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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

リニアが走れば鉄男が儲かる

この先リニアが走ることに賛成してみようと思うのは、それによって何屋が儲かるのかを考えてみたいからだ。

まず言えるのは、「リニアが走ると磁石が売れる」ということである。ふざけていると思われるかもしれないが事実そうなるはずで、なぜならば大人は子供に、リニアが「どうやって走っているのか」を説明しなければならないからである。なぜ説明しなければならないかと言えば、子供が必ずそう質問してくるからである。なぜ質問してくるかと言えば、子供はそもそも電車が好きであり、特に新型車両に目がないからである。

もちろん、実際に模型でも作って説明してみせるのが理想だが、普通の大人はそこまではしないだろう。だから単純に説明のための磁石が必要だというわけではない。むしろ、大人が磁石を使わずに済ませる口だけの説明がわからないから、子供は磁石を欲しがるのだ。大人が30分かけてリニアのシステムを理論的に説明したとしても、おそらく子供の頭には「磁石で走っている」というキーワードしか残らない。現に今の大人だってほとんどがその程度の知識しか持ち合わせておらず、そのように結果的には磁石への興味だけが残る。

そういえば昔は必ず家にU字磁石があった。いつ何に必要なのだかわからないがとりあえずあった。いつ何に必要だかわからないので今はかなりなくなっていることだろう。しかしリニアが走れば家の中に、冷蔵庫用マグネットのように役立つもの以外にも、まったく役に立たぬ磁石がまたぞろ増えることだろう。それがU字かどうかはわからないが、リニアを実感するためだけにその磁石は家庭内に存在する。

もちろん磁石を使った犯罪も増える。世の中に出回る量が増えるというのはそういうことだ。まず磁石を使った万引きを警戒する必要があるだろう。自ら経営するスーパーでやたらソーセージの万引が増えたと思ったら、ソーセージの端を留める金具の部分を磁石で引きつける手口を疑うべきである。ソーセージ好きは思いのほか多い。

金物屋はもちろん防磁対策を進めることになるであろうが、その結果として金物屋やホームセンターからの「飛び出し事故」が急増する。強力な磁石を持った強盗犯を店内に入れないようにするため、店側はそれ以上に強力な磁石を店中に張り巡らせるという対応策を取る。ここでまた磁石業界が大いに儲かるわけだが、その結果、磁石を所持した人間が店内に足を踏み入れた途端、圧倒的な反発力で店外へと弾き飛ばされる事態が頻発。もちろん弾き飛ばされた先には道路があり、そこではさまざま事故の可能性が考えられる。結果、クッション性の高いガードレールが普及する。その素材を作っているメーカーや工場も信じられないくらい儲かる。

そして鉄人・衣笠が文字通り引っ張りだこになる。石立鉄男が生きていたら、「石」と「鉄」のどちらを重要視するかにも寄るが、意外な活躍が見られたかもしれない。磁石を引き寄せるための毛髪スチールウール。残念なことである。

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