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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

気になるKindle、魔性のネーミング

コラム

ついに「Kindle」の日本版が発売されるという。

気になるのはもちろん性能や使い心地だし、それ以前に日本の出版大手各社がどれくらい電子書籍化に前向きなのか(つまりどこまで紙の本とその製作工程に関わる中間業者を犠牲にする気があるのか)ということだが、それ以外にもなんだか気になることがある。

明らかにどうでもいいことだが機種名が妙に気になるのである。今のところ日本で発売されるKindleには三種類あって、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire」「Kindle Fire HD」があるらしい。剣呑じゃあないか。何が? 「Fire」が。

もちろん「Fire」なんてのは缶コーヒーでもあるようなありきたりな名前だ。なんとなく情熱的、転じて(あまりうまく「転じて」るとは思えないんだが)「ワンランク上の感触」を載っけたいだけのネーミングであることは想像に難くない。「Super」でも「Gold」でも「Premium」でも、たぶんあまり変わらない。

しかし僕はこの「Kindle Fire」という文字を見て、真っ先に「焚書」という言葉を思い浮かべた。それはたぶん「Kindle Paperwhite」の横に「Kindle Fire」という名前が並んでいたからで、自動的に「紙=本」を燃やしている光景が浮かび上がったということだろう。しかし「焚」の字はあまりに物騒だ。よく見るとかなり機嫌の悪い人の顔に見える。明らかに不平面。

「本を読むための機械なのに、本を燃やすなんて、まるっきり真逆のネーミングじゃあないか」そう思った人は、たぶん良い人だと思う。僕も最初はそう思ったので賽銭箱を持って走るような極悪人ではないのかもしれないが、その直後、そもそもKindleは「本を読むための機械」であると同時に、「紙の本を消滅させるかもしれない機械」であるということを思い出して寒気がした。もう冬だからかもしれないし全裸にKindle一丁だからかもしれない。もちろんKindleはまだ持ってないので買ったら真っ先にどこを隠すべきか考え中の段階。

そういえば僕は世の中に「Suica」という板きれが出てきたときも、その意味ありげなネーミングの裏にある意味というか、僕に言わせれば真の意味を勝手に推測して恐怖を覚えたものだ。「Suica」とはつまり「誰何(すいか)」なのではないかと。それは鉄道会社が、キセル乗車や無賃乗車をする悪質な乗客を効率的に問いただすためのシステムなのではないかと。そう思ってからというもの、自動改札にSuicaをあてがうたびに何か疑われている気分になる。それに比べたら、関西圏の「ICOCA」なんてとんでもなく呑気な名前だ。金払わなくても行けるような気がする。そうやって行けそうな気にさせておびき寄せて挟み込むほうが、むしろタチが悪いとも言えるが。

そういえば響きだけでいえば「Kindle」は「キン(金)」と「ドル($)」でもの凄くお金の匂いがする。「欽ちゃんが発掘したアイドル(わらべとか?)」略して「欽ドル」という説もある。いい加減な話はこれくらい軽めの終わりかたのほうがいいだろう。

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