泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2026-01-01から1年間の記事一覧

短篇小説「未然会議」

わたしは充分な準備を整えたうえで重要な社内会議に臨んだ。といっても、別に企画書等を準備する必要はなかった。なぜならばこれは、この先に何かを生み出したり、立ち上げたりするための会議ではないからだ。この場でアイデアをただ発表しさえすれば、それ…

絶対に出ない国語現代文入試問題~短篇小説「おやつんクエスト」より~

ふと自分がこれまでに書いた短篇小説を使って国語現代文の問題が作れないかと思い、問いの作成及びその解答/解説をAIに発注してみることにした。結果、ふざけた本文と生真面目な設問/解説のあいだに、妙な異化効果が生まれているように思う。絶対に試験に…

短篇小説「運命指南役」

あなたがもし幸せになりたいのならば、家を出てひとつめの角を右に曲がってください。そこでぶつかった相手が、あなたの運命の人です。 誰ともぶつからないようであれば、あなたに必要なのはその角ではありません。そのまま真っすぐに進んで、次の角を左に曲…

短篇小説「河童少年のモイモイモイスチャー日記 其ノ二十六」

近ごろ迷惑メールが増えていて困っている。《お得なグリーン副業あります。即日キュウリ百本進呈!》 《マッチングアプリ『カパーズ』にご登録ありがとうございます! 本河童確認をお願いいたします》 《国際河川郵便が届いております。至急お受け取りの手続…

「関係者以外立入禁止」みたいな捏造看板10選

刑事ドラマを観ていたら「関係者以外立入禁止」の看板が出てきて、なぜだかそういう看板を作ってみたくなった。看板それ自体というよりは、そのフレーズの響きがなんとなく引っかかったのかもしれない。なんだかその連続する言葉のリズムの完成度が妙に高い…

短篇小説「過言刑事・過田玄堂」〈非戦力系刑事シリーズ〉

「つまりお前は、地球をまるごと盗んだってわけだ!」 取調室で容疑者の顔面にひん曲げたデスクライトをカッと浴びせながら、ひとりの刑事がそう断言した。この刑事の名を過田玄堂という。「いやいや、だから俺が盗んだのはペン一本っすよ」 万引きの容疑を…

「I love you=月が綺麗ですね」みたいなロマンス意訳選手権

かつて夏目漱石が「I love you」という英文を「月が綺麗ですね」と意訳したというロマンティックな逸話があるが、あれはどうも根拠が見当たらないらしい。しかし面白い話ではあるので、それを言ったという前提でちょっと考えてみたい。だとすれば、「I need …

短篇小説「馬の耳に念仏そのあとに〈ことわざ後日譚〉」

「馬が走らなくなってしまったんです!」 村の動物病院の受付に、ひとりの青年が駆け込んできてぶしつけに言った。 それに対し耳にも鼻にもピアスをつけている受付の若い女は、目の前に人が走り込んできたので、思わず「走ってるじゃないですか」と言い返し…

ディスクレビュー『WILDERNESS OF MIRRORS』/MYRATH

Wilderness of Mirrors (CD) - ミラスアーティスト:MyrathワードレコーズAmazon◆独自性と大衆性の接点から湧き上がる圧巻の叙情性「イタリア対岸にあって中東に近いアフリカ」という地理条件を具現化するように、アラビックな旋律をアフリカンなリズムに乗せ…

短篇小説「山頂に降り注ぐ川」

わたしは川下にある山の頂上に住んでいる。つまり川に沿ってずーっと下ってゆくと、その先に山の頂上があるというわけだ。むろん川の流れはそこで行き止まりになる。多くの人がそんなはずはないと言うがこれは本当のことだ。そしてその川下でありながら山の…

当ブログ掲載短篇小説アーカイブ

いつのまにやら本数が増えすぎて自分でも把握できなくなってきたので、とりあえずリストを作ってみました。上のほうが新しく、下にいくほど古いものになります。電子書籍にしか掲載していないものもありますが、そちらも一番下のリンクから無料でダウンロー…

短篇小説「風割」

ある晴れた穏やかな日曜日。わたしは近所の小型スーパーで買い物をしていた。スーパーといっても個人商店のようなもので、レジはひとつしかない。店員も背の高い青年ひとりしか見たことがないので、おそらくは彼が店主なのだろう。しかし妙に迫力のある看板…

