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台風狂想曲

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とりあえず、何かにつけて「最大級」的な文言があちこちに躍っていた台風10号の被害が思ったほどではなくて勝手にひと安心しているが、それでももちろん被害に遭っているかたもあると思うし、むしろこれからがシーズン本番であると考えるべきかもしれない。

今回の台風絡みで気になった点は大きく二つあって、一つは新型コロナの影響で避難所の受け入れ拒否が多く起きていたということ。

しかし中にはコロナ対策による受け入れ人数削減とは関係なく、そもそもキャパシティの足りていない避難所も当然のようにゴロゴロあるものだという報道もあった。そうなってほしくはないが、考えてみると現実的にはなるべくしてそうなっているのだとも思う。

そもそも避難所の代表格である公立小中学校の数が大幅に減少していて、もちろんそれは子供の数が減っているからそうなっているわけだが、高齢化した全体の人口はそこまで減っているわけではないとなれば。小中学校はあくまでも小中学生の数に合わせて確保されているわけで、そこへ小中学生以外の人を受け入れるとなると、キャパシティに限界があるのは容易に想像がつく。

そろそろ他の施設の流用ではなく、専用避難所としての避難所が必要になってくる時代なのかもしれない。そんな予算と土地がどこにあるのか、という問題はもちろんあるのだが。あるいは民間施設を避難所として開放する文化が広がるかどうか。

基本的には数字上の計算により想定できる話ではあるから、為政者に危機感とやる気があればできることはあるだろう。いざほうほうのていで避難所に到着した瞬間、「満員により受け入れ不可」と言われたらと思うと気が遠くなる。

そしてもうひとつ気になったのは、以下の記事にあるように、実は複数の台風間で連係プレーのようなものが行われていたという事実。しかもそれが人類にとってマイナスではなく、プラスに働いたらしいということだ。

www3.nhk.or.jp

まずは前提となる基礎知識の部分を引用する。台風には海水を冷やす能力があるらしい。

一般的に台風は、海水温の高いところを通過するとエネルギー源となる水蒸気が供給されるため勢力が強くなるということですが、台風が通過すると海水をかき混ぜるため、深いところの冷たい海水が持ち上げられ海水温が下がります。

そしてその結果、台風が連続して同一線上を通過するとこんなことが起こるという。

台風8号と9号によって東シナ海の海水温が下がったところに台風10号が通過したことで、発達がおさえられたのではないか

普通に考えると、台風がいくつも同じ場所へやって来ることを我々は大いに怖れるけれど、それはそれで今回は少なからずメリットというか、不幸中の幸いのようなものをもたらしたということか。

演芸場やライブハウスでは「前座」という文化があって、先に出た前座の人間が盛り上げて客席を温めておくことで、後に出る大物のウケが良くなると言われている。

ところがそれとはすっかり逆のことが台風の場合は起きているというか、前座の芸人がすべり倒して客席が冷え切ったところに大トリの10号が登場したところ、冷えた空気に引っ張られてロクにウケないまま終わったというパターンだろうか。

あるいはむしろ、前座の若手芸人8号9号が結構ウケてしまったお蔭ですでに客が笑い疲れてしまい、満を持して大御所の10号が出てきたころには、もう客に笑うほどのエネルギーが残されていなかったということか。

いずれにしろ自然相手のことだから、わからないことは多いがこうしてわかってくることもまだまだある。わかったことを次に生かすも殺すも結局のところは人次第。近年台風が強大化している主因が地球温暖化にあるということがすでにわかっているのに、自己都合のためにわからないふりをしている人たちがどれだけ多いことか。

目先の対策も根本的な対策も、どちらもできることはある。できることをやらないという選択肢は、もはや選べない段階に来ているのではないだろうか。


今週のお題「もしもの備え」》

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