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2017年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

1位『RAGING OUT』/OUTRAGE

Raging Out(デラックスエディション)(DVD付)

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「日本のバンドだから」というひいき目も見くびりもどちらも無用。堂々と国際基準で2017年最高のメタル・アルバム。13作目にしてこれだけの勢いと精度、そしてさらなる可能性を感じさせるバンドは滅多にいるもんじゃない。

ジャケットを見た瞬間、トリオ編成時のロックンロール路線かと危惧したが、中身は容赦なきスラッシュ・メタルの絨毯爆撃。鋭利なリフは徹頭徹尾磨き込まれ、極限まで研ぎ澄まされている。

個人的なハイライトは⑥「Hysteric Creatures」だが、聴き手の気分次第でどこに山場を持って来ても没頭できる隙のない作品。アルバム中数曲しかまともに研磨しない今のMETALLICAに、爪の垢を煎じて飲ませたい。

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2位『HEADSTRONG』/PINK CREAM 69

ヘッドストロング

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  • アーティスト: ピンク・クリーム69
  • 出版社/メーカー: マーキー・インコーポレイティドビクター
  • 発売日: 2017/10/25
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1曲目のギター・リフが妙に軽く明るいため、冒頭から少なからず不安がよぎるが、中盤に佳曲が並び、最後まで聴くと名作『ELECTRIFIED』『IN10SITY』に匹敵するクオリティ。

ハイライトは偶然にも、1位のOUTRAGEと同じく⑥の「Path Of Destiny」。バッキングのギターと歌メロの絡みが秀逸。

近作同様、方向性としてはハード・ロックヘヴィ・メタルの境界線上にある音楽なので、これを気に入った人はどちらにでも次の一歩を踏み出せる。今やPINK CREAM 69は、そんな懐の深さを持つ貴重なバンドになっている。

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3位『GODS OF VIOLENCE』/KREATOR

クリエイター『ゴッズ・オブ・ヴァイオレンス』【初回限定盤CD+ヴァッケン・オープン・エア2014 フル収録ライヴBlu-ray(日本盤限定ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付き/日本語字幕付き)】

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  • アーティスト: クリエイター,ミレ・ペトロッツァ,サミ・ウリ・シルニヨ,クリスチャン・ギースラー,ヴェンター
  • 出版社/メーカー: ワードレコーズ
  • 発売日: 2017/01/27
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こちらもOUTRAGE同様、ベテランの凄みを見せつけられた作品。速さへのこだわりを失っていないのもいい。スラッシュ・メタルならではの、リフの展開を追う楽しみを存分に感じさせてくれる一枚。

個人的には、彼らの作品の中では最もゴシック寄りでメロディ重視の『ENDORAMA』というアルバムが大好きなのだが、あの例外的作品における実験により見出された暗鬱なメロディ・センスが、今も各所で煌めくのが嬉しい。

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4位『MADNESS』/ALL THAT REMAINS

オール・ザット・リメインズ『マッドネス』【CD(日本語解説書封入/歌詞対訳付き)】

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  • アーティスト: オール・ザット・リメインズ,フィル・ラボンテ,オリ・ハーバート,マイク・マーティン,アーロン・パトリック,ジェイソン・コスタ
  • 出版社/メーカー: ワードレコーズ
  • 発売日: 2017/05/05
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徐々にメロディを強めて普遍的なメタルへと接近していたALL THAT REMAINSが、ついにアメリカン・ヘヴィ・ロックの領域まで足を踏み入れた一作。

プロデューサーに、今やヒットメイカーのハワード・ベンソン(HOOBASTANKDAUGHTRY等)を迎えた功罪が如実に表れている。個人的には「功」のほうが大きいが、これを「罪=セルアウト」と感じる旧来のファンも少なくないかもしれない。

1曲目は近作同様のメタル・コア路線であり、特に変化を感じない代わりに特別な曲でもない。しかし2曲目のグルーヴと歌メロの感触にヘヴィ・ロックの匂いが漂いはじめ、3曲目でこれはメタル・アルバムではなくロック・アルバムなのだと確信する。だがそもそも歌メロのセンスもあったバンドだけに、楽曲のクオリティは高い。

そして個人的ハイライトは、ラストに待ち受ける⑬「The Thunder Rolls」。女性ヴォーカルも絡み、曲調はもうほとんどバラードだが、どこかゲイリー・ムーア的な郷愁を感じさせる美旋律。ここに至ってはもはやハワード・ベンソンの影響云々というレベルでもなく、また別の新境地を開いたような手応え。

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5位『REACHING INTO INFINITY』/DRAGONFORCE

リーチング・イントゥ・インフィニティ(初回限定盤)(DVD付)

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とにかくイントロの①から続く②「Ashes Of The Dawn」が素晴らしい。個人的には2017年のベスト・チューン。今年はこればかり聴いていた。

