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ディスクレビュー『SONGS OF YESTERDAY』/RUST N' RAGE

Songs Of Yesterday

Songs Of Yesterday

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フィンランド出身のハード・ロック・バンドの4th。ジャケットからもひしひしと伝わってくるように、80年代アメリカン・ハード・ロック影響下にあるスリージーな音像だが、彼らの魅力の本質はその北欧然としたメロディの質にこそある。

その事実を改めて感じさせたのが前作の冒頭を飾った哀愁ほとばしる「Prisoner」という楽曲で、なによりもメロディを重視する当ブログでも2022年ベスト・ソング部門の2位に選んでいる。

tmykinoue.hatenablog.com

そんな前作に比べて、今回はさすがにそこまで飛び抜けた楽曲こそ見当たらないものの、全体のアベレージをきっちり上げてきた印象。特に前半の楽曲が強く、冒頭の三曲を聴くだけでも彼らが北欧由来のメロディ・センスを豊潤に内包していることが伝わってくる。

一方で、⑥「Rollin' Till The Morning」⑦「Open Fire」あたりの典型的なロックンロール曲のメロディが弱く、スタイル的には本来こちらのほうが本質であったのかもしれないが、もはやこれらノリ重視の楽曲のほうがアルバムにふさわしくないように感じられる。

それともうひとつもったいないと感じるのが、この声を潰したようなあえてのローファイ・サウンド。楽曲の重心を甘美なメロディへと移行させてゆく過程で、せめて表面的にワイルドな感触を残しておきたいというある種の「照れ」が生じたのかもしれないが、余計な加工が良質な旋律のスムーズな伝達を妨げて少なからず興を削いでいる感は否めない。

この粗野な音像のせいで入口を妨げられてしまうリスナーも少なくないように思われるが、そこで踵を返してしまうには惜しい美旋律がその先には待っている。次はあえて悪ぶったりはせずに、是非ともメロディの質に見あう素直で洗練された音作りをお願いしたいところだが、中身の楽曲の質は確実に向上している。

80'sアメリカ志向のロックンロールというよりは、北欧メロディアス・ハードの担い手として評価すべきバンドであると思っている。


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