泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

最近聴読目録

最近聴いたり読んだりした/している作品についての所感。


【音楽】
◆『MY FATHER'S SON』/JANI LIIMATAINEN

マイ・ファーザーズ・サン

マイ・ファーザーズ・サン

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SONATA ARCTICAのギタリストのソロ作。もちろんそれ的な北欧メタル曲もあるが、思いのほか幅広いメロディ・センスを感じさせる楽曲群。

豪華なゲスト・ヴォーカル陣の中でも、とにかく③「What Do You Want」⑥「The Music Box」におけるレナン・ゾンタ(ELECTRIC MOB)の歌唱が素晴らしい。

その節回しは十二分に粘っこいにもかかわらず、同時に北欧的な透明感を感じさせるという奇跡のバランスが癖になる。

MAGNUS KARLSSON'S FREE FALLでも、その存在はディノ・ジェルシック(DIRTY SHIRLEY)と共に輝いていたが、この人が美旋律を存分に歌い上げる様をもっと聴きたいと思わせる。


《↓YouTubeのレーベル公式チャンネルでアルバム全曲聴けるという謎の大盤振る舞い》
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tmykinoue.hatenablog.com


◆『CRASHDIET』/AUTOMATON

Automaton

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スリージーな雰囲気の中に、意外と繊細なメロディを発見する悦び。

彼らといえば、かつての名曲「Riot In Everyone」の印象が強いが、そこまでの派手さはなくともじっくり聴かせるバンドになってきている。


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◆『ONE FOR THE ROAD』/RUST N' RAGE

One For The Road

One For The Road

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同じくスリージー系では、こちらはさらにメロディックに変貌。

MVの致命的なダサさは気がかりだが、あえてだと思いたい。

それにしても、この1曲目は特に素晴らしいメロディを持っていると思う。


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◆『GATE OF THE GODS』/NEW HORIZON

ゲイト・オヴ・ザ・ゴッズ

ゲイト・オヴ・ザ・ゴッズ

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H.E.A.T人脈による正統派ヘヴィ・メタル・ユニット。

しかしH.E.A.Tとは違い、かなり骨太な、ど真ん中のメタルを喉元に突きつけてくる。現ヴォーカル加入後の第二期NOCTURNAL RITESを思わせる迷いのなさが心強い力作。


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【本】
◆「カルチャーセンター」/松波太郎


読んでいて、小説家のデビュー作について考えさせられた。もの書きとして、身につまされる作品。

デビュー作に必要なものは何かとか、不要なものは何かとか、そういうことを考えた時点で駄目なのか、とか。

そして「小説とは何か?」という根本的な疑問に行き着く。ほんと、なんなのか。

作中作はいずれも、僕は充分に面白いと思った。なのに、面白いだけじゃ駄目なのか。本当にそうなのか。その才能に対する周囲のリアルな扱いに、ある種の衝撃を受けた。


◆「かかとを失くして」/多和田葉子(再読)


デビュー作といえば、その完璧な形のひとつとして思い浮かべるのが、この一作。

改めて読むと、意外とシンプルなストーリー。分量も、原稿用紙にすると80枚強と新人賞受賞作にしては少なめ。

そのぶんなのかどうか、ギュッとした密度を感じる。この密度を、世界観と呼ぶのか。

だからといって、無駄がないわけではない。むしろ無駄ばかりのような話でありながら。その矛盾こそが、強度なのだとでも言うように。


◆「くっすん大黒」/町田康(再読)


こちらもまた、デビュー作といえば、の一作。

やはり文体のインパクトが凄い。しかし話の展開などは、その後各賞を総なめにしていく作品群に比べると、やや荒削りで強引な部分もちらほら。

その強引さがまた、デビュー作独特のエネルギーを生み出しているような気も。METALLICAの1stを聴いているような気分になった。

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