泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

2023年あけましておめでとうございます10選

あけましておめでとうございます!(「PULL」と書いてあるドアを無理に押しながら)

あけましておめでとうございます!(あんドーナツの真ん中にも穴を)

あけましておめでとうございます!(茶碗に盛ったご飯の中央に卵かけ用のくぼみを)

あけましておめでとうございます!(子供たちが握っている金魚すくいのポイすべてに、北斗百裂拳で穴を)

あけましておめでとうございます!(祝いの言葉に意味ありげな行間を)

あけましておめでとうございます!(中身の状態など気にせず、ポテチの袋を思いっきり叩いて)

あけましておめでとうございます!(裏山の死体の脇に、のび太の0点テストを埋めるための穴を)

あけましておめでとうございます!(羽のない扇風機の前で限界まで口を)

あけましておめでとうございます!(お茶のペットボトルの蓋を、強炭酸飲料を開けるような慎重さで)

あけましておめでとうございます!(スプーン1本で脱獄用のトンネルを)


そんな話はさておき、今年こそどうぞよろしくお願いいたします!

2022年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・ソング10選

1位「Shine On」/CRASHDIET

オートマトン [CD]

オートマトン [CD]

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メタルファンにとって「Shine On」といえば、もちろんRIOTの稀代の名曲「Warrior」なわけだが、ここに新たな「Shine On」の響きを持つ美しい楽曲が誕生した。

この曲を聴くと、改めて「Shine On」という発語と哀愁溢れるメロディの、まるで運命づけられたような相性の良さを痛感せざるを得ない。

とにかくサビの「シャイノン、シャイノン」がどうにも耳から離れない。その裏を支えて走るギター・フレーズとの絡みも美しい。メロディの力を思い知らされる一曲。

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2位「Prisoner」/RUST N' RAGE

ワン・フォー・ザ・ロード

ワン・フォー・ザ・ロード

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1位に続いて珍しくスリージー系が続くが、あくまでもメロディの質で選んだ結果であることを強調しておく。

こちらもメタル歌詞頻出語の「Prisoner」がサビで二度繰り返されるが、これまた哀愁が迸っている。泣きながら河原を駆け抜ける思春期の青さ。

これまた一発で記憶に残る旋律の強度を持つ楽曲。

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3位「Kaisarion」/GHOST

IMPERA [CD]

IMPERA [CD]

  • アーティスト:Ghost
  • Spinefarm
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このバンドにしては珍しい疾走曲だが、この爽快かつ不気味な感触は彼らにしか出せないだろう。

海上を浮遊しながら移動していくようなホバークラフト的疾走感。海上に浮かぶ近未来都市の不穏さ。

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4位「Mindkiller」/SEVENTH WONDER

ザ・テスタメント

ザ・テスタメント

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プログレ然とした紆余曲折の複雑なメロディをいとも簡単に歌いこなすことで、結果としてストレートに響かせてしまうこの圧倒的歌唱力。

基本的に演奏の技術と楽曲のクオリティは切り分けて考えるべきだとは思うが、こういう曲を聴いてしまうと、ときに技術を前提としなければ生まれ得ない優れた楽曲があるというのもまた事実。

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5位「Brokenhearted」/GINEVRA

We Belong To The Stars

We Belong To The Stars

  • アーティスト:Ginevra
  • Frontiers Records
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ロディアスでありながら独特な癖を持つこのバンド独自のバランスが見て取れる一曲。

安定した歌唱力と秀逸な歌メロだけに頼らないアレンジの妙の細やかさも聴きどころで、サビでリズムが突如裏に入るあたり、美旋律に甘えがちな楽曲をタイトに引き締めている。


6位「Desire」/DEGREED

Are You Ready?

Are You Ready?

  • アーティスト:Degreed
  • Frontiers
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この曲のリフにはギターフレーズ・オブ・ザ・イヤーを差し上げたい。

逆に言えばほとんどそれに尽きる楽曲であるとも言えるが、ここまで曲を引っ張り切れるギター・リフというのも滅多にあるものではない。


7位「The Music Box (feat. Renan Zonta)」/JANI LIIMATAINEN

マイ・ファーザーズ・サン

マイ・ファーザーズ・サン

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思いきって歌に的を絞ったソングライティングとアレンジが、いまや引く手あまたの実力派Vo.レナン・ゾンタの魅力を引き出しきっている。

力強さだけではない、彼の繊細な歌唱の魅力を存分に味わえる楽曲。


8位「The Final Fantasy」/WILDNESS

Resurrection

Resurrection

  • アーティスト:Wildness
  • Frontiers Records
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冒頭を飾るギター・リフのTNTっぽさからしていい予感しかしないが、そこから徐々に高まっていき、サビで泣きを炸裂させる北欧ならではの美旋律。

