泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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音楽レビュー(HR/HM)

『THE CIRCLE』/BON JOVI 『ザ・サークル』/ボン・ジョヴィ

とりあえず前作『LOST HIGHWAY』のようなカントリー娘。でなくて良かった、という安堵。と同時に、かといってそれに代わる新しい要素が特にあるわけではない、という不満。だがそれでも、仕上がりのクオリティは保たれている、という結果論。その三点のうち…

『RAID』/ATSUSHI YOKOZEKI PROJECT 『レイド』/横関敦プロジェクト

RAID(レイド)アーティスト: ATSUSHI YOKOZEKI PROJECT (アツシ・ヨコゼキ・プロジェクト)出版社/メーカー: B.T.H. RECORDS発売日: 2011/04/20メディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見る技巧派ギタリストのソロ・アルバムというのは、往々にして独りよが…

『AXE TO FALL』/CONVERGE 『アックス・トゥ・フォール』/コンヴァージ

ついにCONVERGEが隣の芝生を荒らした。いや荒らし放題である。なぜならば彼らにとって、隣の芝生とは青々とした羨むべきものなどではなく、完全な不毛地帯に見えていたはずだから。CONVERGEは間違いなくハードコア畑のバンドである。だが本作で繰り広げられ…

現代アメリカン・ヘヴィ・ロックへの過小評価とグランジの罪

「アメリカン・ヘヴィ・ロック」というジャンルは、日本でもっとも過小評価されている音楽領域のひとつである。その過小評価の流れは、おそらく90年代グランジ勢に対するリアクションの延長線上にあるだろう。いまアメリカを席巻しているヘヴィ・ロック勢、…

スラッシュコアの誕生〜CONVERGE新作『AXE TO FALL』より〜

CONVERGE新作の、特に前半4曲が素晴らしいので、きちんとレビューする前にまずはこの衝撃を伝えたく、PVを。まるで「SLAYER+『RUST IN PEACE』期のMEGADETH」なこの楽曲をはじめとして、今回は「スラッシュ・メタル四天王」あるいは「ジャーマン・スラッシ…

『LOUD PARK 09』 10/17(土) ライヴレポート

まず評価の前提として言っておかなければならないのは、今回はとにかく音が悪いということ。こもるボヤける跳ね返る。会場の問題なのか音作りの問題なのか。とにかくどのバンドもギター・リフが不明瞭で、ものすごく遠くのさらにモヤの向こうで鳴っているよ…

『LOUD PARK 09』 10/18(日) ライヴレポート

よく考えてみたら午前中は特に観たいバンドもなかったので遅参し、HIBRIAから参戦。しかも帝王を拝まずして予想どおりの早退劇。【 】内は満足度(ABCDEの5段階)。●HIBRIA 【B】 とにかくVoのユーリ・サンソンに尽きる。まず何よりも顔が小島よしおに似てい…

『LOUD PARK 09』観戦予定

といっても、問題は離れた位置にある「SANCTUARY STAGE」のアーティストをどれくらい組み込むかというくらいで、あまり選択肢はなく。 【 】内は期待度(ABCDEの5段階)。《10/17(土)》11:00〜 BLESSED BY A BROKEN HEART 【C】 派手さ先行ではあったが…

『THE RESISTANCE』/MUSE 『ザ・レジスタンス』/ミューズ

MUSEは基本的にメタル・バンドだと思う。もちろんそれっぽいルックスではないし、音楽性も多岐に渡るため簡単に括ることができないのは承知の上で。壮大さへの志向、演奏技術の高さ、クラシック音楽の導入、泣きメロ重視の姿勢など、彼らの基本的な趣味趣向…

『BLACK GIVES WAY TO BLUE』/ALICE IN CHAINS 『ブラック・トゥ・ブルー』/アリス・イン・チェインズ

あまりに思いきりの良い守りっぷりである。ここまで保守的な復活作というのは、むしろあまり例がないように思う。新要素をひとつも付け加えないその姿勢には、秘伝のスープを継ぎ足し継ぎ足し守り抜く名門ラーメン店の頑固さがある。というのは明らかに言い…

