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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

日常の憂鬱を絶望へと進化させたうえで吹き飛ばすためのメタル名曲5選

音楽レビュー(HR/HM) コラム プレイリスト

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例年になく雨が多かったり、涼しくなったと思ったらまた暑くなったり、そのせいで風邪をひいていまいち治りきらなかったり。世間様ほど夏にやんちゃをしたわけでもないのに、海にも山にもフェスにも行っていなければバーベキューもすいか割りもしていないのに、なぜか「夏の疲れ」が出てパワーダウンしがちなこの季節。

半袖を着れば肌寒く、長袖を着ればちょい暑い。傘を持って出ればまもなく雨は止み、傘を持たないという賭けに出れば狙いすましたように雨が降る。そんな気候に引っ張られるように、人間の判断力も自然とモヤッとしがちで、なんとなく憂鬱な日々を送っている人も多いのではないだろうか。

そういえば子供のころは秋が嫌いで、その理由は「他の季節と違って『秋休み』がないから」という馬鹿みたいな理由だった。そんな脳天気な子供も大人になってからはだいぶ秋が好きになったが、しかし秋にはやはり人を憂鬱にさせる抗いがたい空気がある。人間よりも季節のほうが遥かに大きい。

そして抗いがたいものに対して、必死に抵抗してみせるのは得策ではない。であるならば、この憂鬱を解消するには、むしろいったん仲良くするしかない。そして憂鬱の先にある絶望の果てまで仲良く手をつないで進んだところで、相手が気を許したところを見計らってぶち壊すのだ。

そんなイメージで、憂鬱な相手を手なずけたうえで雲散霧消させるのためのメタルソング5曲を選んでみた。ぜひ憂鬱が壊れるまで聴いてみてほしい名曲群。


◆「Gutter Ballet」/SAVATAGE

イントロの美しい鍵盤が、すでに絶望の始まりを予感させる。Vo.の力んだ声質は、聴き慣れない耳にはやや邪魔になるかもしれないが、それによって伝わってくる感情の起伏は大きい。

そして故クリス・オリヴァによる、激しくも美しいギターソロがオーケストラアレンジと絡み合う後半の展開は圧巻。

◆「Killing Me Killing You」/SENTENCED

見るからに北欧の雪景色の上で繰り広げられる暗黒の宴。どこにも生きる望みが感じられない遺書のような歌。

だがここまで完全にネガティブだとあまりに後ろ向きすぎて、一周して前を向いている可能性。

◆「The Unforgiven」/METALLICA

イントロのギターから歌メロ、ベースライン、そしてドラムの一音一音に至るまで、とにかくすべてがぬぐい去れぬ哀しみを目指している。

憂鬱に圧倒的な重さを加えると絶望になる。その重さが逆に、絶望を支えているとも言える。

◆「The Sails Of Charon」/SCORPIONS

ウリ・ジョン・ロートの奏でるギターの音階に感じる絶妙な違和感。流麗であるにもかかわらず、引っかかりが多く印象に残るフレーズの数々。

その常人離れしたギターに引っ張られるように、マイルドな声質を徐々に上ずらせてゆくクラウス・マイネの歌。絶望の先に異世界への入口が開けているような。

◆「Axe To Fall」/CONVERGE

ハードコアバンドが最もメタルに接近した際に放つ刹那の美。破壊衝動に溢れた轟音の最中を高速で上下動するギターの旋律が容赦なく麗しい。

その美しさがあっさり無駄に終わるような潔い終わり方もまた、鮮やかに絶望を感じさせる。

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