バンド名の野蛮さと楽曲の美しさとのかけ離れっぷりも、TNT譲りというべきか。といっても、全体としてそこまで似ているわけではないが。


9位「Fever Eyes」/BOMBER

Nocturnal Creatures

Nocturnal Creatures

  • アーティスト:Bomber
  • Napalm
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北欧から乾いたロックン・ロールを響かせる新星。

ときにこの曲のようにおそろしくキャッチーな楽曲を生み出すあたりも含めて、THE HELLACOPTERSを彷彿とさせる。

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10位「Night Reaction」/CAPTAIN BLACK BEARD

一部メディアでは「ディスコAOR」と称されているらしいが、この異様に明快なメロディを聴けばそれも納得。

Official髭男dismというのは、こういう人たち(↓)のことを言うのではないか。

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〈今年のベスト10楽曲を、Spotifyでプレイリスト化してみました〉


tmykinoue.hatenablog.com
tmykinoue.hatenablog.com

2022年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

1位『THE TESTAMENT』/SEVENTH WONDER

ザ・テスタメント

ザ・テスタメント

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KAMELOTのVo.トミー・カレヴィックの圧倒的な歌唱力が乱舞するプログレ・メタルの傑作。前作『TIARA』の時点ですでにバンドの限界点まで来たかと思われたが、そこからのさらなる歌メロの上積みっぷりには正直驚かざるを得ない。

プログレ・メタルというジャンルにおいて、歌がけっしてないがしろにされているとは思わない。だが重視されるのは歌の中でも「歌唱力」のほうで、その中身である「歌メロ」に本気の力が注がれているかというと、疑問符がつく作品は多い。このジャンルの最高峰であるDREAM THEATERですら、名作『IMAGES AND WORDS』とその他の作品の歌メロのレベル差は歴然としている。

とにかくあらゆる節まわしに濃厚な色香が漂っている。テクニカルな演奏と情感溢れる歌唱の理想的な相乗効果。

詳細は以前書いたディスクレビュー参照。
tmykinoue.hatenablog.com

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2位『WE BELONG TO THE STARS』/GINEVRA

We Belong To The Stars

We Belong To The Stars

  • アーティスト:Ginevra
  • Frontiers Records
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今年はH.E.A.T人脈やマグナス・カールソン絡みの作品がやたらに多かったが、その中でも他とは一線を画する作品。

その理由がクリスティアン・フィールの歌唱にあるのは明らかで、SEVENTH CRYSTALですでに発揮されていた彼のひねりの効いた歌メロが、北欧メタルに独特の味わいとグルーヴを与えている。

そのメロディ感覚にはHELLOWEENに対するPINK CREAM 69のようなスタンスがあり、どこかメタル外の領域とつながるルーツを感じさせる部分が歌い手の個性になっている。

派手さはないが味わい深く、聴き込み甲斐のある作品。

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3位『TERRANOVA』/FALLEN SANCTUARY

テラノヴァ [CD]

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初めて聴いたときには、「あの頃の(VISION DIVINEの『STREAM OF CONSCIOUSNESS』で歌っていた頃の)ミケーレ・ルッピが戻ってきた!」と感激してしまった。

もちろん実際歌っているのはSERENITYのVo.でありまったくの別人であったわけだが、声質、歌唱力はもちろんのこと、節回しまでもがかなりルッピに似ているのは間違いない。少なくともロニー・ジェイムズ・ディオとトニー・マーティンくらいには。これは最大の褒め言葉だ。

方向性としては正統派メロディック・パワー・メタルど真ん中で、疾走曲からバラードまでとにかくメロディに隙がない。逆に出来が良すぎて優等生的すぎるくらいだが、このクオリティには文句のつけようがない。

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4位『THE SICK, THE DYING… AND THE DEAD!』/MEGADETH

まさかデイヴ・ムステインが、ここまで尖った作品を引っさげて帰ってきてくれるとは思わなかった。

曲数が多いため若干の中だるみ感はあるものの、METALLICAをはじめ他のベテラン勢と比べれば贅肉が圧倒的に少なく信頼できる。

まさに死の淵から蘇ったかのようだ。

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5位『AUTOMATON』/CRASHDIET

オートマトン [CD]

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彼らといえば初期の名曲「Riot In Everyone」を思い出すが、中心メンバーを失いながらも、ここへ来て作品のクオリティを劇的に向上させてきているのは興味深い。

