泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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言語遊戯「ことわざ延長戦」第3戦

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「こと」ばの「わざ」というよりは、「こと」ばを「わざ」と使いにくい形にしてしまっているであろうことわざ「ちょい足し実験」も第3弾。

前回までは、わりと上手いこといってやろう、という意欲がそれなりに見られたけれど、こうやって続けていくと徐々に脱力していくもので、別に上手いとかどうでもいいし、いやむしろ上手いとか格好悪いし、という妙なモードに入ってきて、個人的にはこうなってからのほうが好みなのだが、ことわざとしての使いにくさは確実に増しているように思う。では。


◆《果報は寝て待て》
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 《果報は寝て待てそのまま寝過ごせ》

【意味】グッド・ニュースは寝て待つのが良いとされているが、懸命に努力している人からするとたまったものではない。

【解説】童話「ウサギとカメ」におけるカメの強い気持ちを代弁。居眠りしているウサギを起こさずにしれっと追い抜いていったカメにも、このような邪悪さはあったと思われる。


◆《不幸中の幸い》
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 《不幸中の幸い中の大不幸》

【意味】不幸な出来事の中にも救いはあるものだが、その救いの中にさらなる不幸が隠れている場合もあるからけっして油断してはならない。

【解説】もはや何が幸せなのか? 不幸というものは探せばいくらでもある。だが幸せもまたそうなのかもしれない。


◆《石橋を叩いて渡る》
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 《石橋を叩いて渡るよWe Will Rock Youのリズムで》

【意味】名曲は意外なきっかけから生まれるものだ。

【解説】どうせ叩くならば心地好いリズムであるほうが良く、ならばそこから名曲が誕生してもおかしくはないだろう。ちなみにここには、「石=Rock」という呼応関係も隠されている。


◆《餅は餅屋》
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 《餅は餅屋! でもあのお店、餅しか売ってなくて経営は大丈夫かしら?》

【意味】物事は専門家に頼むのが良いが、専門店はどこも経営が苦しそうなので、そこそこ手広くやったほうが良い。

【解説】特に糖質制限ダイエット全盛の今となっては。


◆《類は友を呼ぶ》
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 《類は友を呼ぶ、酒は類を呼ぶ》

【意味】吉田類なら酒場にいるよ。

【解説】えーっと、ことわざってなんでしたっけ?


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言語遊戯「ことわざ延長戦」第2戦

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前回が好評であるという思い込みに基づき、ことわざの後にフレーズを足してみたらどうなるか、ということわざ「ちょい足し実験」の第2弾をお送りしたい。

こうなるといくらでもやりようはあるような気がしてきた。意味など、無理やりこねくり回していれば何かしらの味は出てくるものであるなあ(詠嘆)。


◆《他山の石》
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 《他山の石、自山の泥》

【意味】他人の酷い言動を反面教師にしようと思って自分を見つめ直してみたら、己の言動のほうがはるかに酷い様子。

【解説】「人のふり見て我がふり直せ」とは言い条、自分と相手のレベルがあまりにもかけ離れている場合、まったく参考にならないケースも多い。我々がZOZOの前澤社長の振る舞いから学ぶことは何もない。それ以前の、自分にとってはるか手前にある問題=泥を片づけるほうが重要である。


◆《木を見て森を見ず》
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 《木を見て森を見ず大林が見える》

【意味】視野の狭い人にも、極端に大きいものならば自然と目に入るものである。

【解説】「大林」とはもちろん「大林素子」である。「大きいことはいいことだ」という往年のキャッチコピーを思い出す。「大林」という苗字は、林にしては大きすぎるのでもう「森」でいいのではないかと思う。


◆《病は気から》
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 《病は気から、仮病は親から》

【意味】病気は気持ち次第だが、仮病で学校を休めるかどうかは親次第である。敵を欺くにはまず味方から。

【解説】仮病で学校を休む際、自分で学校に電話をするのは非常にリスクが大きく、高レベルの演技力が要求される。なので仮病を使う時には、親から学校に連絡してもらうのが良い。そのためにはまず親を説得する必要があるが、教師に比べると親は子に甘いため、多少未熟な縁起でも騙し通せるか、あるいはバレていても許してもらえる可能性が高い。その際に主張する症状は、病院に連れて行かれないレベルにとどめておくよう気をつけたい。


◆《仏の顔も三度》
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 《仏の顔も三度、大木の顔も凡人》

【意味】無法なことも三度までしか許されない、というのがもはや当然であるように、大木凡人の顔は当然凡人であるに決まっている。転じて、当たり前のこと。

【解説】単に響きが良いというだけで意味はすこぶる薄い。完全にこじつけである。


◆《良薬は口に苦し》
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 《良薬は口に苦し悪役は虫を逃がし》

