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無理を承知で厳厳厳選した生涯のハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ソング・ベスト10

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先日書いた「アルバムベスト10」からの流れで、これは選ばざるを得ないという正体不明の使命感に駆られ、今回は曲単位で「オール・タイム・ベスト10」を選ぶことに決めたはいいが。

いや難航、難航、桂南光。これは大変なことになった。1枚のアルバムに10数曲の楽曲が入っているとして。単純に10倍以上の候補の中から、たったの10曲を選ぶ作業。

せめて「疾走曲」「バラード」「'87年」などという、もう一段階細かい「くくり」があれば選びやすいのだが、今回はあえてそれを外しているからこその並びでもある。

例によって、メジャー/マイナーの区別なく選んだが、結果的に今回はさらにMVなど動画のない曲ばかり。

いざ選んでみて感じたのは、自分がいかに絶望的な響きを持つ孤独なバラードを愛しているかということと、普段からメロディ重視とは言い条、わりとアレンジの気の利き具合、特にドラムの効果的なアタックにピンポイントな魅力を感じているらしいということ。

今回はさすがに選び切れていない感触も残るため、文末に選外リストをつけるという半端をお許しいただきたい。

もちろん、そこまで含めても紹介しきれないくらい、まだまだ名曲はありまくるのだが。


第10位「Summer’s Rain」/SAVATAGE

GUTTER BALLET/2011 EDIT.

GUTTER BALLET/2011 EDIT.

これはもうとにかく絶望感がたまらない。その音色もメロディも、哀しみに満ちている。

ジョン・オリヴァの儚い歌唱はもちろんのこと、やはり極めつけはイントロ、リフ、オブリガート、ギター・ソロと、常に圧倒的なエモーションを連れて切れ込んでくるクリス・オリヴァの繊細鋭利なギター・プレイ。

SAVATAGEといえば当然代表曲の「Gutter Ballet」あたりと悩むことになったが、絶望感の濃密さでこちらを選んだ。


第9位「Midday Moon」/CARDIANT

ミッデイ・ムーン

ミッデイ・ムーン

同系統のフィンランド産メタルで、SONATA ARCTICAの「The Cage」と迷った結果、バンド的には地味なこちらに。

とはいえけっして判官びいきではなく、日常のふとした瞬間、ことあるごとにこの曲のサビの旋律が脳を支配する。

SONATA ARCTICAに比べるとやや声質がマイルドで押しが弱いのが、彼らが大ブレイクしない要因かもしれないが、そこが北欧特有の美旋律と結びつくとある種の甘美な中毒性を持つ。

美旋律がとめどなくつながる北欧メタルの典型ではあるが、微妙に替えがききそうできかない名曲。


第8位「Soliloquy - The Loneliest Place In The World」/TEN

テン(紙ジャケット仕様)

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もう曲名からして完璧な絶望である。これ以上孤独なタイトルがあるだろうか。

そしてなぜこんなに絶望的な曲が好きなのかは自分でもわからないが、人は自分の気質と正反対の楽曲を求めるという説もあるから、それでいくと僕はとんでもなく脳天気な人間なのか?

人によっては、イントロからもうあまりに絶望的すぎて逆に笑ってしまうくらいかもしれない。あるいは本気で落ち込んでしまって聴けないか。10分強の長尺曲だが、特に感情面で他への展開もなく、終始絶望的なまま終わるこの潔さ。

TENには名曲が多く、定番曲の「The Name Of The Rose」や、明快かつ鋭利な「Bright On The Blade」あたりも候補に考えたが、やはりこの突き詰められた哀しみは何ものにも代え難い。


第7位「Under A Mourning Star」/CONCEPTION

イン・ユア・マルティチュード

イン・ユア・マルティチュード

稀代の歌い手カーンの歌が哀しみを湛えているのは周知の事実で、となると彼が大ブレイクしたKAMELOTの名曲の中から選ぶべきかとも思うが、1曲の力といういことでいえば、僕はやや過剰とも思えるアレンジ力を加味してCONCEPTION時代のこの曲を選ぶ。

その実、このバンドの中心人物であるギタリストのトゥーレ・オストビーを、個人的には非常に高く評価しているというのも大きい。デビュー作に堂々とフラメンコ・ギターを持ち込んだ彼の大胆かつ繊細なアレンジ能力は、のちにヨルン・ランデと組んだARKでも炸裂している。