そのベースはやはりスリージーなロックン・ロールでありながらも、哀愁漂うメロディがふんだんに投入されており、その量も質もメロディアス・ハード・ロックとして一級品。

スリージーなイメージからなんとなく忌避していた人にこそ、届いてほしい作品。

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6位『GATE OF THE GODS』/NEW HORIZON

ゲイト・オヴ・ザ・ゴッズ

ゲイト・オヴ・ザ・ゴッズ

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GINEVRA同様、こちらもH.E.A.T絡みのプロジェクト作。といってもH.E.A.Tに比べるとかなり骨太な正統派ヘヴィ・メタルで、現Vo.ヨニ―・リンドクヴィスト加入後のNOCTURNAL RITESにかなり近い音楽性。

つまりJUDAS PRIESTを核に置いた影響のもと、随所に北欧美旋律をきらめかせて疾走する北欧メタルだが、以下に挙げる動画に代表されるように、ミドルテンポの楽曲も飽きさせずキッチリ聴かせ切るところもPRIEST譲り。

個人的にはH.E.A.Tの音楽に対して中途半端な印象を抱き続けているので、むしろこちらのほうに集中してほしいと願う。

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7位『COMING HOME』/CLEANBREAK

カミング・ホーム

カミング・ホーム

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QUIET RIOT、RIOT、STRYPERのメンバーの集合体……といってもそれぞれ中心人物と言えるほどではなく、この手の寄せ集めバンドは期待はずれに終わることが多いが、今回は違った。特に僕のようなRIOTのファンにとっては、かなり聴き応えのある作品に仕上がっている。

今年はFALLEN SANCTUARY、NEW HORIZON、そしてこのCLEANBREAKと、再編成組による正統派HM作品が突然の豊作で、ひとつの潮流になりそうな予感がある。予感というよりは単なる期待に過ぎないかもしれないが、いずれも確実にクオリティが伴っているのが頼もしい。

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8位『IMPERA』/GHOST

IMPERA [CD]

IMPERA [CD]

  • アーティスト:Ghost
  • Spinefarm
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もはや王者の風格すら感じる――といっても最初からそういう風貌なのでそのまんまなのだが、外見に風格が追いついてきたというか。実際のところ、海外メタル各誌の年間ベストに軒並み挙げられている。(文末の海外二誌ランキング参照)

逆に言うと、ほぼメタルコア系(というかオルタナ? ハードコア? なんて言うだろうああいうの)が並ぶ向こうのメタル誌とここのランキングとの唯一の共通点がこのバンドだったりする。

前作に比べるとメロディにやや緩さが感じられ、だいぶ旋律のバリエーションがなくなってきているのが少し物足りないが、依然として他では聴くことのできない荘厳かつポップな音楽が繰り広げられている。

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9位『HATE ÜBER ALLES』/KREATOR

ヘイト・ユーバー・アレス

ヘイト・ユーバー・アレス

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MEGADETH同様、彼らがこのタイミングでここまで鋭利な作品を放ってくるとは。

といっても、個人的には彼らのゴシック的な側面が好きで、断トツで一番好きな作品は『ENDRAMA』だったりする。

本作はもちろん王道スラッシュ路線だが、やはりゴシック通過後の耽美的なフレーズがそこかしこにちりばめられており、それらが疾走曲にも確実な深味をもたらしている。


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10位『THE ENDGAME』/TREAT

ジ・エンドゲーム

ジ・エンドゲーム

  • アーティスト:トリート
  • マーキー・インコーポレイティドビクター
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TREATに関しては、前作が良すぎて年間ベストアルバムに選んだだけに、
tmykinoue.hatenablog.com

この作品にはやや複雑な思いもある(詳細は以下のレビュー参照)。
tmykinoue.hatenablog.com

しかしメロディの質は依然として高く、自分の中のリアルな評価としてこの位置に置くことになった。良質な作品であることに間違いはない。

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【次点の10枚】
『MY FATHER'S SON』/JANI LIIMATAINEN
『WITH THE MAGIC OF WINDFYRE STEEL』/POWER PALADIN
『FINAL ADVENT』/DYNAZTY
『DECEIVERS』/ARCH ENEMY
『DAYS OF THE LOST』/THE HALO EFFECT
『RESURRECTION』/WILDNESS
『ÖVERGIVENHETEN』/SOILWORK
『ONE FOR THE ROAD』/RUST N' RAGE
『TABOO』/TABOO
NEON SUNRISE』/CAPTAIN BLACK BEARD


【参考】
amass.jp
amass.jp


tmykinoue.hatenablog.com
tmykinoue.hatenablog.com
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