とはいえこの曲も第一印象は、これまでのDRAGONFORCEが繰り広げてきたバカッ速い様式美メタルと変わらない。だが聴き込むにつれ、メロディの良さが染み渡ってくる。そしてその浸透度の深さが、これまでとは決定的に違う。

この曲の歌メロからは、彼ららしい「陽」のメロディ、つまりHELLOWEENにおけるカイ・ハンセン曲の抜けるような旋律ではなく、マイケル・ヴァイカート寄りの「陰」を強く感じる。これまでのDRAGONFORCEに抱いていたいくらかの不満は、まさにそのメロディの質感なのだということが、この曲の存在によって逆説的に炙り出されたという按配。裏を返せばまさにそここそが、これまでのファンにとっては不満の要因となるかもしれない。

さらにはこの曲、メロディに対する言葉の乗せ具合もすこぶる気持ちがいい。歌詞の内容は、相変わらず「ちょっと何言ってるかわかんないです」のサンドウィッチマン状態だが、それはそれでネタとして受け止めるのが大人の作法。正直ほかの曲に関してはいつものDRAGONFORCE以上ではなく、ある種のマンネリズムに陥っていると感じるが、一定のクオリティは保証されている。

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6位『AMBER GALACTIC』/THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA

ザ・ナイト・フライト・オーケストラ『アンバー・ギャラクティック』【CD(日本盤限定ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付)】

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  • アーティスト: ザ・ナイト・フライト・オーケストラ,ビョーン・ストリッド,デイヴィッド・アンダーソン,シャーリー・ダンジェロ,リチャード・ラーソン,セバスチャン・フォースルンド,ヨナス・カールズバック
  • 出版社/メーカー: ワードレコーズ
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普段メロディック・デス・メタルをやっている連中(SOILWORKARCH ENEMY等)の余興バンド……には違いないのだが、「このレトロポップな旋律のクオリティは何事か!」という驚きは本物。

さすがに後半はダレるが、今どき稀少価値のある方向性でもあり、むしろメタルというジャンルを外に向けて開く役割を果たしてくれるかもしれない。

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7位『LIGHT IN THE DARK』/REVOLUTION RAINTS

ライト・イン・ザ・ダーク【デラックス盤】

ライト・イン・ザ・ダーク【デラックス盤】

文字どおり暗闇が一瞬で明転するような、鮮やかにはじける①「Light In The Dark」のキャッチーさは抜群。

以降は各メンバーの出自どおり、JOURNEYとNIGHT RANGERとBAD MOON RISINGを掛けあわせたような曲というか、それぞれっぽい曲が交互に繰り出されてくる感じだが、結局のところJOURNEY要素が最も強いか。

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8位『WILL TO POWER』/ARCH ENEMY

ウィル・トゥ・パワー

ウィル・トゥ・パワー

  • アーティスト: アーチ・エネミー
  • 出版社/メーカー: (株)トゥルーパー・エンタテインメント
  • 発売日: 2017/09/01
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築いてきた自らの土壌を生かしつつも、新たな方向性を手探りするようなバランス感覚はマイケル・アモットならでは。

そのぶん飛び抜けた曲はないが、全体のクオリティはやはり高く、随所にハッとする聴きどころが設定されている。

個人的な好みでいえば、彼らの最高傑作は『BURNING BRIDGES』。

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9位『KEE OF HEARTS』/KEE OF HEARTS

キー・オヴ・ハーツ

キー・オヴ・ハーツ

元EUROPEのキー・マルセロとFAIR WARNINGのトミー・ハートが組んだから「KEE OF HEARTS」。実のところそのネーミングの通り、非常にわかりやすい足し算で楽曲が成立している。

それはもしかすると、どちらでもない第三者が作曲した曲だからかもしれない。正直なところ曲のクオリティはそこそこだが、逆にだからこそ二人の個性が際立っているとも言える。プレーンな素材が料理人の腕を引き出しているというか。楽曲は二人の引き立て役として機能している。

二人のことを、そこまで個性の強いミュージシャンだと感じたことはなかったが、このアルバムを聴くと、いい意味でかなりアクの強いギタリストとヴォーカリストなのだということがわかる。

ぜひ続けて欲しいプロジェクトだが、以後二人がソングライティングに関わりだしたりすると、このバランスは崩れてしまうのかもしれない。

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10位『THE DUSK IN US』/CONVERGE

The Dusk in Us

The Dusk in Us

個人的にハード・コアよりのCONVERGEは苦手で、メタル寄りのCONVERGEは好きなのだが、今回は幸いにも後者。最もメタル寄りの傑作『AXE TO FALL』に近い方向性。

「どうやったらこんなリフ思いつくんだ?」という複雑怪奇なリフと手数の多い打楽器の絡みが、聴き手の脈拍を否応なしに上げる。ただしサビの歌メロが重視されていないため、どの曲も竜頭蛇尾なのは宿命か。

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