さて、大会もいよいよ決勝トーナメントに突入。
初戦はスイス対イタリア。
とにかくイタリアはまったくいいところがなかった。今回は、評判うなぎのぼり中のカラフィオーリを出場停止で欠いたことも多少の影響はあったと思うが、守備的なわりに守備も緩いというちぐはぐな状態になっていた。
それにしてもジョルジーニョはなぜ使われなかったのだろう。守備強度を考えてのことか。
今大会のイタリア代表には、そもそも守備を重視してこのメンツを選んでいるのか、という疑問もあって、監督のスパレッティにもローマでトッティの0トップを採用した攻撃的戦術のイメージが強い。にもかかわらず、なぜこんなに消極的なチームが出来あがってしまったのか。
結局はこれがイタリアサッカーの(悪い意味における)伝統の力ということなのか、それ以前にイタリア国民のメンタリティということなのか。
一方でスイスは派手さこそないが、良くまとまっていた。
そしてスイスといえば元アーセナルのジャカがキャプテンで10番。やはり彼の代表におけるキャプテン感と司令塔感は半端なく、スペースでボールを受けるための動きや狭いところに縦パスを通すなど、相変わらず非凡なセンスも見せていた。アーセナルが売りに出すのは少し早かったかな、と少し後悔させるような充実っぷり。
それにしてもスイスのヤキン監督が伊達男すぎて、こっちがイタリアの監督なのではと映るたびに思うが、この人にものすごくそっくりな俳優が日本にいる。しかし名前がわからない。たしか『VIANT』とかにも出てたよな……と思って調べてみたら橋本さとしという人だった。画像を見てもやはり似ている。夜勤監督。昼勤監督は別にいる説。
続いてドイツ対デンマーク。
こちらもデンマークがそつなくまとまっているように見えたが、ドイツもやはりナーゲルマンの戦術をきっちり仕込まれているため、そうなると結局個のクオリティ勝負になる。
それにしてもハヴァーツは良いのか悪いのか。決定的なチャンスを作っては外すということの繰り返し。それはセンターフォワードというポジションの宿命でもあるのだが、素晴らしい裏抜けからキーパーと1対1になった場面ではさすがに決めてほしかった。最低でも枠内。
同じような抜け出しからそのあとムシアラが2点目を決めきったことで、その決定力の差がより明確になってしまった。もちろん利き足の違いもあって、左サイドから打つ場合は右利きのほうが角度的に入りやすい、という事情もあるのだが、やはりハヴァーツは「動き出しの人」なのだと改めて思った。
とはいえ、任せされたPKに関しては相変わらずきっちり決める頼もしさもあって、途中でいったん止まってタイミングをズラしながら、あれだけの強さでコントロールしたボールを蹴れる人はなかなかいないのではないか。レヴァンドフスキも同じような二段モーションだが、このあいだのPKを観る限り、彼はここまで強くは蹴れていなかったような気がする。
というわけで、開催国ドイツは順当な勝ち上がり。ナーゲルスマンはカップ戦に弱いという実績もあるがどうなのか。
今夜はイングランド対スロバキア、スペイン対ジョージアの2試合。イングランドは相変わらず心配で、スペインはわりと仕上がっているように見えるがジョージアにも勢いを感じる。まずはサウスゲイトが何をどう変えてくるのかに注目したい。