焼き直しであったあたりから見えていた行き詰まりの予感は、前作にあたる7th『THE JOURNEY GOES ON』におけ…

『OCTAHEDRON』/THE MARS VOLTA 『八面体』/ザ・マーズ・ヴォルタ

この圧倒的な静けさを前に、「進化」や「新境地」といった言葉をつい使いたくなるが、そういった印象は言葉として便利なだけで、実際のところ非常に疑わしく、何も言っていないに等しい。たとえば本作が、RADIOHEADにとっての『OK COMPUTER』であるかと言え…

『1Q84』/村上春樹 追記

村上春樹の『1Q84』はたしかに力作なのだが、今という時代において彼の言葉から匂い立つ「致命的なダサさ」についての批判がなさすぎると感じている。相変わらずのレモンドロップ&自作サンドウィッチといい、ジャズやクラシックを賛美しロックを無条件に見…

メロディとグルーヴの融合への挑戦者

7/21に、スウェーデンのベーシスト、マルセル・ヤコブが亡くなったとのこと。詳細はこちら↓http://www.bounce.com/news/daily.php/20281/headlineclickマルセル・ヤコブといえば、もちろん初期イングヴェイ・マルムスティーンを支えたベーシストとして有名だ…

『SCARS & SOUVENIRS』/THEORY OF A DEADMAN

NICKELBACKのチャドが見出したことで知られるカナダ出身の三人組。Voの頭髪はコッペパンのようなリーゼントである。デビュー当初はVoの声質も含めてNICKELBACKの二番煎じ扱いされ、また音楽的にもまさにその通りだったと思うが、この3rdで完全に化けたという…

世界よりも厳しい男

悲しいとしか言いようがない。それはもう痛快なほどに悲しい。つまり、見ているぶんには愉快。先日、焼鳥屋にて、隣りあわせた男。男は4人掛けテーブルに、二人の女性と向かいあって座っていた。関係はまったく不明。全員20代後半くらいで、パッと見は男が二…

『ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人』

長篇ストーリーを構成するうえで必要不可欠なのは、何よりもキャラクターという軸である、ということを痛感させられる作品である。キャラ同士の出会いと別れに必然性があり、本来は個々に別々の目的を持つ彼らそれぞれの意志が絶妙にクロスオーバーしながら…

日村、蛍ちゃん、山ちゃん、徹子

というマッシュルーミングな4人組によるBOXセット。『ザ・ビートルズ・ボックス』 『ザ・ビートルズ・モノ・ボックス』 ↓詳細情報はこちら http://www.cdjournal.com/main/news/news.php?nno=25145買っておくべきか買わざるべきか…。どうせ買うならこの機会…

『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』/DREAM THEATER 『ブラック・クラウズ&シルヴァー・ライニングス』/ドリーム・シアター

何度聴いても全体像を把握することが困難で、だからこそ何度も聴き続けてしまう中毒性を持つのはいつもの通り。それはプログレッシヴ・ロックの魅力でもあり、とっつきにくさでもあるだろう。近作において彼らは、「音像のヘヴィさ」という明確な入口を設け…

悪戯短篇小説「ランドリー・マン」

油谷は蝉の抜け殻を集めていた。今では洋服ダンスの5段すべて、蝉の抜け殻で埋め尽くされている。抽出をあけるたびにキュッキュと鳴くのは、もちろん蝉の仕業ではなくタンスが古いせいだ。あくまでも抜け殻であり、油谷は蝉本体に興味はない。当初は、ストリ…

『LIFE IN-BETWEEN』/ROYAL BLISS 『ライフ・イン-ビトウィーン』/ロイヤル・ブリス

現代アメリカン・ロックの王道は、同時期に日本発売された懐古集団CHICKENFOOTよりも、むしろこちらだろう。NICKELBACK、SHINEDOWN、3 DOORS DOWNをはじめ、アメリカで売れているヘヴィ・ロックど真ん中に位置する音楽性には、日本デビューとなる本作におい…

『DEATH MAGNETIC』/METALLICA 『デス・マグネティック』/メタリカ

◆わからなさ青天井、なのにけっきょく蟻地獄 METALLICA『DEATH MAGNETIC』は何がどうなってこうなのか?新譜を出すたびコンスタントに聴き手を混乱の渦に陥れてくれる蟻地獄系アーティストというのが少なからずいて、こちらは好むと好まざるとにかかわらず進…

【歌詞】「暴飲暴食の限り」

とりあえずビールに食パンを浸し 麦茶と麦チョコも並べて麦づくし 大根おろしでかいわれを喰らい ちくわの穴にかまぼこをねじ込む たこ焼きをお好み焼きで挟み込み チーズをチーズでフォンデュする 好きなものと好きなもの みんなはかぶってるとか言うけど …

『STREETS OF FIRE』/PLACE VENDOME 『ストリーツ・オブ・ファイア』/プラス・ヴァンドーム

声の魅力とは何なのだろう? マイケル・キスクの声が、飛び抜けて個性的だとは思わない。たとえばアクセル・ローズやグレン・ヒューズに比べれば、声も歌い方もごくプレーンである。なのに誰もが彼の声を欲しがるのはなぜか? 外部ソングライターの楽曲を歌…

【歌詞】「アバウト・ソング」

確かにあいつは言った あれをもっとこうしたほうがいいって だけど俺は言ってやったんだ あれはあれとしてあのままにしておいて それはそれで別物としてやったほうがいいってそのとき並木道にはすごくいい感じの花が咲いていて どこからともなく可愛らしい動…

複雑音楽の宴

DREAM THEATERの新作『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』が、なんと全米ビルボード初登場6位!http://www.billboard.com/bbcom/charts/chart_display.jsp?g=Albums&f=The+Billboard+200ちなみにMARS VOLTAの新作は初登場12位。こちらは前作が初登場3位だった…

【歌詞】「あべこべHEAVEN」

ティッシュ配りのお兄さんに トイレットペーパーを差し出したことはあるかい?「喜んで」連呼の店員に シャンパンファイトを挑んだことはあるかい?アンダースローのピッチャーに ソフトボール投げで返すキャッチャーはいるかい?やられたらやり返せ! ささ…

【歌詞】「お覚悟ONE & ONLY」

ちょんまげ飛ばした夜にゃ 頭蓋の溝がひどく痛む できるだけ飛ばしたくはないのだが 飛ばさなきゃ救えない命があるあんかけ浴びせたとなりゃ テレビ前の奥様から苦情殺到 そうなれば番組終了の危機だが 浴びせなきゃ作れない髪型がある竹馬乗り回した後にゃ …

【歌詞】「気まぐれ様SUMMER」

夏が来ちゃったらどうする? 夏が来て、しかもとびっきり暑かったらどうする? 夏が来て暑くて、万がいち蝉がうるさかったらどうする?夏から「15分遅れる」と携帯にメールが 「近くの喫茶店に先入ってて」と思いやりの文言が 15分後には「もうすぐ着きます…

『1Q84』/村上春樹

ファンタジーにしては現実的すぎ、ミステリーにしては現実味が足りない。純文学にしては物語的すぎ、エンターテインメント小説にしては文体がまどろっこしい。社会派小説にしては軽すぎ、ユーモア小説にしては重すぎる。あらゆる意味で中間的な小説である。…

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