【意味】効く薬ほど苦いように、怖い人ほど優しいものだ。

【解説】「逆説×逆説」により逆説を強化するパターン。青汁のCMを悪役商会の親玉である八名信夫がやっていたという事実は、まさにこのことわざを体現していると言える。


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言語遊戯「ことわざ延長戦」

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ことわざは短くまとまっているからこそ有用である。

本来ならば長いこと説明しなければ伝わらないような人生の機微を、たった一行で伝えるからこそことわざには存在価値がある。

きっとそうなんだろうと思う。だけどそれだけじゃないだろう。本来の言いたいこと、言うべきことを短くまとめた際に切り捨てた部分というのが、少なからずあるのではないか。痛みを伴わない切り捨て御免などあり得ない。

そう考えてみると、ことわざは妙に短すぎるのである。もうちょっとくらいこう、情報を足しても良いのではないか。そう思って、ことわざの後にフレーズを足してみたらどうなるか、という実験を試みてみたい。いわば「ことわざ延長戦」である。

それによって新たにつけ足される意味が出てくるかもしれないし、180度意味が変わってしまうかもしれない。目指すところはもちろん、「蛇足」である。ありもしない蛇の足を眺めるような気持ちでご笑覧いただければ、これ幸いである。


◆《雨降って地固まる》
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 《雨降って地固まりモグラ出られなくなる》

【意味】喧嘩して仲直りするのは勝手だが、そのとばっちりを受ける被害者がいることを忘れてはならない。

【解説】後半部分を加えることにより、ポジティブなことわざ全体を悲劇化。「雨が降る(ネガティブ)→地固まる(ポジティブ)」という夢見がちな右肩上がりの展開を、「雨が降る(ネガティブ)→地固まる(ポジティブ)→モグラ出られなくなる(ネガティブ)」というリアルな山型グラフに修正。


◆《へそで茶を沸かす》
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 《へそで茶を沸かし爪の垢を煎じて飲む》

【意味】へそで茶を沸かすという行為を滑稽なだけで終わらせず、その優れたユーモアセンスにあやかってしっかり学びなさい。

【解説】へそだろうとなんだろうと茶は沸かしたら飲むものだが、せっかくなのでひと手間加えたいもの。そこで沸かした茶に、その茶を沸かすほど面白い人の爪の垢を投入して「爪茶」を作って飲むことにより、笑いだけでなく学びまで得ようという貪欲な警句。この場合、へそで茶を沸かす人間と、爪の垢を煎じて飲む人間は別人ということになる。


◆《へそで茶を沸かす》
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 《へそで茶を沸かしたらティファールのCM出演依頼が来た》

【意味】規格外のことをすると、想定外の結果を得ることがある。

【解説】「へそ茶」の延長Ver.2。「へそで茶を沸かす」というのは明らかに特殊能力の一種であり、そのような才能を持つ人間に世間の注目が集まらないはずがない、という発想から自然に思いつくその後の展開案を加えてみた。CMを締めくくるキャッチコピーは「へそより簡単!」。


◆《鬼に金棒》
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 《鬼に金棒、太子にあたり棒》

【意味】金棒が鬼を強く見せるように、アイスのあたり棒にも聖徳太子を知的に見せる絶大な効果がある。転じて、見た目は大事、の意。

【解説】「太子」とはもちろん「聖徳太子」である。聖徳太子も、あのお馴染みの棒を持っていなければただの人である。太子が十人の話を同時に聞けたのは、あのあたり棒が集音マイクの機能を果たしていたからであり、あれを取り上げてしまえば何も聞こえはしない。


◆《虻蜂取らず》
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 《虻蜂取らず蜂蜜取れた》

【意味】欲張って二つのものを同時に手に入れようとした結果、別の何かを手に入れることもあるからけっして諦めてはならない。

【解説】かつてあからさまな貪欲は悪であり恥であったが、競走化社会の今となってはむしろ必要不可欠な要素であるかもしれない、という意味を込めてアップデート。類義語は「損して得取れ」だが、あちらは「損(デメリット)」と「得(メリット)」の配分が「1対1」であるのに対し、こちらは「虻+蜂(デメリット)」と「蜂蜜(メリット)」の配分が「2対1」となり、損失のほうがかなり大きいという比率の違いが明確にある。


まだまだありそうなので、近いうちに第2弾をやるかもしれないしやらないかもしれない。欲張って第2弾をやれば、それこそ《虻蜂取らず蜂蜜取れた》になりそうで、それは良いのか悪いのか。


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