短篇小説「プペりあい」

「おプペりのとこすいません」 隣の席でパソコンの画面に向かっていた西山田が、なにやら差し迫った口調で声をかけてきた。西山田は入社一年目の後輩社員である。「別にそんなプペッてるわけじゃないけど、どうしたの?」 私はたしかにややプペり気味ではあ…

エセペディア文学「穴戸道彦」

穴戸道彦(あなど みちひこ、1970年10月10日-)は、島根県松江市宍道市出身の穴あけ師、墓堀人、ベルトパンチャー、落とし穴クリエイター。有限会社ピットフォール・エンターテインメント代表取締役社長。・愛称は、「掘りえもん」「ホリンドル道彦」「穴奉…

短篇小説「勇者・図棒田ボラ彦の考えすぎて終わらない旅支度」

図棒田ボラ彦は周囲から勇者として扱われていたが、勇者とは何かなどボラ彦にもわからない。とりあえずボラ彦は自他共に認めるズボラな男であった。しかし彼は勇気があるわけでも喧嘩が強いわけでもないのに王様に呼び出され、お前は勇者で、明日から旅に出…

短篇小説「河童少年のモイモイモイスチャー日記 其ノ二十五」

冬のオリンピックが終わったと思ったら、もうWBCがはじまっているらしい。だけど今回はネットフリックスでしか観られないようで、もちろんウチはそんな贅沢サービスには入っていないので観られそうにない。そういえばちょっと前にじいちゃんが河原で拾ってき…

ディスクレビュー『MIDNIGHT BLITZ』/TAILGUNNER

Midnight Blitz (CD) - ミッドナイトブリッツアーティスト:TailgunnerワードレコーズAmazon◆MAIDENフォロワーがPRIESTの翼を得て、さらなる普遍的HMの高みへと羽ばたいた飛躍の作まさか2作目にしてここまで化けるとは思わなかった。現代に80年代ブリティッシ…

短篇小説「河童少年のモイモイモイスチャー日記 其ノ二十四」

今朝はベッドの上にぶん投げられた衝撃で目が覚めた。すぐ横にはじいちゃんが立っていて、「お前が『りく』でワシが『りゅう』な!」 と言って鼻息を荒くしている。なにやら夜中に「りくりゅう」と呼ばれるフィギュアスケートの日本人ペアが金メダルを獲得し…

ディスクレビュー『KRUSHERS OF THE WORLD』/KREATOR

Krushers Of The World (CD+ボーナスライヴCD) - クリエイターアーティスト:KreatorワードレコーズAmazon◆次世代をも血肉化して疾駆する最高練度のハイブリッド車これぞベテランのあるべき姿だろう。ジャーマン・スラッシュ・メタルの重鎮が放つ16作目は、…

ディスクレビュー『MEGADETH』/MEGADETH

【Amazon.co.jp限定】Megadeth (初回限定盤 三方背ケース付きCD) - メガデス(メガジャケ付)アーティスト:MegadethワードレコーズAmazon◆自らが生み出した過去の名作群との過酷な、そして最後の戦いメタル界の最前線で戦い続けてきた、MEGADETH17枚目のラスト…

書評『言語化するための小説思考』/小川哲

言語化するための小説思考作者:小川哲講談社Amazon著名な作家が小説の書きかたを説いた本は数あれど、ここまでリアルに執筆時の思考回路を明かしてくれている本はなかったかもしれない。そのうえこの手の創作論が、多くを過去の名作からの引用に頼りがちであ…

短篇小説「河童少年のモイモイモイスチャー日記 其ノ二十三」

「最強河童が来るってばよ! 最強河童が来るってばよ!」 今日は朝からじいちゃんがなぜかナルト口調でそう繰り返しながら、食卓の脇にあぐらをかいて背中からはずした甲羅にぶっとい釘を打ちまくっていた。「なんで甲羅壊してんの?」 僕が素直に疑問をぶつ…

2026年○けましておめでとうございます10選

あけましておめでとうございます!(新年)抜けましておめでとうございます!(自販機のおつり取出口に嵌まっていた指が)溶けましておめでとうございます!(あずきバーが前歯にやさしい硬さまで)吹けましておめでとうございます!(ドとミとソの音が出な…

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