泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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2009-01-01から1年間の記事一覧

メロディとグルーヴの融合への挑戦者

7/21に、スウェーデンのベーシスト、マルセル・ヤコブが亡くなったとのこと。詳細はこちら↓http://www.bounce.com/news/daily.php/20281/headlineclickマルセル・ヤコブといえば、もちろん初期イングヴェイ・マルムスティーンを支えたベーシストとして有名だ…

『SCARS & SOUVENIRS』/THEORY OF A DEADMAN

NICKELBACKのチャドが見出したことで知られるカナダ出身の三人組。Voの頭髪はコッペパンのようなリーゼントである。デビュー当初はVoの声質も含めてNICKELBACKの二番煎じ扱いされ、また音楽的にもまさにその通りだったと思うが、この3rdで完全に化けたという…

世界よりも厳しい男

悲しいとしか言いようがない。それはもう痛快なほどに悲しい。つまり、見ているぶんには愉快。先日、焼鳥屋にて、隣りあわせた男。男は4人掛けテーブルに、二人の女性と向かいあって座っていた。関係はまったく不明。全員20代後半くらいで、パッと見は男が二…

『ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人』

長篇ストーリーを構成するうえで必要不可欠なのは、何よりもキャラクターという軸である、ということを痛感させられる作品である。キャラ同士の出会いと別れに必然性があり、本来は個々に別々の目的を持つ彼らそれぞれの意志が絶妙にクロスオーバーしながら…

日村、蛍ちゃん、山ちゃん、徹子

というマッシュルーミングな4人組によるBOXセット。『ザ・ビートルズ・ボックス』 『ザ・ビートルズ・モノ・ボックス』 ↓詳細情報はこちら http://www.cdjournal.com/main/news/news.php?nno=25145買っておくべきか買わざるべきか…。どうせ買うならこの機会…

『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』/DREAM THEATER 『ブラック・クラウズ&シルヴァー・ライニングス』/ドリーム・シアター

何度聴いても全体像を把握することが困難で、だからこそ何度も聴き続けてしまう中毒性を持つのはいつもの通り。それはプログレッシヴ・ロックの魅力でもあり、とっつきにくさでもあるだろう。近作において彼らは、「音像のヘヴィさ」という明確な入口を設け…

悪戯短篇小説「ランドリー・マン」

油谷は蝉の抜け殻を集めていた。今では洋服ダンスの5段すべて、蝉の抜け殻で埋め尽くされている。抽出をあけるたびにキュッキュと鳴くのは、もちろん蝉の仕業ではなくタンスが古いせいだ。あくまでも抜け殻であり、油谷は蝉本体に興味はない。当初は、ストリ…

『LIFE IN-BETWEEN』/ROYAL BLISS 『ライフ・イン-ビトウィーン』/ロイヤル・ブリス

現代アメリカン・ロックの王道は、同時期に日本発売された懐古集団CHICKENFOOTよりも、むしろこちらだろう。NICKELBACK、SHINEDOWN、3 DOORS DOWNをはじめ、アメリカで売れているヘヴィ・ロックど真ん中に位置する音楽性には、日本デビューとなる本作におい…

『DEATH MAGNETIC』/METALLICA 『デス・マグネティック』/メタリカ

◆わからなさ青天井、なのにけっきょく蟻地獄 METALLICA『DEATH MAGNETIC』は何がどうなってこうなのか?新譜を出すたびコンスタントに聴き手を混乱の渦に陥れてくれる蟻地獄系アーティストというのが少なからずいて、こちらは好むと好まざるとにかかわらず進…

【歌詞】「暴飲暴食の限り」

とりあえずビールに食パンを浸し 麦茶と麦チョコも並べて麦づくし 大根おろしでかいわれを喰らい ちくわの穴にかまぼこをねじ込む たこ焼きをお好み焼きで挟み込み チーズをチーズでフォンデュする 好きなものと好きなもの みんなはかぶってるとか言うけど …

『STREETS OF FIRE』/PLACE VENDOME 『ストリーツ・オブ・ファイア』/プラス・ヴァンドーム

声の魅力とは何なのだろう? マイケル・キスクの声が、飛び抜けて個性的だとは思わない。たとえばアクセル・ローズやグレン・ヒューズに比べれば、声も歌い方もごくプレーンである。なのに誰もが彼の声を欲しがるのはなぜか? 外部ソングライターの楽曲を歌…

【歌詞】「アバウト・ソング」

確かにあいつは言った あれをもっとこうしたほうがいいって だけど俺は言ってやったんだ あれはあれとしてあのままにしておいて それはそれで別物としてやったほうがいいってそのとき並木道にはすごくいい感じの花が咲いていて どこからともなく可愛らしい動…

複雑音楽の宴

DREAM THEATERの新作『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』が、なんと全米ビルボード初登場6位!http://www.billboard.com/bbcom/charts/chart_display.jsp?g=Albums&f=The+Billboard+200ちなみにMARS VOLTAの新作は初登場12位。こちらは前作が初登場3位だった…

【歌詞】「あべこべHEAVEN」

ティッシュ配りのお兄さんに トイレットペーパーを差し出したことはあるかい?「喜んで」連呼の店員に シャンパンファイトを挑んだことはあるかい?アンダースローのピッチャーに ソフトボール投げで返すキャッチャーはいるかい?やられたらやり返せ! ささ…

【歌詞】「お覚悟ONE & ONLY」

ちょんまげ飛ばした夜にゃ 頭蓋の溝がひどく痛む できるだけ飛ばしたくはないのだが 飛ばさなきゃ救えない命があるあんかけ浴びせたとなりゃ テレビ前の奥様から苦情殺到 そうなれば番組終了の危機だが 浴びせなきゃ作れない髪型がある竹馬乗り回した後にゃ …

