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2018年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

1位『TUNGUSKA』/TREAT

ツングースカ【通常盤】

ツングースカ【通常盤】

  • アーティスト: トリート
  • 出版社/メーカー: FRONTIERS RECORDS Licensed by Frontiers Records s.r.l.
  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
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間違いなく、今年断トツで回数聴いたアルバム。聴けば聴くほど発見があり、好きな曲がどんどん増えていくという稀有な聴取体験。北欧メロディアス・ハードの魅力が凝縮された一作。

作り手も聴き手も、先人たちの手によってすっかり刈り取られてしまったかに見えるメロディのバリエーションに限界を感じ、逃げるようにリズムやグルーヴ重視の方向へと退路を求める昨今。

それでも音楽においてメロディこそが最重要なのだと、改めて美旋律の底力を堂々と証明してみせた。

詳細は以下アルバム・レビュー参照。
tmykinoue.hatenablog.com

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2位『PREQUELLE』/GHOST

PREQUELLE

PREQUELLE

荘厳な茶番。退廃のポップ。絶望のユートピア。あらゆる対立イメージを丸ごと呑み込み生まれ変わらせてしまう音楽的包容力。

それでいて至極キャッチーな仕上がり。ロック勢が苦戦する中、全米チャート第3位に食い込んだ。

こう見えて、いまメタルの中心地はここにある。

詳細は以下アルバム・レビュー参照。
tmykinoue.hatenablog.com

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3位『EMPRESS』/BE THE WOLF

エンプレス

エンプレス

哀愁を撒き散らして疾走する①「Burn Me Out」を聴いた時点で、「北欧のMOTORHEAD」という表現が頭をよぎる。あれBE THE WOLFってこんなバンドだったっけ? いやそれ以前にイタリア産なのだが。

しかし2曲目以降は全然そうではない。MOTORHEAD的な前のめりの爆走感ではなく、縦に跳ねる感触。王道のメタルというよりは、FALL OUT BOYMY CHEMICAL ROMANCEあたりのエモ系に近い甘美な旋律。①の完成度が高すぎるためこの方向で駆け抜けてほしいと思いつつも、②以降のポップ・センスこそがこのバンドの本質だろう。

メタル以外のリスナーにもアピールし得る開けた感性が光る、粒揃いの楽曲群。

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4位『METAL SOULS』/NOZOMU WAKAI’S DESTINIA

METAL SOULS【初回限定盤CD+ボーナスDVD(初回限定盤ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付)】

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  • アーティスト: Nozomu Wakai's DESTINIA,若井望,ロニー・ロメロ,マルコ・メンドーサ,トミー・アルドリッジ
  • 出版社/メーカー: ワードレコーズ
  • 発売日: 2018/05/23
  • メディア: CD
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RICHIE BLACKMORE'S RAINBOWのロニー・ロメロ(Vo)に、マルコ・メンドーサ(B)、トミー・アルドリッジ(Dr.)という、現時点で集め得る最高のメンバーを召還して制作された日本人ギタリスト若井望率いるバンドの新作。といっても、メンバーが全然違うのでニュー・プロジェクトと言うべきかもしれない。

とにかく驚いたのは、業界では引っ張りだこの実力者ロニー・ロメロの歌唱力が、ここでこそもっとも引き出されていると感じられること。それほどまでに歌メロが充実している。

むろん歴戦のリズム隊はおそろしくタイトで、それに対し若井のギターはまだまだ「味」という面で伸びしろがありそうだがソリッドに攻める様が潔い。

特に疾走曲のクオリティにはいずれも目を見張るものがあり、その根底に流れるメロディには、ジャパニーズ・メタル特有の哀感とともに、日本人離れしたスケールの大きな飛翔感や希望的感触が間違いなくある。

その分、ミドルテンポ~バラード系の楽曲においては哀愁が足りないと感じる部分もあるが、このグローバルなメロディ・センスは、世界と戦う上で強力な武器となるだろう。

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5位『ARMOR OF LIGHT』/RIOT V

アーマー・オブ・ライト【初回限定盤CD+ライヴCD(日本語解説封入/歌詞対訳付)】

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「マーク・リアリのいないRIOTなんて」そんな後ろ向きな気持ちを、8割方解消してくれたRIOTの新作。残りの2割だけ物足りなさが残ってしまうのは、限定版特典ディスクのライブ音源に収められているマーク時代の楽曲群があまりに素晴らしいせいだ(なぜ名曲「Flight Of The Warrior」が収録されていない?)。

今回も『THUNDERSTEEL』あたりを彷彿とさせる疾走曲満載で、方向性はまさにファンの求めるそれだが、そのぶんやや単調なきらいもある。

だが残されたメンバーでここまでできるというのを証明したという意味では、今後に希望の持てる前向きな一作。

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6位『THE FACE OF FEAR』/ARTILLERY

Face of Fear -Digi-

Face of Fear -Digi-

とにかく「切れ味」を感じさせる一枚。

これまでよりミドル・テンポの楽曲が多いことにやや不満を感じないでもないが、疾走パートで見せる鋭さに鈍りはない。

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7位『TIARA』/SEVENTH WONDER

ティアラ

ティアラ

今年はKAMELOTの新作もリリースされ大忙しのトミー・カレヴィックだが、彼の繊細なビブラートがより生きるのは、このSEVENTH WONDERのほうなのかもしれない。

プログレッシヴ・メタルの複雑な旋律が、彼のポテンシャルを最大限引き出している。

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8位『SEVENTEEN』/KAYAK

セヴンティーン

セヴンティーン

ファンタジックかつメルヘンチックな美旋律をプログレッシヴな展開美で描き出す柔らかな世界観。

オランダ産ならではの牧歌的な旋律と音色が、すっと心に入ってくる。

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9位『ANTHEM OF THE PEACEFUL ARMY』/GRETA VAN FLEET

アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー

アンセム・オブ・ザ・ピースフル・アーミー

  • アーティスト: グレタ・ヴァン・フリート,ジョシュア・マイケル・キスズカ,ジャコブ・トーマス・キスズカ,サミュエル・フランシス・キスズカ,ダニエル・ロバート・ワグナー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: CD
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いま各方面で話題の驚異の新人バンド。

古くて新しいそのスタイルはLED ZEPPELINの影響下にあり、今のところその影響があからさますぎて興を削がれる瞬間も少なくない。

しかし①「Age Of Man」あたりの郷愁あふれるメロディには、聴き手の情感に訴える非凡なセンスを感じる。むしろおとなしめの曲のほうが、メロディが引き立つタイプなのかもしれない。

この先LED ZEPPELINの巨大な影響からどのように離陸していくのか、その道のりはとても興味深い。

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10位『MY DARK SYMPHONY』/CONCEPTION

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KAMELOTで名を馳せたロイ・カーン(Vo)が戻り、まさかのCONCEPTION再結成。

個人的にトゥーレ・オストビーは稀代のギタリストだと感じていて、ヨルン・ランデと組んだARKでも抜群のアレンジ・センスとギター・プレイを披露していた。カーンの復帰も嬉しいが、奇才トゥーレの復活というところにこのバンド再結成の大きな意味があると感じている。

再結成前の初期作品と比べるとややおとなしめの楽曲が多いが、陰鬱なメロディーと細やかなアレンジの妙はやはりCONCEPTIONならでは。

全6曲のミニ・アルバムなのでやや反則気味ではあるが、フル・アルバムへの期待も込めてここに。

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