泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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現在企画頓挫中の新書タイトル一覧

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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』あたりからだろうか。最近の新書はとにかく「タイトルありき」の羊頭狗肉が横行しているとの評判である。

ならばまずタイトルから決めてしまうのが良いのではないか、と思いタイトルから決めたところ、結構思いつくには思いついたが内容的にはすべてが自分の中で頓挫した。

原因はタイトルしか考えていないからである。中身はもちろん一文字も書いていない。これは大きな誤算であった。

以下にそのタイトル群を掲載して供養したい。

『ヅラは見た目が9割』

→たしかにそんな感じなのかな。でも装着感重視の人とかも結構いるんじゃないの。で?

『人生において大切なことはすべてガムの包み紙から学んだ』

→著者の人生が心配。

『ハーバード式かさぶた剥がし術』

→知性の無駄づかい。

『60分でわかるひらがな「ぬ」の書き順』

→むしろ時間が掛かりすぎている。

『ジャンケンのルールが面白いほど身につく本』

→身についていない人の少なさ。

『すべてのまばたきはウインクである』

→なんとなくイタリアの伊達男が書きそうだが、単なる間違い。

『東大合格者は全員二度寝する』

→無根拠。(他も全部そうだが)

逃げるは恥だが役に立つ~いま線路上を走っている人100人に訊きました~』

→100人に訊くことの難しさ。別名「スタンド・バイ・ミー症候群」。

『棚上げる力』

→誰も欲しがらない能力。

『TBSの修造のパクりみたいなアナウンサーはどうしてああなったのか?』

→知りたい。


以上です編集長。



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短篇小説「雨のドラゲナイ」

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竜治は雨が降るとドラゲナイ気持ちになる。とはいえ竜治は一介の会社員。今朝も満員電車にドラゲナイしなければならない。

二度寝が深まりすぎないうちに一大決心をして掛け布団を勢いよくドラゲナイした竜治は、トイレで用を、洗面所で顔をそれぞれドラゲナイしてから、ガスコンロでお湯を沸かしてインスタントコーヒーをドラゲナイするのが毎朝のルーティーンだ。冷蔵庫から卵を取り出し、それをフライパンでドラゲナイするか目玉焼きにするか迷ったが、時間がないことを思い出し結局目玉焼きにしたのち醤油をドラゲナイしてかっ込んだ。

いつもの如く猛スピードで歯、髭、髪、スーツ、ネクタイ、靴をドラゲナイした竜治は、玄関を飛びだすとパッと傘をドラゲナイして早歩きで駅へと向かった。

雨は苦手な竜治。しかし雨が降ったからといってドラゲナイことばかりとも限らない。どういうわけだか雨の日だけ同じ通勤電車に乗りあわせる女性がいて、竜治は彼女にドラゲナイするのを楽しみにしている。ドラゲナイするといっても、ただ遠くからそっと視線をドラゲナイするだけなのだが。

しかし今朝はそれだけではなかった。駅に停車するたび、ちょうどよく彼女と竜治のあいだにいる人たちが次々と抜けていった上で押し込まれ、気づけば竜治はドアに向かい彼女にドラゲナイするような状態になっていた。いわゆる「壁ドン」の按配である。

そしてこの日の列車は、とりわけ頻繁に右へ左へドラゲナイした。ひょっとすると4月に入社したばかりの新人運転手がドラゲナイしているのだろうか。そういえばさっきから、発進もブレーキングもことごとくドラゲナイような気がしてきた。だがなんとしても竜治は、ひしめきあう乗客から彼女をドラゲナイせねばならない。

肘を張って何度外敵とドラゲナイしたことだろうか。しかし竜治はドアについた左手の薬指と小指で辛うじて保持していたカバンを隣客の圧に持っていかれそうになり、いったん握り直さざるを得なかった。カバンの中には今日中に返さなければならないレンタルDVDが入っているのである。

そしてその避けがたいワンアクションにより一瞬の隙が生まれた。やや緩んだ竜治の左肘を押しのけて、大学生のような若者が彼女の前に突如ドラゲナイしてきたのだった。そして若者は何の前触れもなく彼女に向けて言った。

