泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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声に出して呼びたい名前(サッカー選手編)

ズラタン・イブラヒモビッチ」という名前のサッカー選手がいる。彼はあまりに有名なストライカーだから、その名を聞いたことのある人は多いだろうが、その名前から、あなたは何を想像するだろうか。

「カツラをかぶった中間管理職のおっさんが、ブラジャーの紐をあらわにした尻軽女に、何かしらのハラスメント行為を働いている」これが正解だ。もっと言えば、カツラをかぶったおっさんは、「ズラ(ヅラ)タン」と「タンづけ」で呼ばれるほどの人であるから、彼は何かしらの「萌えキャラ」だということになるし、だとしたら「ビッチ(尻軽女)」は「ズラタン(中間管理職)」のズラと頭皮の間から醸し出される類いまれなるチャームにむしろ好意を抱いている可能性もあり、端から見れば明らかなハラスメント行為に見える二人の関係は、思いのほか仲むつまじい「プレイ」の一環である可能性もある。ここまでストーリー性のある名前も珍しい。

かと思えば、オランダ代表のディフェンダーに「ブラルーズ」というのがいて、イブラヒモビッチとの尻軽ブラはずし対決に注目が集まるところ。ブラジャーのルーズ感をお洒落と言い張るか、単に男を引っかけるための罠なのか。あるいは最近ダイエットに成功して、結果的にルーズになったという前向きな緩みであるのならば全員にとって喜ばしいことだ。

もちろんそんな下ネタばかりではなく、爽やかなあまりに呼びたくなる名前というのもたくさんあって、その代表がイタリアの「フローロ・フローレス」である。なんとフローラルな名前だろうか。ピッチ上に花摘みにやって来たとしか思えない名前である。ちなみに「フローレスセイコ」という、松田聖子プロデュースのお店があるが、フローラル感ではどう考えても「フローロ・フローレス」の圧勝である。

しかしただ一つ残念なのは、フルネームが「アントニオ・フローロ・フローレス」であるという点で、この「アントニオ」という圧倒的にますらおぶりな名前が、後半のフローラル感を台なしにしてしまっている。この「アントニオ」という響きが、神田沙也加でいうところのあの父親譲りの輪郭を思わせ、どんなにフローラルに着飾っても彼女は母親のようなお花畑の住人(当時は本当にそういうイメージだった)にはなれないのだということを、改めて痛感させる。

イタリアには他にも、「アクアフレスカ」という歯磨き粉にしかなり得ない選手もいるが、最近は「デンターシステマ」や「シュミテクト」に押され気味である。

最後に紹介したいのはアフリカ系選手の名前で、かの地には「バ」一文字の選手(フルネームは「デンバ・バ」)など、かなり変名人材は豊富なのだが、その中で個人的に最も格好いい響きだと感じているのが、「オデムウィンギ」という選手である。僕は彼の名前を実況で聞くたびに、「デビルウィング」(『デビルマン』の主題歌にも登場する技名)と聞き間違えたくてしょうがない(実際には残念ながらそうそう聞き間違えることはない。耳毛が足りないのかもしれない)。

ちなみにこの文章を書くのに選手名をWikipediaで確認するうちに、一文字選手「バ」が自分と同じ誕生日(年は異なる)であることを思いがけず知ることになり、だからといって特に親近感が沸くわけでもなかったことをここに報告する。

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