泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

令和十大あけましておめでとうございます2022

あけましておめでとうございます!(開かずの扉を金と権力で)あけましておめでとうございます!(こんなとこにいるはずもないのに路地裏の窓を)あけましておめでとうございます!(ミルクボーイがネタ冒頭で客席からもらった網戸を)あけましておめでとう…

【もしもシリーズ】もしもドラクエの防具屋にあの有名人の装備があったら

国民的RPGである『ドラゴンクエスト』シリーズには様々な武器や防具が登場する。中にはかなり入手困難なものもあって、しかし本当にレアな装備とは、有名人が実際に身につけている一点物ということになるのではないか。というわけで、(どういうわけ?)今回…

2021年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・ソング10選

1位「Everafter (feat. Tommi “Tuple” Salmela)」/CIRCUS OF ROCK Come One, Come Allアーティスト:Circus of RockFrontiersAmazonフィンランドのKING COMPANYのドラマー、ミルカ・ランタネンが立ち上げたプロジェクト作より、心温まるメロディを持つこの曲…

2021年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

1位『X MARKS THE SPOT』/ART OF ILLUSION エックス・マークス・ザ・スポットアーティスト:アート・オヴ・イリュージョンマーキー・インコーポレイティドAmazon今年のはじめにこの作品のレビューを書いた時点で、すでに2021年のベストはこのアルバムになる…

書評『無理ゲー社会』/橘玲

読み終えて残るのは、ディストピア小説の読後感である。だがこれは、フィクションではないようだ。この先に透けて見える未来像が現実になるかどうかはわからないが、少なくともスタート地点がいまここにある現実であることに、間違いはない。そう、残念なが…

短篇小説「感謝しかない」

今朝はあやうく寝坊するところだったが、スマホのアラームがちゃんと鳴ってくれたお蔭で予定どおり起きることができた。スマホには感謝しかない。 それ以前にベッドがあるお蔭で、僕は寝坊するほどに眠ることができている。ベッドにも感謝しかない。 もちろ…

書評『いつか深い穴に落ちるまで』/山野辺太郎

まるで任天堂のような小説だ。荒唐無稽だからこそのワクワク感がある。けっして現実的な設定ではないのに、リアリティも手応えもふんだんにある。だとすればリアリティの正体とはいったいなんなのか。読み手にそんな根源的な疑問を抱かせるというのは、それ…

短篇小説「ワンオペ村」

同期一の出世頭と目されていた業田作一郎が、ある日仕事で重大なミスを犯した。彼はその責任を負わされて、このたび離島のワンオペ村へ飛ばされることになった。ワンオペ村はその名のとおり、何から何までワンオペでおこなわれると評判の村である。彼は転勤…

【考察】城本クリニックのCMの女性は、なぜあんなに転げまわっているのか?

CMというのはよくわからないもので、時にその難解さは哲学や純文学をも超える。単に何も考えずフィーリングで撮影しているだけなのかもしれないが、それにしたって無意味ほど難解なものはない。たとえば長年に渡って流れ続けている『城本クリニック』のこのC…

短篇小説「ガチ勢とその後続」

あるコンサート会場の入場口に、開演前の行列ができていた。その先頭に並んでいる第一の集団は、もちろんガチ勢であった。 ガチ勢のうしろには、マジ勢が陣取っていた。ガチ勢とマジ勢は、どちらがよりガチのファンで、どちらがよりマジのファンかで言い争っ…

短篇小説「話半分の男」

私と話半分の男の出会いは奇妙なものだった。ある日私が近所を散歩していると、蓋のない側溝に気をつけの姿勢で、仰向けに寝そべっている男が目に入った。その中年男性は、冬なのに半袖半ズボンを着用していた。私はなるべく目を合わせないように、その脇を…

聖徳太子式三十題噺「新語・流行語全部入り小説2021」

ある雨上がりの朝、古びたカエルのマスコットキャラクターが、SDGs(粗大ごみのsサイズ)のステッカーを貼られてごみ置き場に捨てられていた。それは昨日まで近所の薬局の店頭に立っていたものだった。粗大なのにsとは、大きいのか小さいのかわからない。 学…

短篇小説「匂わせの街」

冒険の途中でふと喉の渇きをおぼえたわたしは、夕暮れどきに立ち寄った街でカフェのドアを開けた。「いらっしゃい! そういえば最近、夜中になると二階から妙な物音がするんだよ」 カウンターでカップを拭っている髭のマスターが、ありがちな挨拶に続けてな…

145字小説「駆け出しのAI」

私の自動車にはAIが搭載されている。私はその実力を試すように、崖の手前に差しかかったところでAIへ指示を出す。「アホクサ、ブレーキかけて」 「はい、かしこまり」 すると自動車のブレーキが、脱兎のごとく駆け出した。私は奈落の底へと沈みゆくマイカー…

電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』無料配布キャンペーンのお知らせ2021…夏

なんとなくの思いつきで、久々に拙著電子書籍の無料配布キャンペーンを開催することにしました。シェフの気まぐれサラダと同程度の気まぐれで。見出しの最後にちょっとだけJ-WALK感。(気づいたところで何?)どれくらい気まぐれかというと、こうして久々と…

