泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

馬鹿擬音語小説「ギュンギュンのウ~ン」

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 擬太郎がバーンと開けてガチャッと回しザッザッザッと降りると、空はスカッではなくドンヨリとしてシトシトと降っていた。ザーザーというほどではないしもちろんザンザンにはほど遠い。

 マンションのエントランスをパカーンと出た擬太郎は、トントンしていた長いものをミチミチ言わせながらバサッと広げた。その骨が一本バキッとなりクネッとなっていることに一瞬ハッとなるが、プイッと見なかったことにしてスーンと気にせずに差してトコトコと歩きはじめた。

 ウ~ンと考えごとをしながら歩いていると、後方でチリンチリンと音が鳴り、擬太郎はサッと道の端へよけた。するとシャーッとその脇をすり抜けるものがあり、さらにその後ろからブッブーッという警告音が鳴り響いた。

 その音にギョッとした擬太郎がさらにちまちまと隅っこへ寄ると、さっきより大きなものがブオーンと脇を駆け抜けてしばらく先でガシャーンと大きな音を立てた。

 最初に擬太郎をシャーッと抜いていったチリンチリンに、その後ろからブオーンと追い上げたブッブーッが、濡れた路面にキュキュキュとなりツルンとなった末にガシャーンとなったのである。

 目の前で巻き起こった大惨事に一瞬アワワとなったが、今すべきことをピンポーンと頭に煌めかせた擬太郎は、ポケットから四角いのをシャッと取り出してピピピッと押すことで、プププッとピーポーを要請した。

 ピーポーが来るまでのあいだ、チリンチリンに乗っていたガリガリブオーンの運転席から降りてきたモジャモジャは、何やら激しくガミガミとやり合っているようだった。逆に言えば二人の身体にバキバキやドックンドックンやチーンといった重大な症状はないようで、擬太郎はいささかホッとしたのであった。

 数分後にはピーポーとウーウーが現場にキキキと到着した。そしてピーポーによる健康状態の確認がタンタンとおこなわれたのちに、ウーウーに乗っていたバキューンによる当事者二人への取り調べがグイグイと進められた。

 擬太郎も目撃者としてピーポーから若干のグイグイを受けたが、素直に目撃した状況をトツトツと話すと、あとはサササッと連絡先を訊かれたくらいでもうドロンして良いと、いやむしろシッシッとすらされたように思われた。

 ガシャーンやらピーポーやらグイグイやらといった一連の出来事にクタクタになったせいか、擬太郎は何をしに家を出てここまでテクテクしたのかをポーンと忘れてしまった。そしてハッと気づけば彼は、すっかりビショビショチューチューな濡れ鼠になっていたのだった。

 どうやらどこかの段階で、彼は持っていたバサッをスコーンと手放してしまっていたらしい。出がけにシトシトと降っていたものは、いつからかザーザーに変わっている。擬太郎は首をコキコキ言わせながらキョロキョロして、失われたバサッをバシャバシャの路上に捜した。

 やがて彼の目にとまった路上のバサッは、おそらく後から来たピーポーかウーウーか、あるいはその両方にグシャーンされたのだろう。跡形もなくバッキバキに変形したその愛用品の様子を目撃ドキュンして、擬太郎は壊れたバサッはいったい何ゴミの日にポーンすれば良いものかと、脳内をギュンギュンにしてウ~ンしはじめたのであった。


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