短篇小説「何も言えなかった…夏」

今年も冬彦の夏は、何も言えないうちに終わってしまったのだった。大学のサークル仲間と繰り広げたBBQ…口に放り込んだ安い肉をいっこうに噛み切れぬまま、何も言えず終わった。高校時代の友人としこたま買い込んで楽しんだ花火…口にくわえたロケット花火が不発のまま、何も言えず終わった。気になるあの娘を夏祭りに誘う電…