2015-04-14から1日間の記事一覧
近年の町田康作品における突き抜けた傑作。バランスの取れたエンターテインメント性よりも、初期作品に通じる文学的な過剰性が随所で優先されているように見える。せっせと拵えた設定を自らの手により積極的破綻に追い込む狂気のテンション。
小島信夫らしい因果律の狂いは一貫しているが、作風は案外バラエティに富んでいる。前半の数作はカフカ的あるいは安部公房的不条理文学。後半はやや私小説的な作品が並ぶ。「抱擁家族」はもちろん名作だが、それ以上にその原型である短篇「馬」のほうが個人…