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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

日本一呼びだしを喰らう召喚獣

ものすごく気になるが気になるだけに終わる人というのがいる。当然だがそういう人がDVDを出したとしたら、そのDVDも気になるが気になるだけに終わる。買いも借りもしないつまり観ない。しかしそんなことでは気になるだけの人生だ。気になる人やものは「気にならなくなる」まで「気にしきって」みたほうが良いのではないか。愛とはつまり気にしきることである(何もいってない名言)。

ついに待ちに待った天達のDVDが出た。待っていた覚えはないが待たされた気はなぜかする。朝の番組で小倉さんから高らかに呼び出されるあの召喚獣「あまたつ」のDVDである。

『とくダネ!PRESENTS 天達武史の旬学旅行』というタイトルからして、その「気になるだけ」度合は相当なものだが、Amazonの妙に詳細な商品紹介文にはなんと、特典映像「あまたつ!コール 40連発」の文字が。なぜか特典映像欄の中でもひときわオマケ的な佇まいで最後の行に、しかも丁寧に一行あけて他とは完全に切り離された形で表記されている。何かある。40というキリがいいんだか悪いんだかわからない数字も含めて。

もちろん、きっと観てみたら、期待したほどの何かがあるわけではないのだろう。単に過去映像から該当箇所をよせ集めて並べてみただけとか。しかし「期待=気にする」のは自由だ。そして期待とは、まだ観ていない者だけに許される自由なのだ(何もいってない名言2)。

わたしはその自由を謳歌すべく、勝手に「あまたつ!コール 40連発」を考えてみた。何の使命感もなく計40個を考え終えたとき、とんでもない徒労感に襲われたことを、あらかじめおことわりしておく。皆さんもぜひ自分だけの「あまたつー!」を見つけてほしい。そして気ままに召喚してほしい。もちろん、以下の主語はすべて「小倉さん」である。

1発目:カメラ目線で元気に「あまたつー!」
2発目:デーブの駄洒落にあきれながら「あまたつー!」
3発目:カチューシャをはずしながら「あまたつー!」
4発目:カチューシャと一緒に《何かを》はずしながら「あまたつー!」
5発目:傘の先端で眉間を的確に貫きながら「あまたつー!」
6発目:雨は夜更けすぎに雪へと変わらなかったので「あまたつー!」
7発目:高木美保の眼鏡を卵でとじながら「あまたつー!」
8発目:結露した窓ガラスに人さし指でそっと「あ・ま・た・つ♡」
9発目:タモさんの「今日も暑いね〜」という客席への呼びかけに応えて「あまたつー!」
10発目:ピンクのセーターを肩から掛けて「たつあまー!」
11発目:大学受験に合格した勢いを借りて好きなあの娘に「あまたつー!」
12発目:警官に「近ごろ近所で怪しい男を見かけませんでしたか?」と問われて「あまたつー!」
13発目:「天気雨のことを《何の》嫁入りと言うでしょう?」というクイズに「あまたつー!」
14発目:先生にエロ本を没収されながら「あまたつー!」
15発目:没収されたエロ本を取り返しにいく男の名は「あまたつー!」
16発目:入りすぎた肩パッドを投げつけながら「あまたつー!」
17発目:クレープの下から液状チョコを漏らしながら「あまたつー!」
18発目:試合開始のサイレン鳴り響く中、キャッチャーの後ろで右手を高々と挙げて「あまたつー!」
19発目:金庫に隠していたお金がすべて葉っぱに変わっていたことに気づいて「あまたつー!」
20発目:封筒の中から泥のついた一万円札を取りだしながら「あまたつー!」
21発目:「田村亮子で金、谷亮子でも金、では次は何で金?」というクイズに「あまたつー!」
22発目:「ルーニー植毛」のニュースに過剰反応して「あまたつー!」
23発目:桃から産まれながら「あまたつー!」
24発目:机の中に隠しておいたパンを1ヶ月後に思い出して「あまたつー!」
25発目:雑木林でくぬぎの木を蹴りながら「あまたつー!」
26発目:ティーショットを隣のコースへ打ち込みながら「あまたつー!」
27発目:ボーリング場の、手を乾かすための空気が出るあの部分に向かって「あまたつー!」
28発目:電車で席を譲られた際「俺はまだそんな歳じゃない」という意思表示として「あまたつー!」
29発目:赤壁で火計のタイミングを見計らいながら「あまたつー!」
30発目:電車の連結部分を乗りこなすことでサーファーを気取りながら「あまたつー!」
31発目:世界陸上男子100mで優勝したカール・ルイスに向かって「ヘイ、あまたつー!」
32発目:シャンパンタワーに全速力で飛び込みながら「あまたつー!」
33発目:蟻の巣に凍りついた目でコンクリートを流し込みながら「あまたつー!」
34発目:オーケーギフトショップの大橋巨泉人形を蹴とばしながら「あまたつー!」
35発目:気象予報士の資格を剥奪しながら「あまたつー!」
36発目:何も言えなくて…「あまたつー!」
37発目:W杯決勝で心ない罵声を浴びせてきたマテラッツィに「あまたつー!」
38発目:高校野球最後の夏、9回裏お義理の代打起用からの一塁ヘッドスライディングを試みながらの「あまたつー!」
39発目:ラーメン屋で食事途中の息子の食器を勝手に下げようとする店員に「子供がまだあまたつでしょうがぁ!!」
40発目:自分の上履きのにおいを嗅いで「あまたつー!」

こうしてわたしは、天達を「気にしきる」ことにより、天達のことが「気にならない」境地へと辿りついた。つまり天達からの解脱に成功したのである。小倉さんにとり憑かれるのと引きかえに。

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