- アーティスト:Black Swan
- 発売日: 2020/02/14
- メディア: CD
元MSGのロビン・マッコーリー、元WINGERのレブ・ビーチ、元DOKKENのジェフ・ピルソンらによる「スーパー・バンド」――と言いたいところだが、実際には「サブキャラ(二番手以降キャラ)の集合体」といったところか。
しかし侮るなかれ、これがかなりいい。特にロビン・マッコーリーの歌メロ。次にレブ・ビーチのギター・ワーク。
ことロビンに関して、世間的には《MICHAEL SCHENKER GROUP>McAULEY SCHENKER GROUP》という評価が一般的であるように思う。あるいは《前者>>>>>後者》くらいかもしれない。
しかしこの作品が世に出たことにより、「個人的には後者もかなり好きだったけどね」とだいぶ言いやすくなった。そんな佳作。
ロビン特有のねじれた歌メロが、いかに個性的で、それゆえクセになるフックを持っているかが浮き彫りになっている。他の歌い手が歌っても様にならないであろう歌メロが、次から次へと繰り出される。
このアルバムを聴いてから、改めてMcAULEY SCHENKER GROUPの楽曲群を思い返すと、そこにロビン・マッコーリーの持つメロディ・センスがいかに発揮されていたかが明確にわかる。本作は、そんな禁断の「答えあわせ」を可能にするような作品であるかもしれない。
ロビンのがなるタイプの歌唱法は、日本のメタル・ファンにはわりと不評だったように記憶しているが、それも年齢とともにいい具合に枯れてきて、かつて押しつけがましさと感じられていた要素が、自然な形で「味わい深さ」へと変異している。
MSGに関しては、そもそも先代Vo.のゲイリー・バーデンからして生粋の「ヘタウマ系」だったわけで、マイケル・シェンカーというギタリスト/コンポーザーは、あくまでも歌の上手さよりも歌メロのセンスで歌い手を選んでいたのだと、改めて腑に落ちるようでもある。
疾走感あふれる①「Shake The World」も良いが、個人的なお気に入りは、奇妙な歌メロが地下からうねり上がってくるようなミドル・テンポの大クセ曲④「Immortal Souls」。大物バンド加入時には時に控えめになりがちなレブ・ビーチの多彩なギター・ワークも、不穏なリフから小洒落たバッキング、そして本領発揮の華麗なソロに至るまで、いい意味で遠慮がなく冴えている。
基本的なバンドの方向性としては正統派といえば正統派ではあるが、クラシカルな泣きメロではなく旋律のクセはいちいち強いので、日本ではあまり受けないかもしれないという危惧はある。メロディの雰囲気としては、ちょっとグランジに近いうねる感触もあって。
しかし聴けば聴くほどクセになる中毒性の高い作品である。願わくば一過性のプロジェクトではなく、二作目があることを願って。
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↑バカリズムの都道府県のような、マイクの持ち方!