『THE ROOT OF ALL EVIL』/ARCH ENEMY 『ルート・オブ・オール・イーヴィル』/アーク・エネミー

過去を全面的に洗い直すことによって、現在のバンドが抱える問題点をはからずも浮き彫りにしてしまった作品。だが彼ら自身は、その問題点には気づいていないのだろう。気づいていたら発表していないはず。アンジェラ加入以前の初期三枚からの楽曲をリ・レコ…

『ENDGAME』/MEGADETH 『エンドゲーム』/メガデス

自らの美点を謙虚に捉え直すことで、いつの間にか身についていた不純物たちを計画的に排除することに、かなりの程度成功した力作。もちろん完全に音楽的方向性をコントロールすることなど、どんなに知的なアーティストにも不可能なことであるから、意識的に…

ヘヴィ・ロック不平等条約

ようやくNICKELBACKの来日公演が決定したらしい。http://www.barks.jp/news/?id=1000052971しかし話題性に乏しいタイミング、STUDIO COASTという箱の規模と立地、そして何よりも日本での彼らの人気度を考えあわせると、8500円+ドリンク代という価格設定は、…

様子見リマスター

もちろんTHE BEATLESもだけど、ついにHR/HM界の重要二作品がリマスター再発される。RIOTの『THUNDERSTEEL』(10/7発売)と、LOUDNESSの『SOLDIER OF FORTUNE』(11/25発売)。前者はもちろんすでにHMリスナーのバイブルだが、後者は長いバンドの歴史の中…

『LEAVE THIS TOWN』/DAUGHTRY 『リーヴ・ディス・タウン』/ドートリー

日本では最も認められづらいタイプの「地味いい」アルバムであり、だからこそ僕らは耳を傾ける必要がある。こういう良質なアーティストを見逃し続けてきたことが、いまの日本の洋楽シーンを痩せ細ったものにしてしまっているのだから。全米年間No.1ヒットを…

『MIND CONTROL』/TANTRIC

1st『TANTRIC』を100万枚売って勢いよく飛び出したものの、2nd『AFTER WE GO』20万枚、3rd『THE END BEGINS』7万枚と、順当に売上曲線を降下させているアメリカン・ヘヴィ・ロック・バンドの4作目(1st以外は日本未発売)。ちなみにメンバーはすでにVo以外総…

『IN10SITY』/PINK CREAM 69 『インテンシティ』/ピンク・クリーム69

正直マンネリ感は否めないものの、狭い範囲内での健闘を見せるPINK CREAM 69の10作目。デイヴィッド・リードマン加入後の名盤『ELECTRIFIED』で新たな基準を打ち立てて以降、すっかり型に嵌って長いトンネルに入った感が拭えない彼らだったが、結局のところ…

『DESTROY THE WAR MACHINE』/WARRIOR SOUL

グランジ前夜からパンクとHR/HMを融合させた音楽をやっていたにもかかわらず、流行の波に乗ることなく地道な活動を続けてきたWARRIOR SOUL。あえて乗らなかったのか、乗れなかったのか、あるいはどちらでも良かったのか? 今となっては打ち明けてほしいとこ…

『SIN-DECADE』/PRETTY MAIDS 『シン・ディケイド』/プリティ・メイズ

美しさと力強さを奇跡的なバランスで融合させた、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの美点をすべて凝縮した一枚である。メロディ、スピード、ヘヴィネスの三拍子だろうが、もの悲しい美旋律とアッパーなハイテンションの二律背反だろうが、明るさと暗さだろう…

SUMMER SONIC 09 8/8(土) ライヴレポート

◆HOLLYWOOD UNDEAD 覆面&大人数でSLIPKNOTのパクりかと思いきや、メロディの感触もラップから歌へのつなぎも、明確に初期LINKIN PARK。パフォーマンスも大人しく、覆面をしていることの凄みも皆無。特別派手なアクションもないので、どうしてもステージ上で…

サマーソニックの道、略して「サ道」(前日記参照)