【歌詞】「気まぐれ様SUMMER」

夏が来ちゃったらどうする? 夏が来て、しかもとびっきり暑かったらどうする? 夏が来て暑くて、万がいち蝉がうるさかったらどうする?夏から「15分遅れる」と携帯にメールが 「近くの喫茶店に先入ってて」と思いやりの文言が 15分後には「もうすぐ着きます…

『1Q84』/村上春樹

ファンタジーにしては現実的すぎ、ミステリーにしては現実味が足りない。純文学にしては物語的すぎ、エンターテインメント小説にしては文体がまどろっこしい。社会派小説にしては軽すぎ、ユーモア小説にしては重すぎる。あらゆる意味で中間的な小説である。…

『AURA』/FAIR WARNING 『オーラ』/フェア・ウォーニング

彼らがいない間はその幻影をただひたすら探し求め、しかし結局のところどれだけ根掘り葉掘り探しても、後継者がいっこうに見つからぬままただ新作の到来を待つという、それほどまでにメロディ派リスナーの圧倒的信頼を獲得しているFAIR WARNINGの、再結成第2…

『AURA』/FAIR WARNING 第一感想(序章)

フェア・ウォーニングの新作が、ぬるいバラードだらけで厳しい!聴き込めば良くなる類のものなのかどうか…。頭2曲は期待どおりのハード・ロック曲なので、試聴文化の昨今ではそれなりに売れるとは思うが、それ以降にこうもほのぼのソングが続くとは…。復帰作…

世界三大マイケル

いま世界はマイケル・ジャクソンの話題で持ちきりですが、三大マイケルのうち残り二人(マイケル富岡と芸人のマイケル)は無事でしょうか?昨日カップやきそばを食べたのですが、それが「UFO」ではなかったことと、マイケル・ジャクソン関連で敵役のケトラー…

ファンキーだがファンキーガッツマンではないほう

『ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人』をアマゾンズ(久保田利伸のバックで踊っていた人たち)で買おうと思ったら、どうもすでに予約競争が始まっているらしく、カートに入れども入れども弾き出されてやきもき数日。当初は利伸ダンサーズ(アマゾンズ)が一番…

『ONE OF A KIND』/KILLING TOUCH 『ワン・オヴ・ア・カインド』/キリング・タッチ

もうジャケットからして、前に所属していたバンドへの未練タラタラである。もちろんいい意味で。少なくとも、VISION DIVENE在籍時に格好つけて作ったソロ作よりはずっといい。本作の中心人物であるミケーレ・ルッピ(Vo)がVISION DIVINE在籍時に残したコン…

『BEG FOR IT』/HARDCORE SUPERSTAR 『ベッグ・フォー・イット』/ハードコア・スーパースター

ギタリスト交代の影響か、これまでに比べ、メタル色がさらに強まっている。どの曲もイントロのギター・フレーズが強化され、グッと胸ぐらを掴んでくる。新ギタリストには、どこかHM期のゲイリー・ムーアのような、民族音楽チックな素養があるようだ。特にMET…

最近半聴半読目録

まだ聴き込み不足だったり読みかけだったり。【音楽】 ★『OCTAHEDRON』/THE MARS VOLTA(他、過去全作) 新作は予想以上に静か。 相当な問題作。 この静けさに負けないだけのメロディをこのバンドが備えているのか否か。 要聴込。★『BEG FOR IT』/HARDCORE…

うろ覚え脳男の疑わしい仮説〜佐々木敦×福永信対談感想〜

6/11、ジュンク堂書店新宿店にて行われた佐々木敦×福永信のトークイベントに行ってきた。もう二日前。当日帰ってきて何かを書こうと思ったら、何も頭に残っていないことに気づき挫折。あんなに面白かったのに。だが不思議なもので、二晩寝たらなんとなく思い…

『DIZZY MIZZ LIZZY』/DIZZY MIZZ LIZZY 『ディジー・ミズ・リジー』/ディジー・ミズ・リジー

どうあがいたところで、グランジの台頭がロックシーン全体に与えた影響は大きかった。時を経た今となってみれば、グランジを通過したからこそ生まれ得たと言える良質なヘヴィ・ロック(たとえばNICKELBACKやSHINEDOWNのような)の登場が、かのムーヴメントへ…

『バクマン。』3/大場つぐみ・小畑健

ここに来て急速に面白くなってきた。前巻までのレビューで指摘した問題点は、何ひとつ解決されないままに。このぶっちぎり具合はむしろ頼もしい。問題点をちまちまと一つ一つ修復してゆくような対処療法は、完成度を上げることにはなっても、実のところ面白…

『アクロバット前夜90°』/福永信

福永信『アクロバット前夜 90°』のサイン本を、渋谷パルコのリブロで購入。8年前にわざわざ横組み、しかも1ページ目の1行目の続きが2ページ目の1行目に来るという、風変わりな構成で出版されたデビュー作(短篇集)を、通常の縦組みにしただけの代物。内容に…

竜宮城へと向かう亀が背中の太郎に向けて言ったであろう台詞

本日発売の『ロッキング・オン』7月号「rockin'on review」に、マディーナ・レイクについて書いた、 「ともに行こう、ここではないどこかへ」 という約4000字の文章が掲載されています。 なぜか「ランバダ」や「スキャットマン・ジョン」や「ベートーベン」…

『小説作法ABC』/島田雅彦

タイトルに偽りはない。つまり本書が教えてくれるのは、作法のみでありABCまでである。それ以上は、あえて踏み込んでいないように見える。 著者はあとがきで、この本を自ら教科書と呼んでいる。本書は大学の講義をまとめたもので、「全国の大学、高校、コミ…

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