泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

偉大なる司会者くん

日本人選手が多くのメダルを獲得したリオ五輪レスリング競技の影響を受け、人気クイズ番組『世界ふしぎ発見!』でも、マスコット人形を投げ入れる「チャレンジ」制度が導入されることになった。投げ入れられるのはもちろん、偉大なる司会者の偶像としての「スーパーひとしくん人形」である。

明らかな不正解であるにもかかわらず、スーパーひとしくん人形を毎度懲りずに投げ入れる野々村真。ビデオ判定をするまでもなく、彼のチャレンジはすべて失敗に終わる。しかも投げ入れられたひとしくんは、いずれもわざわざ黒柳徹子の席から奪い取ってきたものである。いつの間にやら、フロアはスーパーひとしくんだらけに。

自らの偶像が頻繁に投げつけられ、さらには大量に地面に捨て置かれている。これには、類い稀なる寛大さでその地位を築いてきた司会者の草野仁も、さすがに業を煮やした。彼は収録中であるにもかかわらず、いったん楽屋へと戻ってしまう。しかしパネラーやスタッフ一同が動揺し対応を模索する中、まもなく草野はダッシュでフロアに帰ってくることになる。持ち前の肉体美を誇張するかの如く、レスリングのユニフォームを着用して。

フロアに捨て置かれたスーパーひとしくん人形を次々とガブり、その足を取り、見事にローリングさせていく草野。本来ならば非道を働いた野々村をこそ投げ飛ばすべきところ、けっして出演者には手を出さないのが彼の流儀であり、偉大なる司会者たる所以だ。

ひとしがひとしを投げている。そう、つまり自分との戦い、いや己自身へのたゆまぬチャレンジこそが、トップに立つ者の宿命なのである。

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