短篇小説「柿食えば鐘鳴る機」

「こないだ寺で柿食ってたらさ、ちょうど鐘が鳴ったんだよね」政尾加志貴(まさお・かしき)が自慢の横顔を見せつけながら得意気にそう言うと、友人らは「ま、そういうことってあるよね」と軽く受け流したので、加志貴は意地になって、「……てゆうことが今年三回もあってさ!」と慌ててつけ加えたのだった。もちろん、口か…