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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『みんな!エスパーだよ!』第4巻/若杉公徳

超能力を身につけてしまった登場人物たちが、とにかくその能力を無駄遣い(特にエロ方面)しまくるという漫画。基本的には、同じく学園コメディの名作『ゴリラーマン』的な空気を感じさせるという意味で、『ヤンマガ』の中心線にある伝統を継ぐ作品と言っていい。

と、それは3巻までの話。

3巻中盤までは、超能力の使い道が間違いなく「エロ」に集約されていて、それですでに充分面白かったのだが、3巻ラストから突如として趣が変わる。超能力はより凶悪な使い道へと広がりを見せ、それに伴い、作品はミステリーの様相を帯びてくる。まるで若杉公徳が、一夜にして岩明均になったような。

だがしかし、「人は能力の使い方を間違える」「能力の悪用」といった根本テーマに変わりはない。基本的には『ドラえもん』、いやもっと「悪」用という部分に的を絞れば『笑ゥせぇるすまん』型の作品である。エロからシリアスへの急激な方向転換も、「悪用」や「間違い方」のバリエーションに、シリアスな方向性が加わったと捉えるべきだろう。

その証拠に、トラウマレベルの衝撃的展開の中にも、下ネタやユーモアは忘れられていない。そういった部分にこそ、ギャグ作家としての作者のこだわりと優しさを強く感じる。どんな時にも笑いは必要だし、絶対に省けないものなのだと。ギャグ成分の激減は、そのクオリティが異様に高かっただけに寂しいが、ギャグ漫画の可能性を拡大させようという決意のようなものは、間違いなく感じる。

この第4巻から物語は、より超能力の本質へと興味が湧く展開へと突入した。表層での戯れ(パロディ)から設定の核心へと迫る展開は確実に茨の道だが、なぜ作者はこのような困難な道を選んだのか。これが能力バトルによる『少年ジャンプ』的延命工作なのか、あるいは逆に、ラストに待つ本質へと迫る一本道なのか。

今のところどちらにも行けるように思えるが、変に延命せず物語の核心へ向かってこのまま突っ走ってくれた方が、後に名作と呼ばれるかもしれない。

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