SUMMER SONIC 09 8/8(土)観戦スケジュール。覚えられない覚え書き。覚えられるものなら覚えてしまえ。【MARINE STAGE】 11:30 HOLLYWOOD UNDEAD 12:35 MASTODON(移動)【SONIC STAGE】 13:40 LITTLE BOOTS(途中で次へ移動)(移動)【MOUNTAIN STAGE】 1…

『GLYDER』/GLYDER 『グライダー』/グライダー

アイルランド出身の4人組によるデビュー作。英国の音楽誌『KERRANG!』でいきなりの高評価を得たことが評判を呼び、日本でも輸入盤である程度話題になったものの、その後日本盤が出たころにはあまり取り沙汰されることもなくなってしまっていた。しかし中古盤…

『THROWING SHAPE』/STRATUS

PRAYNG MANTISのトロイ兄弟が、クライヴ・バーやバーニー・ショウと結成したバンドの唯一のアルバム。'84年リリース。PRAYING MANTISで辛酸を舐めた反省から、当時の売れ線ポップ路線を狙ったとの噂は聞いていたが、予想以上に軽快な音像。感触としては後期K…

『SANCTUARY』/PRAYING MANTIS 『サンクチュアリ』/プレイング・マンティス

忘却の彼方から舞い降りた「哀愁の権化」6年ぶりの新作は、予想外の充実作となった。6th『NOWHERE TO HIDE』がその前の名作5th『FOREVER IN TIME』の焼き直しであったあたりから見えていた行き詰まりの予感は、前作にあたる7th『THE JOURNEY GOES ON』におけ…

『OCTAHEDRON』/THE MARS VOLTA 『八面体』/ザ・マーズ・ヴォルタ

この圧倒的な静けさを前に、「進化」や「新境地」といった言葉をつい使いたくなるが、そういった印象は言葉として便利なだけで、実際のところ非常に疑わしく、何も言っていないに等しい。たとえば本作が、RADIOHEADにとっての『OK COMPUTER』であるかと言え…

メロディとグルーヴの融合への挑戦者

7/21に、スウェーデンのベーシスト、マルセル・ヤコブが亡くなったとのこと。詳細はこちら↓http://www.bounce.com/news/daily.php/20281/headlineclickマルセル・ヤコブといえば、もちろん初期イングヴェイ・マルムスティーンを支えたベーシストとして有名だ…

『SCARS & SOUVENIRS』/THEORY OF A DEADMAN

NICKELBACKのチャドが見出したことで知られるカナダ出身の三人組。Voの頭髪はコッペパンのようなリーゼントである。デビュー当初はVoの声質も含めてNICKELBACKの二番煎じ扱いされ、また音楽的にもまさにその通りだったと思うが、この3rdで完全に化けたという…

『BLACK CLOUDS & SILVER LININGS』/DREAM THEATER 『ブラック・クラウズ&シルヴァー・ライニングス』/ドリーム・シアター

何度聴いても全体像を把握することが困難で、だからこそ何度も聴き続けてしまう中毒性を持つのはいつもの通り。それはプログレッシヴ・ロックの魅力でもあり、とっつきにくさでもあるだろう。近作において彼らは、「音像のヘヴィさ」という明確な入口を設け…

『LIFE IN-BETWEEN』/ROYAL BLISS 『ライフ・イン-ビトウィーン』/ロイヤル・ブリス

現代アメリカン・ロックの王道は、同時期に日本発売された懐古集団CHICKENFOOTよりも、むしろこちらだろう。NICKELBACK、SHINEDOWN、3 DOORS DOWNをはじめ、アメリカで売れているヘヴィ・ロックど真ん中に位置する音楽性には、日本デビューとなる本作におい…

『DEATH MAGNETIC』/METALLICA 『デス・マグネティック』/メタリカ

◆わからなさ青天井、なのにけっきょく蟻地獄 METALLICA『DEATH MAGNETIC』は何がどうなってこうなのか?新譜を出すたびコンスタントに聴き手を混乱の渦に陥れてくれる蟻地獄系アーティストというのが少なからずいて、こちらは好むと好まざるとにかかわらず進…

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