短篇小説「オール回転寿司」

私は先日、いま話題の「オール回転寿司」へ行った。まさかあんなに回るとは。 回る回るとは聞いていた。しかしその回転の度合いは、私の想像をはるかに超越したものであった。こんな店が繁盛しているということは、人間はとにかく回ることを愛する生き物であ…

ディスクレビュー『HELLOWEEN』/HELLOWEEN

【Amazon.co.jp限定】ハロウィン ~完全版~ [初回生産限定盤] [2CD] (Amazon.co.jp限定特典 : メガジャケ ~初回生産限定盤・通常盤 共通絵柄~ 付)アーティスト:ハロウィンビクターエンタテインメントAmazon歴代メンバー七人の集合体による、ある意味「完全体H…

短篇小説「兄不足」

太郎は次郎に知っていることを話した。知っているというのは太郎が知っているという意味で次郎は知らない話だ。太郎だっていまこそ知っているが昨日までは知らなかった話だ。次郎にしてもいまこそは知らないが数分後には知ることになる。あとちょっとすれば…

壊れかけのイヤホン

先日、いつも使っているイヤホンが壊れかけた。それはもう壊れかけたのである。スマホを買ったときに付属していた安っぽいやつだが、案外音が良いのでそのまま使っていた。ヘッドホンは別に有線とワイヤレスのを持っている。もっと言えばワイヤレスのイヤホ…

2021年上半期HR/HMプレイリスト

たまにははてなブログの【今週のお題「わたしのプレイリスト」】に則って、2021年上半期によく聴いた7曲を。◆「Siberia」/CREYE www.youtube.comスウェーデン産プログレ・ハード。 ルックスに反する圧倒的透明感に、心が洗われる。 隅々まで気の利いたアレ…

短篇小説「店滅」

床に絨毯にアスファルトに頭をこすりつけて謝るだけの仕事を終えた夜、そのまま帰宅しても眠れない予感がした私は、気づけば路地裏に迷い込んでいた。あるいは自ら迷いたくて迷っていたのかもしれない。真っすぐ家に帰りたくないがためにまわり道をすること…

ラジオ聴取日記、やってます

こことは別に、もうひとつやっているテレビ/ラジオレビューブログのほうで、『ラジオ聴取日記』というものをつけています。どうせすぐにやめると思ったんですが、気づけば一ヶ月以上続いているので、こちらでもお知らせしようと思った次第です。とはいえ内…

短篇小説「おやつんクエスト」

都会の喧噪を離れたリゾート地たけのこの里に、ルヴァンという名の王子がいた。ルヴァンはことあるごとにパーティーを催すことでお馴染みのリッツ家の跡取り息子で、顔にあばたが多くその皮膚はところどころ塩を吹いている。 かつて隆盛を極めたリッツ家も、…

短篇小説「ネタバレ警察」

新部署に配属されたばかりの越智裕三が、スーパーのおやつ売り場でお菓子のパッケージをひとつひとつ手に取りながらひとりごとを言っている。「『ポッキー』か……これはやっぱり、食べたとき鳴る音からそう名づけられたんだろうな……だとすれば確実にアウト、…

短篇小説「反語の竜」

竜は素直じゃない男だ。彼は産道の中ですらも、「産むなよ、産むなよ」と心の中で念じていたという。もちろん産まれたくないわけではなかった。だが本当に産まれたかったのかどうかは、物心ついていないのでよくわからない。 竜の少年時代には苦い思い出が多…

桜の樹の下には屍体が埋まっているらしいので

桜の樹の下には屍体が埋まっている、と梶井基次郎は言った。だとするならば―― クワマンの下にはセカンドバッグが埋まっている。 しょんべんカーブには虫が止まっている。 Tカードには使うほどでもないポイントが溜まっている。 ガチャガチャのカプセルには原…

ディスクレビュー『X MARKS THE SPOT』/ART OF ILLUSION

エックス・マークス・ザ・スポットアーティスト:アート・オヴ・イリュージョン発売日: 2021/02/03メディア: CD雑味のない北欧的美旋律が、QUEEN影響下にあるオペラティックなアレンジによって豪華に彩られる。満を持して登場した万華鏡の如きファンタジック…

言語遊戯「ことわざ延長戦」第4戦

本来短く言い切るからこそ意味のあることわざに、余計な情報を足して無駄に長くしてみようという究極の蛇足企画第4弾。いわば引き分けでもないのにおこなわれる不毛な延長戦。理由なく長すぎて松木安太郎も怒り出す不可解なアディショナル・タイム。長引けば…

破くまえに読む

以前から気になっている表現に「読破」という言葉があって。言うまでもなくそれは「(書物を)最後まで読み通す」という意味ではあるのだが、それにしても破く必要はない。もちろん最後まで読んだところで実際に破く人など滅多にいないはずだから、読み切っ…

短篇小説「言霊無双」

目の前を歩いている人がずっと後ろを向いているように見えるのは、シンプルに彼女が後ろ向きな考えを持っているからだ。人は後ろ向きな思考を続けているあいだは、文字通り顔面が後ろを向いてしまうようになった。 それに対して、先ほどから僕の右脇を歩いて…

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