泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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『DESTROY THE WAR MACHINE』/WARRIOR SOUL

グランジ前夜からパンクとHR/HMを融合させた音楽をやっていたにもかかわらず、流行の波に乗ることなく地道な活動を続けてきたWARRIOR SOUL。あえて乗らなかったのか、乗れなかったのか、あるいはどちらでも良かったのか? 今となっては打ち明けてほしいところだが、音楽的方向性、楽曲のクオリティ、中心人物コリー・クラークのルックス、カリスマ性、どれを取ってみても、あの時期にブレイクを果たしたオルタナティヴ・ロック勢と比べて、むしろ優れていると言える。彼らこそまさに、登場が早すぎた('90年デビュー。NIRVANANEVERMIND』のブレイクは91年)のかもしれない。ほんのわずかなタイミングでチャンスを逃すというのは、残念ながらよくあることだ。

通算6作目となる本作でも、彼らの終始攻撃的なスタイルは変わっていない。以前に比べるとよりパンキッシュなぶっきらぼうさが前面に出ているが、それはVoコリーの声が驚くほどハスキー(というか酒焼けレベル)に変化しているのと、ストレートに走り切る楽曲の配分が増しているためだろう。

あるいはGUNS N' ROSESの新作にファンが望んでいたのは、こういったパンキッシュでストレートな感情の発露だったのではないかと、ついそう思ってしまうのは、本作がもともとは『CHINESE DEMOCRACY』というGUNSと同名のタイトルを冠した作品であった、ということからの連想なのかもしれない(本作は、昨年限定発売されたその作品を改名して再発したもの)。

全8曲、35分で駆け抜けるその姿勢が潔い。もちろん疾走曲だけでなく、ミドルテンポのグルーヴ重視曲もいくつか差し挟まれ作品全体に起伏をもたらしているが、今回は特に突っ走る楽曲のほうに魅力を感じる。曲数の少なさも、CDの値段が安いので充分に納得がゆく。アートワークも含め、センスの良さでは群を抜いている。メロディの質を問われれば雑に感じる部分もあるが、抜群に「ロック」を感じさせる一枚であることは間違いない。

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