泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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雨の日に傘も差さず歩きながら聴きたい憂愁の雨歌洋楽MV5選

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哀しいときに明るい曲を聴くと元気が出る人と、あえて哀しい曲に寄り添ってもらうことでむしろ悲しみが癒されるという人がいる。

では雨の日には、明るい曲と哀しい曲、どちらを聴きたくなるだろうか。

これも基本的に、落ち込んだときに「自分を奮い起こす」タイプの人と、「自分自身とじっくり向きあう」タイプの人とで、ベクトルが正反対に分かれそうではある。落ち込みの度合いにもよるだろう。

個人的には明るい曲がそもそもそんなに好きではないので、特に哀しいときでなくても哀しい曲ばかり聴いている。こういう人間はあんまり参考にならないかもしれない。とりあえず、前者でないことだけは確からしい。

さてここに、タイトルに「Rain」と入った洋楽の名曲MVを5つ集めてみた。音楽の作り手の側からすると、やはり雨には哀しみの感情を乗せることが多いようだ。一部にはもちろん明るい曲も存在するが、なにしろ哀しい曲ばかり好んで聴く人間が選んでいるので、どうしても哀愁路線になる。

念のためいちおう言っておくが、傘は、差したほうがいい。濡れるから。

◆「Another Rainy Night」/QUEENSRYCHE
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アルバム『EMPIRE』収録。
哀愁を炸裂させるギターのイントロから、そのままシームレスにリフへとつながっていく流麗さはまさに水の如し。
「雨」のイメージにさらに「夜」が重なり、この哀しみからは逃れようもない。


◆「Rain」/HAREM SCAREM
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アルバム『BELIEVE』収録。
そのものズバリの曲名だが、こちらの雨はどこか柔らかさを孕んでいる。
どしゃぶりではなく小雨のイメージだが、哀しみと雨の量が単純に比例するかというと、そうとも限らない。むしろ豪雨の勢いで吹き飛ばしてほしい哀しみもある。
ハスキーな声質のせいもあって、温かみと包容力すら感じさせる雨。


◆「November Rain」/GUNS N' ROSES
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アルバム『USE YOUR ILLUSION Ⅰ』収録。
まるで映画のような物語展開を持つMV。楽曲、映像ともに9分を越える曲だからこそ可能なドラマ性を備えている。
最大の聴きどころ&観どころは、スラッシュによる4:12~の屋外ギター・ソロと、7分過ぎからラストへと昇りつめる、ピアノ上のギター・ソロ。
これのマネをしたくて箒を持って音楽室のピアノの上にあがり、先生にしこたま怒られた生徒も少なからずいるはず。


◆「Why Does It Always Rain On Me?」/TRAVIS
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アルバム『THE MAN WHO』収録。
「どうしていつも僕にだけ雨が降るの?」と歌うこの青少年期特有の甘酸っぱい被害者意識が、実のところその後も結構引きずる普遍的なものだと、大人になって改めて痛感してみたり。
終始落ち着いたトーンで漂い続けるそこはかとない哀しみ。永遠に続くような気がしたあの日の哀しみは、いったいどこまで続くのか。


◆「Raining Blood」/SLAYER
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アルバム『REIGN IN BLOOD』収録。
最後に血の雨。まったり哀しんでいる場合じゃない!

『君の名は』の主題歌「前前前世」に三段逆スライド方式でこたえたい

いま話題の映画『君の名は』の主題歌「前前前世」/RADWIMPSみたいな三連曲名を無闇やたらと考えることにより、電光石火の三重殺(トリプルプレー)を狙いたい。

ちなみにこれは、『ボキャブラ天国』におけるネプチューンのキャッチフレーズである。

いっぽうでタイトルに書いた「三段逆スライド方式」というのはもちろん、みんな大好き『ハトヤ』CMへのリスペクト。特に意味はありません。

それでは、いったんCMをどうぞ。CMのあと、まだまだ続きます。

youtu.be

では、いざ尋尋尋常に。


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高田。適当さが三倍に。


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稲川。怖さ三倍増。「やだな~」の回数も三倍増。


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仲本。バク転三回。


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ただでさえ元気な照英の元気が三倍増。もはや素人に扱えるレベルではない。


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デリカット、ギルバート、クラークの三大ケントに捧ぐ。


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尾崎、鶴田、年末の三大ジャンボ。


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芋。


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三日目となればそろそろ大変である。


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黄色いよろず屋のテーマ曲みたいな響きだが、実際に意味するところは「灰皿」「花瓶」「バールのようなもの」の『二サス』的三大鈍器(凶器)。


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タモリ倶楽部の尻たちへ。


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余計な「一」をどうしても省けない『トゥナイト』世代。

以以以上。

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大河ドラマ『真田丸』をより深く、多角的に味わうためのルーツ的名ドラマ2作

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歴史大作がそれぞれの角度から描き出す、三者三様、真田三代の物語

人や作品には必ずルーツがあり、ルーツを知ることでその人や作品をより深く、多角的に味わうことができる。――そんなことは言われなくてもわかってる、とは誰もが思いながらも、なかなか実際にそこまでは掘り下げないのが世の常で。とは言いつつも。

