泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2024年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

1位『BLOOD AND ANGELS' TEARS』/VISION DIVINE

欧州様式美HMの結晶。VISION DIVINEといえば、ミケーレ・ルッピ(Vo.)在籍時の3rd『STREAM OF CONCIOUSNESSS』が名盤として名高いが、それに勝るとも劣らぬクオリティ。

いわゆるコンセプト・アルバムであり、二部構成になる壮大なサーガの第一部とのことだが、一枚の作品としての完成度が非常に高く、最初から最後まで通して聴くことの意味を確実に感じさせる。とにかく美旋律に尽きる。

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2位『THE SKIES ABOVE ETERNITY』/FELLOWSHIP

ザ・スカイズ・アバヴ・エターニティ [CD]

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流れ流れゆく流麗なメロディ。その流麗さは、ともすれば諸行無常に流れてしまいそうなほどだが、それはあるいは細かなフックが多すぎるせいかもしれない。

情感豊かでありながらもエピックになりすぎない、そのなだらかな旋律はいかにも英国産らしい一方で、メロディの質感としてはスウェーデン産のFALCONERあたりを彷彿とさせる。

序盤から疾走するが、本格的に哀しみのスイッチが入るのは③以降。そこからはおちゃらけたMVの世界観が邪魔に感じられるほどの、滂沱の美旋律。

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3位『CLEAR COLD BEYOND』/SONATA ARCTICA

クリア・コールド・ビヨンド [CD]

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初期の名作群とはほど遠く、しばし奮わなかった北欧メタルの雄による復活の一撃。

近作ではメロディの質が随一で、初期を思わせる疾走感や展開も息を吹き返し、加えてかつてなかった旋律の感触もある。

それは初期の迸るエネルギーとは別種のものだが、バンドの本質を再び捉え直したこの方向性にもう迷いは感じられない。

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4位『TEENAGE REBEL』/NESTOR

ティーンエイジ・レベル [CD]

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  • アーティスト:ネスター
  • マーキー・インコーポレイティドビクター
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近ごろはなぜか、ワイルド&スリージーなジャケットを掲げながら繊細かつメロディアスなハード・ロックを奏でるバンドが頻出しているが、中でもこのバンドはそのギャップが際立っている。その点、反抗的な題名やジャケットよりも、スウェーデンという産地のほうを信じたほうが良い。

そのキャッチーなメロディは、ハード・ロックを通過してハード・ポップと言っても違和感がないほど。この爽やかな哀愁は、北欧の地でしか生まれ得ないのかもしれない。

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5位『PLEASURE BEATS THE PAIN』/REMEDY

Pleasure Beats The Pain

Pleasure Beats The Pain

  • アーティスト:Remedy
  • ワードレコーズ
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まだ2ndでありながら、すでに安定の高品質。徹頭徹尾、期待を裏切ることのないメロディアスな楽曲が並び、逆にブレがないぶんだけ面白味がないとも言われかねないほど。

ふと手に取りたくなる、珠玉の短篇集の如き味わい。

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6位『TIME II』/WINTERSUN

Time II

Time II

  • アーティスト:Wintersun
  • ワードレコーズ
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ギタリストのテーム・マントゥサーリがMEGADETHに加入したことで、一躍注目を集めるメロディック・デス・メタル・バンド5年ぶりの新作。

しかも前任者のキコ・ルーレイロMEGADETH脱退時、わざわざデイヴ・ムステインに彼を推薦して去ったというのだから、これはもう三国志で言うところの徐庶劉備孔明を推して辞したような賢者ムーブであるわけで、それでいうとテーム・マントゥサーリが孔明ということになる。

そうしてすっかりハードルを上げきったところで本作を聴くことになったわけだが、これが「さもありなん」なギター・フレーズの嵐。東洋的な音階をも含む多彩な音選びがマーティ・フリードマンを思わせ、まさしくムステインの求める異国情緒をMEGADETHに持ち込んでくれそうな予感にあふれている。

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7位『ENTITY』/SEVENTH CRYSTAL

エンティティー [CD]

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デビュー作を2021年の4位に、2ndを2023年の1位に選んだスウェーデン産メロディアス・ハード・ロック・バンドの3rd。

これまでもいわゆる北欧メタルというよりは、北欧的透明感はありながらもアメリカン・ヘヴィ・ロックに近い音色を持っていた彼らだが、ここへ来てややそちらへ寄りすぎたような感触がある。

しかし依然として質は高く、聴き込み甲斐がある。次作でさらにアメリカ寄りになるのかどうかが気になるところ。

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8位『ULTRAPOWER』/STRIKER

ウルトラパワー [CD]

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  • アーティスト:ストライカー
  • マーキー・インコーポレイティドビクター
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アルバムタイトルやジャケットからノリ重視のハード・ロックを連想しがちだが、その雰囲気はありながらも正統派パワー・メタルが確実に軸にあって、『CITY OF EVIL』のころのAVENGED SEVENFOLDに近いものを感じる。

どの曲にもキャッチーなフックがあり、こう見えて楽曲の出来にあまりムラがないのも意外。

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9位『OPERA』/FLESHGOD APOCALYPSE

Opera

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今年一番意外だったのは本作かもしれない。想定外の美旋律。

これまではかなりコアでブルータルなデス・メタルをやっている印象があって、それゆえにあまり聴く機会がなかったのだが、タイトル通りオペラティックな方向性に舵を切り、一部女性クリーン・ヴォーカルを導入したこのアルバムでメロディックな側面が一気に開花。

ふと現れる美しいフレーズに驚きがある。

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10位『INVINCIBLE SHIELD』/JUDAS PRIEST

言わずとしれたメタル・ゴッド。前作よりもややスピードを取り戻したぶん、満足度はこちらのほうが上だが、やはり名盤『PAINKILLER』と比べると正直まだもの足りないのも事実。

それでもレジェンド級の彼らが、いまだこのレベルのものを繰り出してくれるのは有難い。

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【次点の10枚】
『TRAGÉDIE D'AMOUR』/CARMERIA
『KARMA』/MYRATH
『NIGHTBLAZE』/NIGHTBLAZE
『BACK WITH A BANG!』/KISSIN' DYNAMITE
『MEAN STREETS』/RIOT V
『FROM HELL I RISE』/KERRY KING
『DARK HORIZONS』/SINNER'S BLOOD
『NORDIC GOTHIC』/CEMETERY SKYLINE
『CONQUERORS』/NEW HORIZON
『EVERFLOW PT 1: FRAMES OF HUMANITY』/ATHENA XIX


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