泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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EURO2024日記~16日目~

ベルギーは最後まで噛みあわないまま終わった。トロサールは先発をはずされたうえに途中からすら使われず、同じくシュートに定評のあるティーレマンスも投入なし。

サリバに完璧に封じられていたルカクを下げて、ほかのエリアに決定力を求めるしかない状況の中、シュート力のあるこの2人を使わなかった采配は理解に苦しむ。

デデスコは結局のところ、謎に可愛がっているルカクと心中した形に。これでベルギーは一気に世代交代を余儀なくされることだろう。

フランスはスペインほど仕上がっている感じでもないが、内容的には妥当な勝利。今回はなぜかグリーズマンをサイドに置いてみたりと、こちらはこちらでもったいない采配も目についたが(やはり彼には中央を起点に自由に動きまわってほしい)、個々のタレント性を生かすという意味では、各所で順当に機能はしていた。

改めて素晴らしいと思ったのは、左サイドバックのテオ・エルナンデス。その豊富な運動量といい、攻撃的サイドバックでありながらピンチに身を投げ出す献身的な守備姿勢といい、まさに居てほしい場所に居てほしいときに居てくれる選手。彼とカンテが広範囲をカバーすることで、前線の自由が確保されている。

いまのアーセナルやシティのように、ときに中央へ侵入し配球までをも任される複雑な偽サイドバック的働きを求められるのでなければ、どこのチームにも欲しい人材だろう。

ポルトガルは攻め続けるもののなかなか決まらず、ロナウドがPKをはずすという思いがけぬ苦境に。

しかし内容的には終始スロベニアを圧倒しており、前戦で休みをもらったブルーノ・フェルナンデスこそ謎のミスを連発してらしくなかったものの、同じく戻ってきたシウバやヴィティーニャの上手さとレオンのスピードを中心に、試合を支配し続けた。特にヴィティーニャの、小さな体を上手く使ったキープ力には舌を巻いた。

それに対するスロベニアは最後の最後のところで食い止める展開が続き、特にロナウドのPKストップを含むオブラクのセービング力は流石だった。

やはりゴールキーパーの力は重要だな、と彼に思い知らされたところで、いざPK合戦になると立場は一転。今度は俺の番だとばかりに、ポルトガルディオゴ・コスタが3連続PKストップという神懸かったセービングでポルトガルを勝利に導いた。

彼にはその前にも、ペペのミスから生まれたシェシュコとの1対1を止めるというシーンもあり(シェシュコはあれを決めなかったことでだいぶ値段が下がったかもしれない)、まさに救世主という印象を残した。

とりあえずどちらの戦いも、観る者を楽しませてくれるプレーをするほうが残ってくれて良かったというのが正直なところ。

そして今夜はベスト16の残る2試合。それにしてもここまで長かったようなあっという間だったような。もう16日も日記をつけていることに自分でも驚く。

ルーマニアは油断してほとんど観ておらず、何が良くてここまで上がってきたのかまだ認識できていないので、そこを見極めたい。一方で対戦相手のオランダは、フリンポンのスピードとヴェグホルストの高さをどう使うか(あるいは使わないか)が勝敗の鍵を握るような気がしている。

オーストリア対トルコは、やはりラングニックによるオーストリアのハイプレス戦術がどこまで機能するのか。そしてそれを巧みに掻いくぐる、アルダ・ギュレルの技倆も観たい。

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