泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

短篇小説「おやつんクエスト」

都会の喧噪を離れたリゾート地たけのこの里に、ルヴァンという名の王子がいた。ルヴァンはことあるごとにパーティーを催すことでお馴染みのリッツ家の跡取り息子で、顔にあばたが多くその皮膚はところどころ塩を吹いている。 かつて隆盛を極めたリッツ家も、…

短篇小説「ネタバレ警察」

新部署に配属されたばかりの越智裕三が、スーパーのおやつ売り場でお菓子のパッケージをひとつひとつ手に取りながらひとりごとを言っている。「『ポッキー』か……これはやっぱり、食べたとき鳴る音からそう名づけられたんだろうな……だとすれば確実にアウト、…

短篇小説「反語の竜」

竜は素直じゃない男だ。彼は産道の中ですらも、「産むなよ、産むなよ」と心の中で念じていたという。もちろん産まれたくないわけではなかった。だが本当に産まれたかったのかどうかは、物心ついていないのでよくわからない。 竜の少年時代には苦い思い出が多…

桜の樹の下には屍体が埋まっているらしいので

桜の樹の下には屍体が埋まっている、と梶井基次郎は言った。だとするならば―― クワマンの下にはセカンドバッグが埋まっている。 しょんべんカーブには虫が止まっている。 Tカードには使うほどでもないポイントが溜まっている。 ガチャガチャのカプセルには原…

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