泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

書評(小説)

『1Q84』/村上春樹

ファンタジーにしては現実的すぎ、ミステリーにしては現実味が足りない。純文学にしては物語的すぎ、エンターテインメント小説にしては文体がまどろっこしい。社会派小説にしては軽すぎ、ユーモア小説にしては重すぎる。あらゆる意味で中間的な小説である。…

うろ覚え脳男の疑わしい仮説〜佐々木敦×福永信対談感想〜

6/11、ジュンク堂書店新宿店にて行われた佐々木敦×福永信のトークイベントに行ってきた。もう二日前。当日帰ってきて何かを書こうと思ったら、何も頭に残っていないことに気づき挫折。あんなに面白かったのに。だが不思議なもので、二晩寝たらなんとなく思い…

『アクロバット前夜90°』/福永信

福永信『アクロバット前夜 90°』のサイン本を、渋谷パルコのリブロで購入。8年前にわざわざ横組み、しかも1ページ目の1行目の続きが2ページ目の1行目に来るという、風変わりな構成で出版されたデビュー作(短篇集)を、通常の縦組みにしただけの代物。内容に…

『城』/フランツ・カフカ

城 (新潮文庫)作者:フランツ・カフカ発売日: 1971/05/04メディア: 文庫壮大な物語というより、極上コントの連発という意味での大傑作。笑いという意味では、小説以外を含めても、これ以上のレベルには未だ誰も到達していないと言い切れる。 物語の筋など「城…

悩ましき文芸漫談〜後藤明生「挟み撃ち」〜

今日はいとうせいこう×奥泉光の「文芸漫談」に行った。今回のテーマ作品は後藤明生の「挟み撃ち」。これまで取り上げられた中で最もマイナーな作品だが、見事に満席でいとうせいこうも驚いていた。 今回はいつになくいとうせいこうが熱く語っていたのが新鮮…

老婆vs 河童vs虫〜読まずに芥川賞所感〜

↓《ニュース記事》【芥川賞講評】宮本輝氏「作家として成長した」 http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090115/acd0901152154007-n1.htm近ごろどうも文学の良し悪しを決める選考基準が、「的確に今という時代を切り取っているか否か」に偏っているよ…

『カフカ・セレクションⅠ〜Ⅲ』/フランツ・カフカ

このジャンク寄せ集め短篇集を読むと、あらゆる物事に結末など必要ないような気になる。物語はもちろん、お笑いのオチも、様々な人生の節目も。「起承転結」とか誰が決めたんだよ、と言いたくなる。 そもそも世の中には、誰が決めたのだかわからないルールが…

『やし酒飲み』/エイモス・チュツオーラ

アフリカの大自然(に対する恐怖)のみが生み出し得るのかもしれぬ奇譚。 展開もキャラクターも能力も、すべてが相当にいい加減な思いつきに従って次々と生み出され、無理矢理編み込まれてゆく。その強引さが魅力であり、民話的でもある。桃太郎がそこらへん…

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