泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2011-01-01から1年間の記事一覧

謝罪以上事件未満、あゆ以上おでこ未満

意味ありげな言葉は、意味ありげな人物から発せられるとは限らない。時には意味なさげな人物から不意に意味ありげな言葉が飛び出してくることがあって、それはその人物像が意味なさげだからこそ、より意味ありげな言葉に響く。という話になると、「そもそも…

ここしばらくのうち雑誌に書いたレビュー一覧

【ディスクレビュー】 Galileo Galilei『明日へ』(ROCKIN'ON JAPAN2012年1月号) ザ・クロマニヨンズ『雷雨決行』(同2012年1月号) Base Ball Bear『新呼吸』(同2011年12月号) SEKAI NO OWARI『スターライトパレード』(同2011年12月号) 阿部真央『側に…

『THE MANZAI 2011』感想

フジテレビらしい演出過多により、『M-1』の魅力であったストイックさが完全に失われてしまった。そもそも事前番組をダラダラと毎日のように放送し続けたり、特に面白味のない抽選会まで長々と放送したりと、漫才自体よりも全体の「お祭り感」を優先している…

ピンクセーターの変

首飾りといえば一般にネックレスのことを指すが、ここ日本では一時期、とある職種の人たちの間で、洋服が首飾りの役目を果たしていたと言われている。「首に模様のついた洋服」ではなく、「洋服が首飾り」なのである。つまり「洋服としての洋服」と「首飾り…

『キングオブコント2011』感想

世界観を重視するか文体で勝負するか、というのは小説や漫画の話だけではなく、コントにも当てはまる。漫才の場合は、文体が基本にあってそれを元にどこまでぶっ飛んだ世界観を築き上げることができるか、という勝負に近年なっているが、コントの場合はその…

嵐を呼ぶ傘おちょこ3人衆

きのう台風中継のニュースを観ていたら、ものの1分ほどの中継時間のうちに、傘をおちょこにする人が3人も次々とリポーターの後ろに映り込んできて、リアリティについて考えさせられた。3人は明らかに多すぎる。祭りだ。中継を観たときの感覚では、1分間のう…

偽ハリウッド女優ケメ子・グレープ=フルーツ

近所に綺麗な方のスーパーと綺麗じゃない方のスーパーがある。この言いかただとどちらにも「綺麗」が入っていてなんだか紛らわしいので、綺麗な方のスーパーを「キャサリン」、綺麗じゃない方のスーパーを「ケメ子」と呼ぶことにしよう。台風にあやかって女…

誰でもできる適当予言入門 〜基礎編〜

予言というのは、誰にでも簡単にできるものである。当たる予言をするのは難しいが、当たらなくてもいい予言ならばとても簡単だ。少なくとも、アイスを当てたり好きな娘に告白したりミヤマクワガタを捕まえるよりは遙かに簡単だろう。試しに『新明解国語辞典…

笑福亭梵天丸

今日は部屋のなかで神隠しに遭っていた耳かきが出現するという記念すべき一日だった。しかし容赦なき雷雨は、そんな浮かれ気分を許さない。見つかったばかりの耳かきに落雷し、梵天大炎上。伊達政宗の幼名は梵天丸という。戦国武将といえば近ごろ久々に司馬…

憤慨の自由

名前というものは本来的に紛らわしいもので、紛らわしくなければ名前じゃないと言ってもいい。「そうとは限らない」という向きもあるだろうが、「言ってもいい」と許可を出したのはこれを書いている僕自身なので、この文章においては事実にかかわらず言って…

雰囲気人生訓

我々に生きるヒントを惜しみなく与えてくれる人生訓に必要なのが雰囲気だけだというのは、意外と知られていない。たとえば「犬も歩けば棒に当たる」なんてのはその典型で、意味は何もないどころか、すっかり真逆のことを同時に言ってしまっているという始末…

『私のいない高校』/青木淳悟

ストーリー皆無。人格不在。もちろん作者の「言いたいこと」など何ひとつ書かれてはいない。史上最も国語入試問題に不向きな小説の誕生。しかし何気ない描写がいちいち面白く、だがそこに物語的な面白さは一切ないと言い切れるのが凄い。描かれているのはた…

I don't know,I think so.

世の中には、「一見正反対に見えて実は同じ」というものがある。たとえば「パンツは裏返しにはいてもパンツである」とか、そういうことが言いたいわけではない(それも真実だが)。宗兄弟やおすぎとピーコの話でもない(きんさんぎんさんでもないようだ)。…

日本一呼びだしを喰らう召喚獣

ものすごく気になるが気になるだけに終わる人というのがいる。当然だがそういう人がDVDを出したとしたら、そのDVDも気になるが気になるだけに終わる。買いも借りもしないつまり観ない。しかしそんなことでは気になるだけの人生だ。気になる人やものは「気に…

なんで症か

どうも花粉症が治まらない。鼻づまりがプロ級である。いつもならばGW(郷うぃろみ)明けには治まっているものが、どういうわけかむしろ悪化しているくらいだ。職業がミツバチなので商売あがったりである。花びらにとまるとくしゃみが止まらない。冬眠明けで…