「好きです。ドラゲナイしてください!」

青天の霹靂であった。竜治は窓の外をドラゲナイしてゆく風景を見て落ちつきを取り戻そうと試みたが、その実験はむしろ彼の恋心にとめどない疾走感を与える結果となった。

「僕も好きです。僕とドラゲナイしてください!」

相変わらず前後左右にドラゲナイし続ける電車の中で、なんとかバランスを取りつつ慌てて繰り出した便乗ドラゲナイであった。彼女が明らかにドラゲナイしているのが、その表情から見てとれた。何しろ話したこともない二人から、満員電車内で同時に愛のドラゲナイを受けているのだ。

ほどなく電車が駅に停車し、しばらくぶりにこちら側のドアがドラゲナイした。降りる客が怒濤のように押し寄せる中で、彼女はおそらく自分にドラゲナイした二人に向けてただひとこと言い残して人波に消えていった。

「あ、あの……ドラゲナサイっ!」

まだ会社の最寄り駅まではいくらかあるため、竜治は放心状態のまま再び電車に乗り込んだ。いまの駅で多くの乗客が降りたため、車内はだいぶ空いてきていた。竜治は目ざとく空席を見つけると、へたり込むようにドラゲナイした。すると隣に、先ほどの若者がしれっと座ってきた。彼は同じフラれた者同士の友情でも感じたのか、妙に親しげな様子で竜治に話しかけてきた。

「彼女、なんか変なこと言ってませんでした?」
「ああ、『ドラゲナサイ』とかなんとか……」
「そんな言葉、ないですよね?」
「意味わかんないよね」

二人はそうして意見を一致させると、その後はひとこともドラゲナイせぬまま、同じ駅で降りて無言でドラゲナイした。竜治が地下鉄の駅を出ると、雨はもうすっかりドラゲナイしていた。しかしなぜか竜治は傘を思いっきりドラゲナイして会社まで歩こうと決めた。


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耳毛に憧れたって駄目―悪戯短篇小説集 (虚実空転文庫)

耳毛に憧れたって駄目―悪戯短篇小説集 (虚実空転文庫)

絶対に出ない国語現代文入試問題

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【問1】
傍線部(ア)でクワマンが3度目の盗難に遭ったときの気持ちを、20字以内で答えなさい。

【問2】
傍線部(イ)で指摘されている細川たかしの髪型を表現するのに、最適な四字熟語を以下の選択肢から選びなさい。

A. 猪突猛進 B. 七転八倒 C. 百花繚乱 D. 明鏡止水 E. 臥薪嘗胆 F. 四面楚歌

【問3】
傍線部(ウ)~(カ)のカタカナを漢字に直しなさい。

(ウ)オオスギレン (エ)ガシュウインタツヤ (オ)コヒナタフミヨ (カ)タンコボキバジ

【問4】
中尾彬のねじねじが不足すると、地球がどうなると著者は主張しているのか。以下の選択肢から、もっとも近いものを選びなさい。

A. 彬のねじねじエネルギーを失った地球の自転が遅れ、1日が26時間になる。
B. 主婦層のテレビ離れが進んだ結果、電波の総量が減るため多くの人が健康になる。
C. 地球上の気流が変化することによりオゾン層が破壊され、地球温暖化が急速に進行する。
D. クリスティアーノ・ロナウドの蹴った無回転彬が、揺れながら落ちて地球の左隅に突き刺さる。
E. 特に変化しない。

【問5】
核戦争後に生き残った照英が、失われた地球を再生させるためには何が必要だと著者は提言しているのか。以下の選択肢から、もっとも近いものを選びなさい。

A. 意気消沈した地球を元気づけるため、照英はトレーニングを積んでさらに代謝を上げるべき。
B. 照英の発する膨大な熱エネルギーによる地球温暖化が危惧されるので、個性を殺してなるべくおとなしく過ごすのが良い。
C. 弱体化した地球を侵略に来る異星人の襲来に備え、照英はスピードラーニングで宇宙語をマスターすべき。
D. 失われた地球のことはさておき、照英はまず失われた名字を取り戻す旅に出なければならない。
E. 照英はそのままでいい。


《模範解答》

【問1】なんで俺ばっかり。この髭のせいなのかな?(20字)
【問2】D. 明鏡止水
【問3】(ウ)大杉漣 (エ)我修院達也 (オ)小日向文世 (カ)丹古母鬼馬二
【問4】C. 地球上の気流が変化することによりオゾン層が破壊され、地球温暖化が急速に進行する。
【問5】D. 照英はそのままでいい。


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