泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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絶対に出ない国語現代文入試問題

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【問1】
傍線部(ア)でクワマンが3度目の盗難に遭ったときの気持ちを、20字以内で答えなさい。

【問2】
傍線部(イ)で指摘されている細川たかしの髪型を表現するのに、最適な四字熟語を以下の選択肢から選びなさい。

A. 猪突猛進 B. 七転八倒 C. 百花繚乱 D. 明鏡止水 E. 臥薪嘗胆 F. 四面楚歌

【問3】
傍線部(ウ)~(カ)のカタカナを漢字に直しなさい。

(ウ)オオスギレン (エ)ガシュウインタツヤ (オ)コヒナタフミヨ (カ)タンコボキバジ

【問4】
中尾彬のねじねじが不足すると、地球がどうなると著者は主張しているのか。以下の選択肢から、もっとも近いものを選びなさい。

A. 彬のねじねじエネルギーを失った地球の自転が遅れ、1日が26時間になる。
B. 主婦層のテレビ離れが進んだ結果、電波の総量が減るため多くの人が健康になる。
C. 地球上の気流が変化することによりオゾン層が破壊され、地球温暖化が急速に進行する。
D. クリスティアーノ・ロナウドの蹴った無回転彬が、揺れながら落ちて地球の左隅に突き刺さる。
E. 特に変化しない。

【問5】
核戦争後に生き残った照英が、失われた地球を再生させるためには何が必要だと著者は提言しているのか。以下の選択肢から、もっとも近いものを選びなさい。

A. 意気消沈した地球を元気づけるため、照英はトレーニングを積んでさらに代謝を上げるべき。
B. 照英の発する膨大な熱エネルギーによる地球温暖化が危惧されるので、個性を殺してなるべくおとなしく過ごすのが良い。
C. 弱体化した地球を侵略に来る異星人の襲来に備え、照英はスピードラーニングで宇宙語をマスターすべき。
D. 失われた地球のことはさておき、照英はまず失われた名字を取り戻す旅に出なければならない。
E. 照英はそのままでいい。


《模範解答》

【問1】なんで俺ばっかり。この髭のせいなのかな?(20字)
【問2】D. 明鏡止水
【問3】(ウ)大杉漣 (エ)我修院達也 (オ)小日向文世 (カ)丹古母鬼馬二
【問4】C. 地球上の気流が変化することによりオゾン層が破壊され、地球温暖化が急速に進行する。
【問5】D. 照英はそのままでいい。


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短篇小説「死ぬのは面倒」

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喪之彦は樹海の中にいた。人生に絶望した男は、ひっそりと自ら首をくくるための死に場所を探し歩いていた。とにかく丈夫な木を探す必要があったが、そんなものは樹海にはいくらでもあった。喪之彦は幹だけでなく枝まで太く頑丈な木を選ぶと、さっそくそこにリュックの中から取りだした「縄丸くん」を取りつけにかかった。

首つりに縄が必要なのはもちろん知っていたが、喪之彦は縄できっちり輪っかを作ることができるか不安だったので、あらかじめ輪っか状に拵えられた便利グッズ「縄丸くん」を通販で買っておいたのである。ちょっと引っ張るだけで輪っかのサイズも自分用にアジャストでき、枝への取りつけも挟み込むだけでラクラクなすぐれものである。

にもかかわらず通販サイトのレビューに評価がついていなかったのは、おそらくみんな結果的にちゃんと死ねているからだろう。死んでからの書き込みができないのが、商品レビューというシステムの最大の弱点かもしれない。

しかしもちろん、それを普通に手の届く高さに取りつけても意味はないわけで、なんとかして手の届かない位置にセッティングする必要がある。そこで喪之彦がリュックから取り出したのが、折りたたみ式台座「台フォーユー」である。折りたためばぺったんこになってリュックに収まるので持ち運びに便利なうえ、台座としての高さと強度も申し分のない逸品だ。足を乗せる面にはポップなドクロマークがプリントされていて、商品から伝わってくるメッセージ性も申し分ない。

あとは「縄丸くん」の輪っかに首をはめて、良きところで「台フォーユー」を蹴り倒せばミッションコンプリートである。しかしいざ死ぬとなると、案外やり残したことが気になりはじめるもので、喪之彦はそういえば遺書をまだ書いていないことに気づいた。

そんなこともあろうかと思い、喪之彦がリュックの中に用意していたのが、やはり通販で手に入れた最新型電子遺書「ファイナルワードⅡ」である。正直なところ手書きがベストであるようにも思われるし、そうでなければスマホのメモに書き残すくらいでも良いのかもしれない。とはいえ今どき手書きは面倒だし、スマホだとどこに書いてあるのか探すのが野暮だというのもあり、うまく中間的なニーズをすくい上げた商品として近ごろ売り上げを伸ばしているらしい。

電子遺書に収められている文例も豊富なため、ちょっとポエティックな感じで行こうか、それともシンプルにさよならの言葉だけを綴るべきか、どんなニュアンスでいこうかと考えていると、「もしかして遺書よりもダイイングメッセージのほうが格好いいんじゃないの?」という気分に喪之彦はなってきた。

そして彼は何しろ準備の良いグッズマニア。子供のころから万全の準備でテントに寝袋まで持って日帰りの遠足に臨むタイプだった喪之彦は、万が一そんな気になった場合に備えて、もちろんダイイングメッセージ作成用の赤い墨汁「血のりちゃん」とダイイングメッセージ専用筆「おくりびと(極太)」をリュックに仕込んであるのだった。