出だしの、まるで『火サス』かというくらいシアトリカルな音響からはじまり、そこからソリッドなギター・リフの刻み、そして逆にあえてギターを弾かずにドラムを際立たせるパート、さらに再び切れ込んでくるテクニカルなギター・フレージングの妙。

エキゾチックなギター・ソロのバックにはまた別のリズミカルなギター・リフが用意され、それらすべてがカーンのヴォーカルを引き立てるという精緻極まりない構築美。

隅々までアイデアに溢れた、徹底してクリエイティヴな1曲。


第6位「Something To Say」/HAREM SCAREM

Harem Scarem

Harem Scarem

HAREM SCAREMも名曲が多く、いくらでも選びようがあるが、とにかくメロディの方向性とクオリティでこのバラードを。

これまた入りはかなり暗く重いが、長めのギター・イントロから歌に入るまでにはすでに立ち直ったような明るさが感じられる。

だがその明るさこそが、無理な作り笑顔のようでより哀しい。それをハリー・ヘスのハスキーな歌声で歌い上げられると、これはもうどうしようもなく哀しく悲しい。

そしてそこにまた明るく励ますようなギター・ソロが挟まるのだが、やはり歌メロでまた哀しみが炸裂してすべてがふりだしに戻る。やっぱりここには哀しみしかない。だがこんな圧倒的な哀しみだけが必要な時もある。

人生に寄り添うような、哀しく暖かな名バラード。


第5位「Together We’re Lost」/ERIKA

Cold Winter Night

Cold Winter Night

イングヴェイの元嫁である。本家イングヴェイを選んでいないのに元嫁のほうを選ぶなんて、という背徳感も少なからずあるが、この曲の、題名通り凍えるような哀感は、もう「これぞ北欧!」としか言いようがない。

とにかくメロディの質感と総量。まったく隙のない旋律の展開。そしてぶ厚いコーラス・ワーク。

元嫁の特に味わいのない一本調子な歌唱も、曲という素材の良さを際立てるという意味ではむしろ効いている。メロディの質だけで、これはもう選ばざるを得ない。


第4位「Call Me」/SHINEDOWN

The Sound of Madness: UK Edition

The Sound of Madness: UK Edition

絶望というか、ここまで来るともはや鎮魂歌。入りのピアノ一音だけでズーンと気分が沈み込むこの重々しい感触は、五輪真弓の名曲「恋人よ」を彷彿とさせる。

そこにブレント・スミスの骨太な歌唱が乗り、何か致命的なことを宣告されているような絶望感に襲われる。最後の一音まできっちり重い。これはグランジを通過したアメリカン・ヘヴィ・ロックならではの重さだ。

何よりも「歌の力」というものを改めて感じる1曲。メロディに対する歌詞の、ジャストすぎない絶妙な乗せ方にも、やはり英語ネイティヴの歌唱ならではの気持ちよさというものがある。


第3位「Riding The Storm」/RUNNING WILD

Death Or Glory

Death Or Glory

これぞ究極のThe song for headbangers!

のちに同じような曲ばかり作ってすっかり飽きられてしまう彼らだが、ピーク時にこれだけの名曲を拵えてしまえば、以後出涸らしになってしまっても仕方ない。そんな、自分たち自身の才能にすらダメージを与えてしまうほどの圧倒的破壊力。

まずは勇猛果敢なギター・リフと、哀しみを撒き散らす歌メロがユニゾンして突っ走ってゆくその様子に首を持っていかれるのだが、それに加えてこの曲はとにかくドラムが滅茶苦茶に格好いい。これはもうドラムというより、戦場で打ち鳴らされる陣太鼓である。

特にたいしたことのないギター・ソロ後半、4:50過ぎに突如訪れる鬼のような連打には、誰も彼をも鼓舞してしまう有無を言わせぬ力がある。これを聴いて気分が高揚しなければ、その人はすでに死んでいる。へんじがない、ただのしかばねのようだ……。

それにしてもこのアルバムで叩いていたドラマーのイアン・フィンレイという男、どうもレコーディング後(もしくはレコーディング中?)に腕を骨折したようで、その後のツアーには参加していない。「そりゃこんだけ叩けばさもありなん!」と思わないでもないが、これだけ叩ける人なのに他でその名を聞かないのは不思議でもある。

