泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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「燃料棒」とはあんまりだ

《世界三大棒》が「うまい棒」「きなこ棒」「燃料棒」に決定した。もちろん僕が決めました。ちなみに従来は《世界四大棒》と呼ばれており、「うまい棒」「きなこ棒」「棒々鶏」というラインナップであった(棒々鶏は棒二本分とカウント)。もちろん僕が決めたものだ。しかもいま決めたという。

原発に対して、この機会に学んだことも言いたいことも山ほどあるが(学ぶと言いたいことは増えるようになっている)、なるべくそれらをふざけた形で無力化して蒸発させたいと思う。僕らは原発と戦うことができないのだから、怒りをぶつける場所など存在しない。不謹慎だと言われようがなんと言われようが、笑うしかないという現状がある。

それにしても、「燃料棒」というのはすこぶる愛のない名前だと思う。燃料の棒だから「燃料棒」。あまりにそのまんますぎる。機能しかない名前。息子に「人間」という名前をつけるような愛のなさだ。田中人間。しかし原発関連の用語には、この手の名称がどうにも多いらしい。「建屋」「制御棒」「使用済み燃料プール」「格納容器」等々。原発を発明した人たちは自らが作りだした怪物を、上手く愛せなくてこんな名称をつけてしまったのではないか。そんな気がする。いや理系の用語というものはそもそもそういうものなのかもしれないが、たとえば車で言うところの「アンチロックブレーキシステム(ABS)」みたいな無闇に格好いいハイテク感のある響きが、どこかにあっても良いのではないか。

なにしろ相手は、「プルトニウム」や「セシウム137」といったイキッた名称のオンパレードなのだ。「セシウム137」に対抗するには、「フェアレディZ」クラスの名前が必要になるような気がする。「ウルトラセブン」では危ういが、「AKB48」ならば太刀打ちできるかもしれない。基準がよくわからないが。

そういえば最近ちょうど、「低燃費」を「TNP」と略す自動車CMが流れていた。この方式でいくと、「燃料棒」は「NRB」となる。「NBA」「NFL」「NRB」。かなりスポーティーな感じが出てきた。しかし「燃料棒」ほどスポーツと無縁なものもないだろう。高校野球を観ながら金属バットを連想するのが限界だ。あ、意外とスポーティーかも。とはいえ、高校野球もあんまりスポーティーな感じはしない。高校野球は、どこまでも高校野球だ。スポーツの一種ではない。

「燃料棒」を冷やすことを手伝えない僕らにいまできることは、誰よりも早く冷やし中華をはじめることだけだ。その前にまず中華料理屋をはじめなければならないのは、言うまでもない。AMEMIYAが歌うように、そこには食中毒、娘の非行、家庭崩壊など、様々な困難が伴うはずだ。それでも僕らは、冷やし中華をはじめなければならない。しかし僕はあまり冷やし中華を好きではないので、はじめない。絶対にはじめたりしない。あの酸っぱいのに甘い感じ(「甘酸っぱい」ではない)が、どうも駄目なのだ。しかも冷やし中華を完全に冷やしきるまでには、3〜5年はかかるという(誤情報)。

頼むから冷えてくれ、冷やし中華より先に。

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