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終わりなき里山戦争

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このたび日本人力士の稀勢の里が、第72代横綱に昇進した。この事実をもって、長年に渡り日本を二分している「里山戦争」は、一気に「里」派が勢いを盛り返すことになるかもしれない。

里山戦争」とは、言うまでもなく「たけのこの里」派対「きのこの山」派による血で血を洗う戦いである。ちなみに「血で血を洗う」のでは全然洗っていることにならないから、それは単なる「血まみれ」と言ってよい。

戦いの開始当初、そもそも優勢だと思われたのは「山」派のほうであった。なぜならば「里」と「山」を比べた場合、人や物事の名称に使用される頻度は明らかに「山」のほうが多いと思われたからで、これはつまり「山」派のほうが総兵力において圧倒的優位にあることを意味する。

ちなみに漫画ファン及び野球ファンの間では、「里」派と「山」派の力関係は、水島新司の名作野球漫画『ドカベン』によって決定づけられたという説もある。

ご存じの通り、『ドカベン』の主人公の名前は「山田太郎」であり、彼と明訓高校でバッテリーを組むエースの「里中智」は脇役に追いやられている。ここでも「里」に対する「山」の優位性は明らかである。

それに対し「里」派は、アニメ『母をたずねて三千里』を「里」派であると強引に主張するなど、これまでかなり苦しい戦いを強いられてきた。

しかしこの終わりの見えぬ「里山戦争」にも、とある人物の登場により、待望の平穏がもたらされると思われた時期があった。その人物とは、「山里亮太」である。

その名を耳に入れた瞬間、彼こそは対立する「山」と「里」の両者を兼ね備えたハイブリッドな名字を持つ奇跡の救世主であると、多くの民衆が信じ込んだ。

だがその実彼は、圧倒的な「山」派であることがまもなく判明した。彼の所属する漫才コンビ名が、「南海キャンディーズ」であるのが何よりの証拠であった。

「南海」といえば「南海ホークス」であり、「南海ホークス」といえば「ドカベン香川」であり、「ドカベン」といえば先述の通り「山田太郎」である。つまり山里もまた生粋の「山」派だったというわけだ。

ことほどさように「山」派の優勢が日常となりつつある中、「里」派の人間が国技の最高位につくというのは、「里」派にとってまさしく捲土重来の好機である。

ただしその一方で、「里」派にとってはやや不利なニュースも飛び込んできている。

それは「マー君」こと田中将大投手が、WBCへの不参加を表明したというニュースである。彼の奥方の名は「里田まい」。この事実をもって、彼が「里」派の人間であることは疑いのないところだ。

WBCといえば日本国民の注目が集まる大会である。「里」派は「山」派に壊滅的なダメージを与える絶好のチャンスを、みすみす逃すことになるかもしれない。


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