欧文(Iain Finlay)で検索をかけてみると、その後もいつくかのバンドで活動は続けているようではあるが。このドラムがさらに別の才能と衝突するところを聴いてみたかった。
Iain Finlay - Encyclopaedia Metallum: The Metal Archives


第2位「What You Believe In」/DREAMTIDE

ホワット・ユー・ビリーヴ・イン

ホワット・ユー・ビリーヴ・イン

やはりZENO~FAIR WARNINGファミリーは名曲まみれで外せない、というのは間違いないが、曲単位で選ぶとなると個人的にはこの曲になる。

ヘルゲ・エンゲルケの奏でるスカイ・ギターの音色やフレージングの美しさが存分に発揮され、もうすでに歌い出しのAメロからキャッチー極まりない歌メロが次々と湧出、そしていつになく生き生きとしたC.C.ベーレンスのドラムが全体を無駄なくタイトに引き締める。

個々の楽器演奏と歌が別々のフレーズを奏でながらも、一体となって渦をなして高みを目指してゆくようなこの状態は、キャッチーでありながらも独特の神聖な飛翔感を醸し出すZENOファミリーの真骨頂だろう。

ちなみにこの曲には通常のアルバム・ヴァージョンと先行シングルに収録されている「ディファレント・ヴァージョン」があり、後者のほうがイントロにギターが入っている分、より強力であると思う。


第1位「Flight Of The Warrior」/RIOT

Thundersteel

Thundersteel

いやもう、この曲を聴いたら即刻泣きながら走るしかない。泣いてもいいが走るのを止めてはならない。駆け抜ける哀愁、戦いの挽歌。

RIOTといえばFlightしないほうの「Warrior」や「Thundersteel」といった代表曲をはじめ、憂愁の名曲には事欠かないが、やはり不世出の変態ドラマー、ボビー・ジャーゾンベクが叩きまくるこの曲のドライブ感は唯一無二。

もちろん良いメロディあってこその疾走感なのだが、これだけドラムが先陣を切って楽曲を牽引してゆく美旋律楽曲にはなかなかお目にかかれない。

哀愁に疾走感を与えると哀しみが激増する、というメロディック・メタルの方程式を改めて思い知らせる至高の銘曲。


【今回はなんとなく選外になったが、いつベスト10に入ってもおかしくない候補楽曲リスト(順不同)】

「Forever」/KAMELOT
「Attention」/PRETTY MAIDS
「Silverwing」/ARCH ENEMY
「One Shot At Glory」/JUDAS PRIEST
「What Did You Find」/FAIR WARNING
「Livin’ In A World Without You」/THE RASMUS
「Tears Of The Dragon」/BRUCE DICKINSON
「The Chance」/HELLOWEEN
「Portrait」/LIONSHEART
「Wings」/TYKETTO
「Dream Fantasy」/LOUDNESS
「Shot In The Dark」/VOWWOW
「Overnight Sensation」/FIREHOUSE
「Pictured Life」/SCORPIONS
「Die Young」/BLACK SABBATH
「Theatre Of Fate」/VIPER
「Embody The Invisible」/IN FLAMES
「Sailing Ships」/WHITESNAKE
Soldier Of Fortune」/DEEP PURPLE
「Bright On The Blade」/TEN
「I Remember You」/SKID ROW
「Sweet Child O' Mine」/GUNS N' ROSES
「The Cage」/SONATA ARCTICA
「Heartwork」/CARCASS
「Shame」/PINK CREAM 69
「Primal Concrete Sledge」/PANTERA
「Practice What You Preach」/TESTAMENT
「La Vita Fugge」/VISION DIVINE
「Dreams」/VAN HALEN
「Indians」/ANTHRAX
「Out In The Fields」/GARY MOORE & PHIL LYNOTT
「Riot In Everyone」/CRASHDÏET
「In These Arms」/BON JOVI
「Time Will Find The Answer」/JOHN NORUM
「River Of Pain」/THUNDER
「Smothered」/SPINESHANK
「Heartbreaker」/LUCIFER'S FRIEND Ⅱ FEATURING JOHN LAWTON
「Shadowman」/NIGHTINGALE
「Pushing Me Away」/LINKIN PARK
「So Many Tears」/DOKKEN
「Hands Of Time」/STRATOVARIUS

……and more!


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