ノッカーにボール渡す係は餅つきのこね役の要領で

6/12(日)に開催される文学フリマ《http://bunfree.net/》で発売される批評同人誌『knocks vol.1』に、「何も言ってない名言」という、JAYWALK(J-WALK改め)以上に何も言わないコラムを書きました。ブースは「エ-21」です。

おでこ解放同盟

このたび、医師のおでこにくっつけられたコンパクトディスク(通称「でこ盤」)に関して、8cmシングル盤が禁止される方針であることが明らかになった。無駄に縦長パッケージのアイツである。そもそも「でこ盤」は、基本的に白衣しか許されぬ医学界において、…

迷わずどけよ、どけば分かるさ

歯の詰め物金属がメルトダウン(ポロリ)したので歯医者に行った。はじめてのところだがやはりケミカルだった。前に行っていた歯医者も白衣の下にケミカルジーンズを穿いていた。カジュアル感のアピールならば他にもいろいろあるだろうにと思うが、キャップ…

目まわり温暖化

前髪をメガネにしまっている女子を見た。何かある。メガネをメガネケースにしまっているわけではない。前髪をメガネケースにしまっているわけでもない。前髪を前髪ケースにしまっているわけでもない。そのほうが重症かもしれない。駅構内の地下道で振り返っ…

食べられる武器

クラッカーのルーツが忍者の非常食であるということは、意外と知られていない。クラッカーといってもパーティーグッズのほうではなく、パーティー食品のほうである。しかし偶然ではあるが、パーティーグッズのほうのクラッカーも、忍者の煙玉に由来している…

なまこ泣き虫野茂かず子

気づけばパソコンのキーボードがすり減っている。本当は気づいていたのだが、気づかぬふりをしていた。恋と同じだ。なぜすり減っているのがわかるかというと、いくつかのキーの上の文字表記が、うすら禿げて見えなくなってきているからである。文字によって…

ウォーターメソッドマン

(真夏のファミレスにて)田中「あーもう暑くて死にそう。死なねえけど」 原「喉乾いたね。かなり危機的状況かも」 田中「なに頼む? ここドリンクバーあったよな」 原「ああ、俺、水でいいや」 田中「なんで? そんな金ねえの?」 原「いや、そういうわけじ…

顔面スキャンは控えめに

人はわかりにくいものに出会ったとき、それを「すでに知っている何か」にたとえることで強引に把握しようとする。いわゆる比喩というやつである。これが得意な人は、ソムリエか村上春樹になる。カモシカのような脚。これは間違いで、「カモシカの脚のような…

最近、というほど最近でもないものも書いたレビュー一覧

【ディスクレビュー】 miwa『guitarissimo』(ROCKIN'ON JAPAN5月号) FACT『Eat Your Words』(同4月号) coldrain『The Enemy Inside』(同3月号) Dirty Old Men『GUIDANCE』(同3月号) Dirty Old Men『約束の唄』(同2月号) アルカラ『フィクションを…

「燃料棒」とはあんまりだ

《世界三大棒》が「うまい棒」「きなこ棒」「燃料棒」に決定した。もちろん僕が決めました。ちなみに従来は《世界四大棒》と呼ばれており、「うまい棒」「きなこ棒」「棒々鶏」というラインナップであった(棒々鶏は棒二本分とカウント)。もちろん僕が決め…

高くなるんなら、安くしてほしい

当たり前のことを堂々と言う人に憧れぬ。「る」と打とうとしたが指先は「ぬ」へ逃れた。脊髄に嘘がバレたらしい。先日テレビを観ていたら、牛タンが値上がりしているというニュースをやっていた。他のあらゆる食べ物の値上げ予測と原因は一緒で、やはりオー…

アンフォゲッタブル似鳥

基本的には道を歩く主義なので道を歩いていると、後ろで話しているおばんの声がした。その声の大きさで携帯と話しているのがわかる。「携帯で」ではなく「携帯と」話しているように聞こえるのがおばんの特徴なので、振り返ることなくその声の主をおばんと判…

『R-1ぐらんぷり2011決勝』感想

どうも優勝した芸人がその後いまいち売れてなかったり、急に今年からトーナメント形式を導入してみたり、審査員席に秋元康をねじ込んできたりと不安要素満載ではあったが、終わってみれば良い部分も悪い部分もいつもどおりの割合で含まれており、ちゃんと発…

生クリームと死クリーム

死んでいるのと生きているのでは、大違いなのか一緒なのか。本日、各種ボタン取れ放題だった革ジャケットが修理から蘇ってきたので久々に着たいと思っているのだが、革製品のお手入れ方法にいつも迷う。通常は専用のクリームかなんかを塗っておけば良いのだ…

無限増殖温水

昨日、渋谷で温水をたくさん見かけた。温水は冬に多い。温水は夏、目立たない。つまり温水は冬に増殖するわけではない。いや、本当は増えているのかもしれない。よく見かけるのと増えているのは、こっちにしてみりゃ同義語だ。すなわち温水は、冬、多い。温…

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