泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『GHOST OF GRACELAND』/TREAT

ゴースト・オブ・グレイスランド

ゴースト・オブ・グレイスランド

結論から言えば、前作があまりに良すぎた。本作は、それを踏まえた上での佳作。

北欧美旋律の伝道師、TREATによる6年ぶりの新作。前作『COUP DE GRACE』は、掛け値なしに「北欧ハードロックの名盤」と言い切れるメロディの宝庫だった。そこには「Papertiger」のような突出した曲もありつつ、全体としても緩みなく哀感の滲むメロディが充溢していた。80年代に彼らがリリースした2枚の名盤『DREAMHUNTER』の甘酸っぱさと『ORGANIZED CRIME』のエッジをいいとこ取りしたような、ほとんど完璧といっていい1枚だった。

そのエッセンスは、この『GHOST OF GRACELAND』にもしっかりと受け継がれている。音楽的方向性も前作の延長線上にあり、つまり狙っている方向はまさに期待通り。違いといえば、「前作に比べてメロディのキャッチー度がワンランク落ちる」というくらいのものである。

「ではどこが落ちるのか?」と問われれば、「随所で」と答えるしかない。ひとつひとつのパーツの精度がほんの少しずつ落ちているため、その微差の集積が「前作ほどキャッチーではない」と感じさせるに至る。

それでも、相変わらず聴き応えのある作品であることに間違いはない。序盤の地味さには、逆説的に前作の素晴らしさを痛感させられることになるが、6曲目あたりからメロディの精度が向上し、ポップなコーラスが癖になる⑧「Nonstop Madness」や哀愁を漂わせつつ疾走する⑨「Too Late Too Die Young」あたりは、やはりこのバンドの美旋律作成能力を改めて感じさせる。

前作を「名作」とするならば、本作は「佳作」であると思う。あとはその差を「致命的なもの」と見るか、「許容範囲」と取るか。個人的には、正直どちらとも感じるのだが、しばし聴き込んでみたいと思わせるだけの魅力は、やはりある。


Coup De Grace

Coup De Grace

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