泣きながら一気に書きました

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少年は窓から逃げる~ブログタイトル画像改変顛末記~

なんとなく思い立って、ブログのタイトルバックに画像を入れてみることにした。

といっても、特に明確なコンセプトもなければ、この嘘八百のブログタイトルにフィットした画像などまったく欲しくもない。そうなると、選ぶ基準というものが本当になんにもなくなってしまって大いに困った。

いちおう漫画に携わっていながら、絵心というものが皆無なので自分で描くわけにもいかず、いやこれに関しては漫画編集部に配属された時点で自ら少なからず不安視していたのだが、やがて必要なのは絵を描く能力ではなくそこから面白味や可能性を感じ取る能力であることがわかったので、そんな能力があったのかどうかはわからないがとりあえず描画能力のないまま今日まで生きてきた。

というわけで、必然的にネット上に転がっているフリー素材から画像を選ぶことになる。

ところが冒頭で述べたとおり、そもそもコンセプトがないわけだから検索ワード何も思い浮かばない。人はどうやったって言葉を使って考えるしかないし、言葉がなければ何かを探すことさえ難しいということを改めて痛感した。いやそもそも考えていないし何を探すかも決まっていないのだが。

とはいえ検索窓が空欄のままでは、ただインターネットという無限の大海原で溺れ死ぬだけだ。何かしらの言葉を指先から発さなければならない。

そこでまずは「それっぽい雰囲気」が必要だとの判断から、「ビンテージ」「アンティーク」「レトロ」あたりのキーワードを入れ込んで模索しはじめる。

「それっぽい雰囲気=古さ」というのがどこから来た発想なのかは自分でもわからない(そもそも「それっぽい」の「それ」が何を差すのかもわからない)が、現在形のフリー画像の多くが、何かしらの安っぽさを纏っていると感じることが多いのも事実で。

そうやって探しているうち、まず最初に引っかかったのがこの画像だった。

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なんとなく雰囲気はあるが、ちょっと全体がパキッとしすぎている。それに特に汽車が好きなわけでもなんでもなく、ブログの内容にもそのような記述が見当たらないにもかかわらず、汽車をフィーチャーしすぎな画像ではある。

と、ここらへんでふと、自分がどうやら「不穏な」絵柄を求めていることにうっすらと気づきはじめる。その不穏さというのは、ある種の不確定要素というか豊かな行間というか、つまりは一種の「なんだかわからなさ」であるらしい。そこで二枚目の画像にたどり着く。

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なんだかわからないがジジイがいっぱいいる。これは「なんだかわからなさ」という意味ではいい感じだし、一枚目に比べるとボヤッとしているのも雰囲気があって悪くない。

しかし残念ながらどう見ても、この絵の主役は右の寝起きっぽい女性だ。これでは黒髪ロングの女性が書いているブログだと思われてしまう危険性がある。あるいは人数に物をいわせて、ジジイの集団が書いているブログかと。

もう少し男性をフィーチャーしつつ人数を絞らないといけない。そう思って選んだ三枚目がこれだ。

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もはやブログのタイトル画像に何を求めているのかさっぱりわからないが、考えてみれば最初からそんなことは何ひとつわからずに選びはじめたのだった。

それにしてもこの絵を僕は妙に気に入ってしまった。なんだかわからないが男が女にこっぴどく怒られている。そんな状況に悦楽を覚えるマゾヒスト気質はまったく持ち合わせていないが、この理不尽な感触は当ブログにふさわしいようにも思える。

しかしこのあとデカい匙でしこたまぶん殴られることを思うと、痛々しくてブログを書く気がなくなってしまいそうだ。という理由でこの画像は却下したが、結構気に入ったのでそのうち使うかもしれない。

そしてこのような紆余曲折を経て、最後に行きついたのがこの一枚である。

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特に検索ワードに含めたわけでもないのに、なぜかまたしても「女性に怒られ、男が及び腰」な一枚を選び取ってしまった。男といっても今度は少年で、怒ってるっぽいのは家政婦であるように見える。ベッドの女の子はだいぶビックリしているが、年齢的に浮気現場とかではないだろう。

見ようによっては、お手伝いさんが少年に上着を渡そうと追いかけているようにも見える。「坊ちゃん、そんな格好では風邪ひきますよ」

だとしたら女の子の驚き様が不自然なので、お手伝いさんがよほど珍妙なメイクを施しているなどのサプライズ要素がないと辻褄が合わないのだが。

しかしこの絵には充分な不穏さと行間と「なんだかわからなさ」がある。おそらくは童話の一場面か何かだとは思うが、ここへ来てようやくタイトル画像のコンセプトが決まった。完全に後づけだが決まった。

逃げるは恥だが役に立つ

これがこのタイトル画像のコンセプトである。もちろんいま放送しているガッキー(新垣隆)主演ドラマへのオマージュだが、いまいち内容へのフィット感が薄いあちらに比べると、むしろこの絵にこそふさわしいフレーズなのではないか。

もちろんあとのせサクサクの、文字どおり取ってつけたコンセプトであるから、ブログのタイトルとも内容ともなんの関連性もありはしないというのが、唯一最大の問題点である。


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