しかしいざ「おくりびと(極太)」を手に取りダイイングメッセージを書く段になると、なかなかそれを書きつける場所がないことに喪之彦は気づいた。ちょうど良い小屋の白い壁面でもあればいいのだが、あいにくここは樹海の真っただ中、そう都合よく見つかるものではない。喪之彦はとりあえず「縄丸くん」「台フォーユー」「ファイナルワードⅡ」、そして「おくりびと(極太)」と「血のりちゃん」をすべていったんリュックにしまい、さらなる樹海の深奥へ白壁探しの旅に出た。

どれくらい歩いただろうか。薄暗い森の中、時間の感覚もわからなくなるほどに彷徨った喪之彦は、ようやく古びた木製の小屋を発見したのだった。これでようやく死ねる……そう思った彼の胸の奥底には、皮肉にもこれまで逃げ続けてきた人生では味わったことのない達成感と充実感のようなものが湧き起こっていた。

だがもう後戻りすることはできない。何しろスーサイドグッズをすでに5つも買い込んでしまっているのだ。喪之彦が意を決して小屋へと足を踏み入れると、その内壁はまるで筆を誘うように真っ白く塗られており、さらに天井付近には、これまたちょうど良い高さに丈夫な突っ張り棒が設置されていた。

いよいよ時は来た。リュックから5つの道具を取り出そうとしゃがんだ喪之彦の視野に、床に置かれてある小さなダンボールの箱が目に入った。それがどうしても気になったのは、その箱にプリントされているロゴが、喪之彦がいつも利用している大手通販サイトの見慣れたものだったからであった。

あるいはここに、さらに便利なスーサイドグッズが入っているかもしれない。そんなはずはないと思いながらも、その箱の入手場所とタイミングに何かしら運命的なものを感じた喪之彦は、やや怯えながらもそのダンボールを開封した。

中から姿を現したのは、卵のようで卵でない、メトロノームのようでメトロノームでない、ドローンのようでドローンでない、ブリスターパッキングされた得も言われぬ形状の商品であった。商品の台紙にはただ商品名だけが書いてあり、使用法や効能を示す文言などは一切なかった。

そこに明るくポップな書体で書かれていた商品名は、「生きるくん」。パッケージを開けてその謎の物体を手にした喪之彦は、急に自分がなぜ死にたかったのかがわからなくなってきたように思われはじめたのだった。あるいは最初から、死にたい理由など何もなかったのかもしれない。

その「生きるくん」の効果なのだろうか。喪之介はまもなく死ぬことがどうにも面倒に感じられ、再び生きることを決意して樹海を脱し日常生活へと無事回帰することとなったが、ただ生きているだけで幸せかといえばそれはまた別のお話。


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【検証】ポテトチップスが品薄になると、世界はどうなってしまうの?

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大変なことになった。

ニュースによると、あの国民的食品が危機的状況にあるらしい。大変なことになった。大切なことなので二度言った。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170410-00082864-playboyz-sociheadlines.yahoo.co.jp

どうやら原因は、昨年北海道を襲った台風の被害によるじゃがいも不足らしい。

「なんだ、たかがポテトチップスじゃないか」

そうたかをくくっている人もいるだろう。しかしひとつの現象は必ずのちの世に何かしらの影響を与え、その繰り返しにより歴史は作られてきたのである。油断は禁物である。

そこで当シンクタンク(シンクもタンクも浅め)では、この未曾有の「ポテチ危機」が後世に及ぼすであろう影響と展開を予測してみたい。

ここでは例によって、すでにその大いなる実績によりことわざにまで採用されている「風が吹けば桶屋が儲かる」方式によるフリースタイル連想という手法を用いて予測を進めることにする。「フリースタイル」とはつまり全面的に無根拠だということである。


【「ポテチ危機」後の未来予想図Ⅱ(Ⅰは無い)】

ポテトチップスが店頭から消える
→ポテトチップスがどうしても食べたくなる
→食べられないのなら、せめて何かしらポテト様の御姿をひと目見たい
→じゃがいも顔の人気急上昇
→じゃがいも顔筆頭、ミスター・タイガースこと掛布雅之が再ブレイク
→掛布が昔CMをやっていた『キンチョール』も便乗で再ブレイク
→世界中の蠅と蚊が絶滅の危機に
→生き残った蠅と蚊の「強い個体」がそれぞれ配合を繰り返し、やがてとんでもない生命力を持つ「蠅の王」と「蚊の王」が誕生する
→「蠅の王」と「蚊の王」と「じゃがいもの王(掛布)」による三つ巴の戦いが繰り広げられる
→これが新時代の『三国志』である
→「蠅の王」と「蚊の王」はいずれも人類を絶滅させるだけの力を持っていたが、その二匹の仲が険悪であったため、「じゃがいもの王(掛布)」は時には蠅の、時には蚊の味方につくという得意の「広角打法」により、巧妙に種の存続をはかる
→しかしジリジリと追い込まれてゆく「じゃがいもの王(掛布)」はついにバースと岡田を召喚し、秘技「バックスクリーン三連発」を繰り出すが、蠅も蚊も野球には特に興味がなく鮮やかに無視される
→もう打つ手がないので、「じゃがいもの王(掛布)」は助っ人オマリーを召喚する
→オマリーが歌う「六甲おろし」の摩訶不思議な音階により、「蠅の王」と「蚊の王」が次々と撃沈
→のちの分析によると、オマリーの歌声には強烈な「モスキート音」が含まれているという
→いい仕事をして満足げなオマリーの浮いたヘルメットを外すと、中からじゃがいもがいくつも出てくる
→じゃがいもの復活
→ポテトチップスの復活

世界は救われた。ありがとうオマリー。


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