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悪戯短篇小説「世界に一つだけの花を見つける世界に一つだけの方法」

私は世界に一つだけの花をついに発見した。世界に一つだけの花は、世界に一つだけの村にある世界に一つだけの森の奥の世界に一つだけの沼のほとりにひっそりと咲いていた。

世界に一つだけの花は、私にとって間違いなく世界に一つだけの花だったが、皆にとって世界に一つだけの花かどうかはわからない。

私は世界に一つだけの花を、特に美しいとは思わなかった。ただ、「これ世界に一つだけの花じゃね?」と思った。

なぜ世界に一つだけの花世界に一つだけの花になってしまったのか。それは花の問題ではなく単に私の側の問題でしかない。

それは私が生まれてから死ぬまでの間に見た唯一の花だった。花だけでなく村も森も沼も、私は生前ただ一つしか見たことがなかった。

世界に一つだけの花を見つける最も確実な方法は、それ以外の花を一生見ないことである。ただしこの方法は一生に一度しか使えない。

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