ここではNHK大河ドラマ真田丸』を、そしてそこだけには収まりきらない真田家と戦国ドラマの魅力をさらに増幅させてくれる、過去の名品2作をご紹介したい。

真田丸』本編はこのたび一瞬で関ヶ原を終え、いよいよ悲劇性を帯びつつ終盤戦へと突入していく。この作品の前半戦を支えたのは、間違いなく草刈正雄演じる真田昌幸であったと思う。終始飄々とした軽さを身にまといながら、時に身内をも騙す奇策を駆使して、田舎の弱小大名である真田家を存続させてきた男。

天下の秀吉をして「表裏比興の者」と言わしめたそのつかみどころのないキャラクターを、硬軟自在、縦横無尽に演じてきた草刈正雄。1本目に紹介するのは、そんな彼が30年前に真田幸村(=信繁。『真田丸』では堺雅人が演じている)役を演じていた作品『真田太平記』である。


草刈正雄が幸村を演じ、丹波哲郎演じる父・昌幸の背中を見つめた『真田太平記

真田太平記』は水曜20時の「NHK新大型時代劇」という枠で1985年から86年にかけて放送されたドラマで、原作は池波正太郎の小説。全45話と、通常の大河ドラマよりは5話ほど少ないが、内容の充実度においては、大河ドラマ勢の中に入れても確実に上位に入る。

時代のせいか、大河に比べ予算が少なかったせいか、映像的には安易な合成処理なども見られ、どうしても安っぽい部分はある。しかし戦闘シーンにおいて、説明を最小限にとどめつつ、刻々と動き続ける戦況を映像の力でリアルに伝える演出は素晴らしい。

そしてこの『真田太平記』で真田昌幸を演じているのは、あの「死んだら驚いた」というキャッチフレーズでお馴染みの大霊界俳優・丹波哲郎草刈正雄はその次男役である幸村を演じているのだが、このときに丹波哲郎が演じた豪放磊落な昌幸の人物像が強く頭の中に残っていると、彼は公式HPのインタビューで語っている。

http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/special/interview/interview11.html#mainContentswww.nhk.or.jp

この『真田太平記』から30年後に、幸村を演じていた草刈正雄が、今度はその父親の昌幸を演じるというこの因果。実に粋な配役である。ちなみに「思案中に手の中で胡桃を転がす」という演技は、丹波版昌幸から草刈版昌幸が受け継いだものだ。

ともに物語のスタート地点を「武田家の滅亡」に置いたこの2作。しかし昌幸と長男・信幸、次男・信繁(幸村)という主要3人のキャラクター像は、実のところかなり異なっている。

真田丸』においては、次男・信繁が「知略の人」である父・昌幸の器を超える予感を徐々に漂わせはじめている。一方で『真田太平記』のほうでは、むしろ大人しく見える長男の信幸(渡瀬恒彦)こそが、昌幸も恐れるほどの器量を備えた人物として重々しく描かれる。

この違いは大きいが、それはおそらく3人が自らの選択肢をどこまで意図して選び取ったか、そして誰がもっとも真田家に貢献したか(後世の知名度か、あるいはお家の存続か)という解釈の違いによって生じるものだろう。両者を見比べることで、3人のキャラクターは受け手の中で、より立体的な像を結ぶ。


重厚長大な作品の中で、真田家の原点とも言うべき幸隆(昌幸の父)役を務める橋爪功の飄々とした演技が光る『武田信玄

そして2本目に紹介するのは、最高視聴率49.2%、平均視聴率39.2%という、今さら紹介するのも憚られるほどのレジェンド的存在である大河ドラマ武田信玄』である。

これだけの数字を持った作品をわざわざ紹介するなど、まるで「実は『紅白歌合戦』っていう年末の凄い歌番組があってね…」と言っているような気恥ずかしさを覚えるので、こちらは短めに触れる。

この作品が描いているのは、『真田丸』や『真田太平記』よりひと世代前の時代であり、ここには武田家の家臣として、真田昌幸の父であり、真田家の礎を築いたとされる真田幸隆が登場する。

となると『真田丸』に近いような遠いような、微妙な印象を受けるかもしれないが、この真田幸隆を演じる橋爪功の演技には間違いなく『真田丸』における草刈版昌幸にも通じる飄々とした魅力が溢れている。ここにも『真田丸』の、そして草刈正雄演じる昌幸というキャラクターのルーツを、たしかに感じることができるのである。

この『武田信玄』という作品は、「父の追放」という重苦しいテーマを背負った地点からのスタートということもあって、とにかく全編、重厚感に溢れている。これだけ暗く重いトーンの物語が爆発的視聴率を叩き出したという現象は、連続テレビ小説おしん』にも通じるものを感じる。

そんな中にあってほとんどただひとり、軽やかな言動で異彩を放っているのが、橋爪功演じる真田幸隆なのである。

そしてその幸隆の放つ稀有な軽快さによって、なぜ真田家が猛者揃いの武田家の中で重用されるようになったのかということが、少しずつ見えてくる。さらには真田という弱小勢力が、武田家という大所帯の中で、そして群雄割拠の戦国時代の中で、いかにして独自のポジションを築くに至ったのか、その理由が身にしみて感じられてくるのである。

こちらは現在NHKBSプレミアムで再放送中。できれば1話目から観てほしいが、この「圧倒的な重さ」はあらゆる物語作品における最高傑作のひとつとして、一度味わっておく価値がある。


http://www4.nhk.or.jp/P768/www4.nhk.or.jp

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